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2021.09.05 16:48

『スペンサー』ワールドプレミアにクリステン・スチュワート、パブロ・ラライン監督が登場!

  • Fan's Voice Staff

ダイアナ元皇太子妃の人生を変えたクリスマス休暇が描かれる映画『スペンサー(原題)』が第78回ベネチア国際映画祭にてワールドプレミアされ、主演クリステン・スチュワートとパブロ・ラライン監督が現地時間9月3日(金)、記者会見と公式上映に出席しました。

Photo: Kazuko Wakayama

コンペティション部門に選出された『スペンサー』は、ダイアナ元皇太子妃が1991年のクリスマス休暇に、イギリス王室のメンバーとともにノーフォークにあるサンドリンガム・ハウスで過ごす3日間を描く物語。チャールズ皇太子との関係は冷え切り、王室の中でも浮いた存在となっていたダイアナが、離婚を決意するまでの心の動きを綴っています。

監督のパブロ・ララインは、『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』で第73回ベネチア映画祭脚本賞を受賞、主演のナタリー・ポートマンをアカデミー賞主演女優賞に導いたチリの鬼才。同映画祭では常連なだけに、本作でも受賞に期待がかかる中、各メディアでのレビューも高く、ザ・ガーディアン紙、ザ・テレグラフ紙はともに5つ星、フィナンシャル・タイムズ紙は4つ星を付け、特にクリステンの演技への評価を絶賛。「スリリングで勇敢で魅惑的な作品でクリステンは見事にダイアナである」、「クリステンは今年、最も煌びやかな変身を成し遂げた」、「クリステンの演技は完璧」と評されており、ベネチアでの金獅子賞争い、さらには今後の賞レースに絡んでくるであろう重要作品として注目です。

Photo: Kazuko Wakayama

アイコニックな女優ジーン・セバーグを演じた『セバーグ』がプレミア上映された第76回以来、2年ぶりのベネチア映画祭参加となったクリステン・スチュワートは、リボンベルトがポイントのペパーミント・グリーンのスリップ・ドレス(シャネル)に同素材の細身のパンツを合わせた可憐なコーディネートのドレスアップでレッドカーペットに登場。タキシード姿のパブロ・ラライン監督と共に詰めかけたカメラマンたちの前でフォトコールに応じました。

今年はコロナの感染対策を考慮し、一般観客の密を避けるためにレッドカーペット前には高い壁が設置され、クローズドで行われたレッドカーペットセレモニーですが、場外にあるモニターにレッドカーペット上のスチュワートやラライン監督の姿が映し出されると大きな歓声が上がり、人気の高さが感じさせました。

Photo: A. Avezz/ASAC

映画祭ディレクターのアルベルト・バルベラ氏のエスコートで、半席利用ながらも満員となったメイン会場「サラ・グランデ」に入ったふたりは、大きな拍手とともに迎えらました。会場には、今年のコンペ部門の審査員長である韓国のポン・ジュノ監督、同じく審査員で昨年『ノマドランド』で金獅子賞を受賞したクロエ・ジャオ監督も姿を見せました。

上映は、コミカルなシーンには時折笑いが起こり、またサスペンスフルなシーンでは息を飲むような緊張感が走るなど、観客が集中している様子を感じさせる素晴らしい時間となりました。エンドクレジットが流れ、場内が明るくなるや否や「ブラボー!」という声と共に拍手が起こり、約5分間のスタンディングオベーションが続きました。スチュワートとラライン監督も歓声に応え立ち上がり、普段はクールであまり表情を崩さない印象のスチュワートが、恥ずかしそうにしながらも満面の笑顔で観客に応える姿が印象的でした。

Photo: Kazuko Wakayama

公式上映に先立ち実施された記者会見では、冒頭、司会者から「なぜ、ダイアナというテーマを選んだのか」という質問に対し、ラライン監督は「私の母に気に入ってもらえる映画を作りたいと思っていました。ダイアナは著名で美しさにあふれたアイコンでしたが、同時に彼女は母親でもあり、私の母のような普通の人々に深く共感させる力をもった人でした。非常に恵まれた環境に生まれ、貴族出身の人が、なぜあれほどまでにごく普通の人物でいられたのかに、私は長年興味があったんです」とコメント。

スチュワートも、監督の言葉を引き継ぎ、ダイアナの人々の心に訴えかける力について「彼女の生まれ持った力。この世界には、突き抜けたエネルギーを持っている人がいますから。ただ、彼女がどんなにカジュアルで魅力的であったにも関わらず、孤独で寂しい思いをしていたことが、本当に悲しい。人に喜びを与える代わりに、心の中では嫌な思いをしている。人とのつながりを心から欲し、エネルギーを惜しみなく使っている…歴史上、そのような人はいなかったでしょう。だから、彼女は本当に光輝くように飛び抜けた存在となったのだと思います」とダイアナの魅力的な人となりについて語りました。

Photo: Giorgio Zucchiatti/ASAC

さらにスチュワートは、「誰もが彼女のことを知っているような気がするのは、それが彼女の才能だから。親しみやすく、彼女が自分の友達や母親のように感じられるところに、彼女の美しさがありました。しかし皮肉なことに、彼女は心の内を知ることができない人物であり、心の底では孤独になりたくない人物だったのです」とコメントしています。

通常の伝記映画と異なり、ダイアナが離婚を決意する1991年の3日間に焦点を当てた構成としたことについて監督は「彼女の長い人生を振り返るのではなく、大きな危機に瀕した瞬間を選べば、彼女の本質にうまく迫ることができるのではないかと思った」と、その意図を明かしました。

Photo: Kazuko Wakayama

ダイアナと同様にパパラッチの標的となった経験もあるスチュワートですが、セレブリティの私生活をスクリーンで見せることについて聞かれると、「他人の私生活に立ち入ることと、芸術が世界にもたらす多様性には違いがあります。この映画は何か新たな情報を提供するわけではありません。この映画の狙いは人々の間にある溝を埋めることにあると思います。仮にもし誰かが私についての映画を作ることがあったとしても、私は盗用されたとか、何かが奪われたとは思わないと思います」と本作への誇りを滲ませました。

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『スぺンサー』(原題)

スペンサー伯爵家の令嬢として誕生し、両親が7歳で離婚、チャールズ皇太子と恋に落ち、20歳で結婚すると瞬く間に人気者となったダイアナ。世界中で「ダイアナ・フィーバー」を巻き起こし、2人の息子を育て、死の直前まで人道支援活動に心を注いだ「愛の人」。36歳という短い生涯を駆け抜けた彼女の生きざまは世界中の人々に希望と共感を与え今なお愛され続けている。物語は、1991年12月。週末をロイヤルファミリーたちと過ごすためにエリザベス女王の私邸サンドリンガム・ハウスを訪れたダイアナ。チャールズとの離婚を決意し、家族と過ごした最後のクリスマス休暇が描かれる。チャールズ皇太子との離婚を決定してからの3日間、彼女は何を思い、何が起こったのか…。ダイアナの魅力、そして死の真相が、彼女の死後25年を経た今、描かれる──。

主演/クリステン・スチュワート、ティモシー・スポール、ジャック・ファーシング 他
監督/パブロ・ラライン
2021年11月5日、全米公開予定

日本公開/2022年公開予定
配給/STAR CHANNEL MOVIES