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2021.07.20 12:00

「DAU」プロジェクト劇場映画第2弾『DAU. 退行』8月28日公開決定!日本版予告編&ポスターが解禁!

  • Fan's Voice Staff

第70回ベルリン映画祭で銀熊賞(芸術貢献賞)を受賞した『DAU.ナターシャ』で描かれたソ連全体主義社会のその後の世界を描く『DAU. Degeneration』が、邦題を『DAU. 退行』として8月28日(土)より限定公開されることが決定!日本版予告編とポスタービジュアルが解禁されました。

舞台は、『DAU. ナターシャ』が描き出したスターリン体制下の1952年から10年以上が経過した1966年~1968年。この時代はキューバ危機の後、フルシチョフ時代を経て、スターリンが築き上げた強固な全体主義社会の理想は崩れはじめ、人々は西欧文化にも親しむようになっています。前作ではカフェのウェイトレスであるナターシャの視点で閉鎖的かつ断片的に描かれた秘密研究所ですが、本作では一転、カメラは研究所内部に入り込み、様々な人々の複雑な人間模様や共産主義社会の建造物をよりダイナミックに映し出します。

予告編は、「共産主義は宗教だ。マルクス、レーニン、スターリンへの信仰。この宗教では進化のために退化し、革命のために破壊せざるを得ない」という宗教学者と科学者の対話で幕を開けます。この秘密研究所では年老いた天才科学者レフ・ランダウのもとで、科学者たちが「超人」を作る奇妙な実験を繰り返していますが、西欧文化の流入と共にかつては徹底的に管理されていた人々の風紀は乱れ、腐敗している状況が赤裸々に描き出されます。ところが、そんな堕落を上層部が許すはずもなく、腐敗を正すためにKGBのウラジーミル・アジッポが派遣されます。彼は所長に「昔なら黙って銃を渡したが幸い時代が違う。いますぐ辞表を書くがいい」と迫り、彼自身が新所長に就任。こうして研究所を監視下に置いたアジッポは、次第に特別実験グループと呼ばれる被験者の若者たちと親しくなっていきます……。

実に6時間9分にも及ぶ大長編となった本作は、予告編後半のテロップの通り、イタリアの詩人・政治家、ダンテ・アリギエーリによる長編叙事詩「神曲」の「地獄篇」で描かれた9つの地獄の層にちなんだ9章で構成。共同監督を務めたイリヤ・ペルミャコフ監督は、「国家が社会的に荒廃していく状況が迫ったときに、どのように気づき、対処するかを、映画という媒体を通して学ぶことはとても重要だと思います。本作は、権力の上層部が超過激派達と、どのように関わっているかという問題を扱っており、単に分析するだけでなく、これらの状況を見たときに皆さんに深く感じて欲しいのです」と語っています。

二人の人物が描かれるポスタービジュアル。右半分の顔は『DAU. ナターシャ』にも登場した老練なKGB(ソ連国家保安委員会)のウラジーミル・アジッポ、左半分の顔は優生学を基にした特別実験グループの被験者マクシム・マルツィンケビッチ。年代の違う二人の顔はまるで同一人物のように組み合わされており、時代を超えて強固な意志を持つ「ソ連全体主義社会」を具現化したような顔にも見えます。

「史上最も狂った映画撮影」と呼ばれた「DAU」プロジェクトは、いまや忘れられつつある「ソヴィエト連邦」の記憶を呼び起こすために、「ソ連全体主義」の社会を完全に再現するという前代未聞の試み。ウクライナの大都市で、かつてはソ連の重要な知性・創造性の中心地でもあったハリコフに欧州史上最大の1万2千平米もの秘密研究所のセットを作り、実にオーディション人数約40万人、衣装4万着、主要キャスト400人、エキストラ1万人、撮影期間40ヶ月、撮影ピリオドごとに異なる時間軸、35mmフィルム撮影のフッテージ700時間という莫大な費用と15年以上もの歳月をかけて「DAU.」の世界が作り上げられました。

この途方もないプロジェクトの劇場映画第1弾として完成した『DAU. ナターシャ』は第70回ベルリン映画祭コンペティション部門で上映、第2弾の『DAU. 退行』は同映画祭の別部門で上映されました。本国ロシアでは上映禁止となったいわくつきの作品である一方、日本では第1作目『DAU. ナターシャ』が全国45館で拡大公開される程の好評を博したことで、第2作目にして完結編ともいえる『DAU. 退行』が世界で劇場初公開される運びとなりました。

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『DAU. 退行』(英題:DAU. Degeneration)

脚本・監督/イリヤ・フルジャノフスキー、イリヤ・ペルミャコフ
撮影/ユルゲン・ユルゲス
出演/ウラジーミル・アジッポ、ドミートリー・カレージン、オリガ・シカバルニャ、アレクセイ・ブリノフ
2020年/ドイツ、ウクライナ、イギリス、ロシア合作/ロシア語/369分/ビスタ/カラー/ 5.1ch/日本語字幕:額賀深雪/字幕監修:松下隆志/R18+

2021年8月28日(土)シアター・イメージフォーラム他にて世界初劇場公開!
配給/トランスフォーマー
公式サイト
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