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2021.07.15 12:00

写真家ユージーン・スミスが記録『ジャズ・ロフト』10月15日公開決定!

  • Fan's Voice Staff

1950年代半ば、マンハッタンのとあるロフトで繰り広げられていた気鋭ジャズ・ミュージシャンたちによるセッションを、写真家ユージーン・スミスが密かに記録した録音テープと写真を元に構成したドキュメンタリー映画『ジャズ・ロフト』が、10月15日(金)に公開されることが決定しました。

Photo by W. Eugene Smith, 1959 © The Heirs of W. Eugene Smith.

写真家、ユージーン・スミスは戦場カメラマンとして活動後、当時絶大な影響力を誇った雑誌「ライフ」などで意欲的な作品を数多く発表。70年代には水俣病患者を捉えた写真集によって世界に衝撃を与え、その姿は『MINAMATA―ミナマタ―』(9月23日公開)としてジョニー・デップ主演で映画化もされました。

そんなスミスが1950年代半ばから住んでいたマンハッタンのロフトでは、連日連夜様々なジャズ・ミュージシャンが出入りし、ジャムセッションを繰り広げていました。「ライフ」編集部との軋轢や家族の不和を抱え、逃げるようにこの地へ移り住んだスミスは、ただ純粋に音楽を楽しむためだけに集まった彼らの自由奔放な演奏をつぶさに録音し、シャッターを切ることに没頭。そのむせ返るような熱気を余すところなく伝えるのが、ドキュメンタリー映画『ジャズ・ロフト』です。

花屋の問屋街に位置する5階建ての薄暗いロフトに集まったのは、既に絶頂期を迎えていたセロニアス・モンクや作曲家・ピアニストとして名を馳せる前のカーラ・ブレイ、さらにはズート・シムズ、ホール・オーバートン、ロニー・フリーといった名うてのミュージシャンたち。彼らの一挙手一投足を逃すまいと部屋中に録音用の配線を張り巡らせ、何千枚もの写真を撮ったスミス。このユニークなコラボは8年間にわたったといいます。

Self-portrait, W. Eugene Smith, © 1959 The Heirs of W. Eugene Smith.

単なる記録の域を超えて浮き彫りとなるのは、ジャズ・ミュージシャンたちの圧倒的な存在感、刹那的な生き様、そして彼らとの交流を通して、人生の岐路に立たされていたひとりの写真家が抱く新たな決意。さらに、歴史的な報道写真の数々を生み出してきた暗室での孤独な作業やユーモアと気難しさを併せ持つスミスの複雑なパーソナリティが、多くの証言者によって明かされます。また、のちにタウンホールでの名演として結実するモンクとオーバートンのリハーサルや打合せ風景など、今まで公になることのなかった貴重なやりとりも見どころです。

『ジャズ・ロフト』は、7月2日から7月15日まで開催されている「Peter Barakan’s Music Film Festival」で上映され、大きな反響を巻き起こしました。

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『ジャズ・ロフト』(原題:The Jazz Loft According to W. Eugene Smith)

出演/サム・スティーブンソン、カーラ・ブレイ、スティーヴ・ライヒ、ビル・クロウ、デイヴィッド・アムラム、ジェイソン・ モラン、ビル・ピアース、(以下、写真のみ/声のみ)ユージーン・スミス、セロニアス・モンク、ズート・シムズ、ホール・オーバートン
プロデューサー/カルヴィン・スキャッグス、サム・スティーブンソン
編集/ジョナサン・J・ジョンソン
撮影/トム・ハーウィッツ
録音/ピーター・ミラー
脚本・プロデューサー・監督/サラ・フィシュコ
2015年/87分/イギリス/英語/B&W、カラー/ヴィスタサイズ/5.1ch

日本公開/2021年10月15日(金)より、Bunkamuraル・シネマ他にて全国順次公開!
配給/マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
公式サイト
©2015 The Heirs of W. Eugene Smith