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2021.04.20 18:00

「DAU」プロジェクト劇場映画第2弾『DAU. Degeneration』今夏緊急公開決定!

  • Fan's Voice Staff

本年2月に日本公開され大反響を呼んだ『DAU. ナターシャ』で描かれたソ連全体主義社会のその後の世界を描く『DAU. Degeneration』(原題)が、今夏シアター・イメージフォーラム他にて限定公開されることが緊急決定しました。

ロシアの奇才イリヤ・フルジャノフスキーによる「DAU」プロジェクトは、ソ連全体主義の社会を完全に再現する「史上最も狂った映画撮影」と呼ばれた前代未聞の試み。ウクライナの大都市で、かつてはソ連の重要な知性・創造性の中心地でもあったハリコフに欧州史上最大の1万2千平米もの秘密研究所のセットを作り、実にオーディション人数約40万人、衣装4万着、主要キャスト400人、エキストラ1万人、撮影期間40ヶ月、撮影ピリオドごとに異なる時間軸、35mmフィルム撮影のフッテージ700時間という莫大な費用と15年以上もの歳月をかけて「DAU」の世界が作り上げました。撮影に参加した多くのキャスト達は、長く続いた撮影の有無に関わらず、その研究所の中で与えられた役割を担い続けました。そこから生まれた表現の形は劇場映画や配信作品、インスタレーションなどといった芸術分野のみならず、学術的研究成果などにも及び、「DAU」はもはや単なる映画や芸術の枠を越えた、超現実世界の様相を呈しています。

この途方もないプロジェクトの劇場映画第1弾として完成した『DAU. ナターシャ』がコンペティション部門で上映された第70回ベルリン映画祭の別部門で上映されたのが、本作『DAU. Degeneration』。6時間にも及ぶ大長編であり、『DAU. ナターシャ』が描き出したスターリン体制下の1952年から10年以上が経過した、1966年~1968年が舞台です。タイトルの“Degeneration(荒廃)”が示すように、キューバ危機の後、フルシチョフ時代を経て、この時期はスターリンが築き上げた強固な全体主義社会の理想が崩れはじめ、人々は西欧文化にも親しむようになっています。

前作ではカフェのウェイトレスであるナターシャの視点で閉鎖的かつ断片的に描かれた秘密研究所ですが、本作では一転、カメラは研究所内部に入り込み、人間たちの生活をつぶさに映し出していきます。そこでは、年老いた天才科学者レン・ダウの下、科学者たちが「超人」を作る奇妙な実験を繰り返しており……。前作の主人公ナターシャに壮絶な拷問を行ったKGB捜査官のウラジーミル・アジッポが、本作では少将へと出世を果たし、メインキャストに。研究所所長のアレクセイ・ブリノフやナターシャのカフェの同僚だったオーリャも登場しますが、彼女は逮捕され収容所に入ったナターシャの代わりに店を取りしきる立場となっています。

本プロジェクトには国内外の著名なアーティストや研究者たちが参加していることでも知られ、本作にはユーゴスラビア出身のパフォーマンス・アーティストであるマリーナ・アブラモヴィッチも参加しています。

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『DAU. Degeneration』(原題)

監督・脚本/イリヤ・フルジャノフスキー、イリヤ・ペルミャコフ
撮影/ユルゲン・ユルゲス
出演/ウラジーミル・アジッポ、ドミトリー・カレージン、オリガ・シカバルニャ、アレクセイ・ブリノフ
2020年/ドイツ、ウクライナ、イギリス、ロシア合作/ロシア語/369分/ビスタ/カラー/5.1ch

日本公開/2021年夏、シアター・イメージフォーラム 他にて限定公開決定!
配給/トランスフォーマー
公式サイト
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