News

2020.10.16 19:00

この秋は気鋭の新人監督が手掛けた注目作が続々公開!見逃せない3本を一挙紹介!

  • Fan's Voice Staff

『ムーンライト』のA24 × プランBタッグによる最新作、カンヌ選出作、『ストレンジャー・シングス』の注目俳優の初主演作と、この秋は気鋭の新人監督が手掛けた注目作の公開が目白押しです。

本記事では、自身が直面した問題や実体験を取り上げたメッセージ性の強い3作品『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』、『パピチャ 未来へのランウェイ』、『エイブのキッチンストーリー』を一挙紹介します。

『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』10月9日(金)公開

ジョー・タルボット監督

ジミー・フェイルズ、ジョータルボット監督

気鋭の映画会社A24とブラッド・ピット率いるプランBが、アカデミー賞作品賞に輝いた『ムーンライト』以来となるタッグを組んだ『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』。いまや都市開発・産業発展によって、“最もお金のかかる街”となったサンフランシスコで生まれ育った青年が、心の在りどころである、かつて家族と暮らした思い出の宿る家を取り戻そうとするストーリーです。

主人公を実名で演じたジミー・フェイルズが10代の頃に体験した自伝的物語を、親友のジョー・タルボット監督が長編デビュー作として映画化。高校を退学し映画製作の準備を始めたタルボット監督は、サンダンス・インスティチュートの研修生として短編『American Paradise』を製作。2017年のサンダンス映画祭でそれを観たプランBのプロデューサー・クリスティーナ・オーの目に留まり、A24に声をかけたことで長編の製作が実現したそう。

アメリカ有数の都市のジェントリフィケーションを背景に、変わりゆく街への郷愁と親友との友情を描いた本作は、2019年サンダンス映画祭で上映され、監督賞と審査員特別賞をW受賞。オバマ元アメリカ大統領が2019年のフェバリエット・ムービーに選出したことも話題になりました。

『パピチャ 未来へのランウェイ』10月30日(金)公開

ムニア・メドゥール監督

ムニア・メドゥール監督(中央左)、リナ・クードリ(中央右)© XavierGens

第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門に出品され、称賛を浴びた『パピチャ 未来へのランウェイ』は、“暗黒の10年”と呼ばれる内戦下のアルジェリアを舞台にファッションデザイナーになるという夢に向かって生きる大学生・ネジュマが、頻発するテロの影響が色濃くなる中、抑圧と闘いながら、自分たちの自由と未来のため、命がけでファッションショーを行うことを決意するという社会派の青春ドラマです。

「この映画の中で起こっていることは90%自らの体験」と語るムニア・メドゥール監督は、アルジェリアに生まれ、17歳のときにジャーナリストの父や家族とともにフランスへ亡命。現地で教育を受け、ドキュメンタリーなどを経て、本作で長編デビューを飾りました。

躍動感溢れる演技で主人公・ネジュマを体現したのは、アルジェリア出身で、ウェス・アンダーソン監督の新作『The French Dispatch』でティモシー・シャラメの相手役を務めるなど、ブレイク寸前の新進女優リナ・クードリ。監督共々、今後の活躍に目が離せません。

『エイブのキッチンストーリー』11月20日(金)公開

フェルナンド・グロスタイン・アンドラーデ監督

『ストレンジャー・シングス』のウィル役で人気のノア・シュナップを初主演に迎えた『エイブのキッチンストーリー』は、ブラジル・サンパウロ出身の映像作家フェルナンド・グロスタイン・アンドラーデが、ユダヤ人とカトリック系ブラジル移民の孫としてミックスした文化の中で育った自身の半生をベースに制作。ニューヨーク・ブルックリンに舞台を移し、少年エイブが家族のために独自のレシピで手料理を作りながら、自身のアイデンティティーを模索する様を描く感動の物語で、「違う文化・背景・伝統を持った人々と調和を持って共に生きる」という監督のメッセージの通り、多様性への希望のメッセージが込められています。

本作が初の英語監督作品となったアンドラーデですが、過去には麻薬戦争に対する新たな解決策を示した長編ドキュメンタリーなどを監督。国際ドキュメンタリー映画祭の審査員を務めたり、「Do Lado de Cá」と呼ばれる刑務所内の凶悪犯の囚人たちによる劇団を仲間と共同で設立、近年は3つのNGO団体で取締役を務め、また社会・政治問題を取り扱ったコンテンツをブログ、YouTube、Twitterといった様々なプラットフォームでも作り出すなど、その活動は多岐に渡っています。最近では、ミュージックビデオの編集や、ドキュメンタリー作品に携わっているそう。ユニークなバックグランドをもつアンドラーデ監督が今度どんな作品を送り出すのか、期待したいところです。

==

『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』(原題:The Last Black Man in San Francisco)

変わりゆく街・サンフランシスコで、変わらない大切なもの。
家族の記憶が宿る家とたった一人の友。それだけで人生はそう悪くない──。
サンフランシスコで生まれ育ったジミー(ジミー・フェイルズ)は、祖父が建て、かつて家族と暮らした記憶の宿るヴィクトリアン様式の美しい家を愛していた。変わりゆく街の中にあって、観光名所になっていたその家は、ある日現在の家主が手放すことになり売りに出される。この家に再び住みたいと願い奔走するジミーの思いを、親友モント(ジョナサン・メジャース)は、いつも静かに支えていた。今や”最もお金のかかる街”となったサンフランシスコで、彼は自分の心の在り処であるこの家を取り戻すことができるのだろうか。多くの財産をもたなくても、かけがえのない友がいて、心の中には小さいけれど守りたい大切なものをもっている。それだけで、人生はそう悪くないはずだ──。そんなジミーの生き方が、今の時代を生きる私たちに温かい抱擁のような余韻を残す、忘れがたい物語。

監督・脚本/ジョー・タルボット 
共同脚本/ロブ・リチャート
原案/ジョー・タルボット、ジミー・フェイルズ
音楽/エミール・モセリ 
出演/ジミー・フェイルズ、ジョナサン・メジャース、ロブ・モーガン、ダニー・グローヴァー
2019年/アメリカ/英語/ビスタサイズ/120分/PG12/字幕翻訳:稲田嵯裕里 

日本公開/2020年10月9日(金)より、新宿シネマカリテ、シネクイント他全国ロードショー
提供/ファントム・フィルム、TCエンタテインメント 
配給/ファントム・フィルム 
公式サイト
©2019 A24 DISTRIBUTION LLC.ALL RIGHTS RESERVED.

==

『パピチャ 未来へのランウェイ』(原題:Papicha)

1990年代、アルジェリア。ファッションデザインに夢中な大学生のネジュマはナイトクラブで自作のドレスを販売している。夢は、世界中の女性の服を作るデザイナーになること。だが武装したイスラム過激派勢力の台頭によりテロが頻発する首都アルジェでは、ヒジャブの着用を強制するポスターがいたるところに貼られるように。従うことを拒むネジュマはある悲劇的な出来事をきっかけに、自分たちの自由と未来のため、立ちはだかる障害と死の匂いに屈せずに命がけでファッションショーを行うことを決意する―。

監督/ムニア・メドゥール
出演/リナ・クードリ、シリン・ブティラ、アミラ・イルダ・ドゥアウダ、ザーラ・ドゥモンディ
2019年/フランス・アルジェリア・ベルギー・カタール/スコープサイズ/109分/アラビア語・フランス語・英語/映倫G

日本公開/2020年10月30日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
配給/クロックワークス
公式サイト
© 2019 HIGH SEA PRODUCTION – THE INK CONNECTION – TAYDA FILM – SCOPE PICTURES – TRIBUS P FILMS – JOUR2FETE – CREAMINAL – CALESON – CADC

==

『エイブのキッチンストーリー』(原題:Abe)

ブルックリン生まれの12歳の少年エイブが大好きな料理を通して家族や自分自身を見つめ直す成長ストーリー。イスラエル系の母とパレスチナ系の父を持つエイブは、文化や宗教の違いから対立する家族に悩まされるなか、料理を作ることが唯一の心の拠りどころだった。誰にも自分のことは理解してもらえないと感じていたある日、世界各地の味を掛け合わせた「フュージョン料理」を作るブラジル人シェフのチコと出会う。フュージョン料理を自身の複雑な背景と重ね合わせたエイブは、自分にしか作れない料理で家族を一つにしようと決意する。果たしてエイブは、家族の絆を取り戻すことができるのかー?食欲の秋に贈る、心もお腹も満たされる感動ストーリーを召し上がれ!

監督/フェルナンド・グロスタイン・アンドラーデ
出演/ノア・シュナップ、セウ・ジョルジ ほか
2019年/アメリカ・ブラジル/カラー/シネマスコープ/英語/原題:ABE/85分/字幕翻訳:平井かおり/PG-12

日本公開/2020年11月20日(金)より、新宿シネマカリテほか全国ロードショー!
配給/ポニーキャニオン
特別協力/味の素
公式サイト
© 2019 Spray Filmes S.A.