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2020.06.19 12:00

【ネタバレ無し感想・評価】『エジソンズ・ゲーム』世界を変えた天才発明家たちのビジネスバトルを描く熱きドラマ

  • Fan's Voice Staff

ベネディクト・カンバーバッチが世紀の発明王トーマス・エジソンを演じた注目作『エジソンズ・ゲーム』が6月19日(金)に全国公開されます。本記事では、公開に先立ち開催された試写会に参加した日本のファンの感想とともに、本作の見どころを紹介していきます。

1882年のアメリカ。天才発明家と崇められていたトーマス・エジソン(カンバーバッチ)は、自ら開発した電球を電気で光らせることに成功します。一方、同じく発明家で裕福な実業家でもあるジョージ・ウェスティングハウス(マイケル・シャノン)は、大量の発電機が必要なエジソンの“直流”送電方式よりも、発電機1基でも遠くまで電気を送れて安価な“交流”方式の方が優れていると考えました。オーストリア出身の発明家ニコラ・テスラ(ニコラス・ホルト)は、“交流”の有効性をエジソンに提案しますが一蹴され、1886年、ウェスティングハウスは、“交流”式の実演会を成功させます。エジソンは、自分の発明を盗まれたと激怒。かくして、世紀の“電流戦争”が幕を開けた!

情熱とプライドをかけた天才たちの本気の闘いが熱い!

ベネディクト・カンバーバッチが演じたエジソン

天才発明家として知られるトーマス・エジソンですが、彼の最大のライバルといえるのがジョージ・ウェスティングハウス。ふたりの発明家の直接対決となったのが、今日の電気の原点をを決めることになった“電流戦争”です。エジソンの“直流”とウェスティングハウスの“交流”のどちらが優れているか。130年前の彼らの闘いがあったからこそ、現代の私たちは電気のある豊かな生活が送れているのです。

エジソンは当時、天才発明家としてカリスマ的な人気を誇っていましたが、実験に没頭するあまり、常に金欠状態。その一方でウェスティングハウスは、実業家としても手腕を発揮し裕福で、若き発明家でもあるニコラ・テスラを引き入れるなど、人を巻き込む包容力のある人物。正反対のふたりの天才が、情熱、プライド、人生、すべてをかけた本気のバトル。その熱量が伝わってくるドラマチックな展開からは目が離せません。

歴史的発明家の知られざる素顔に迫る

蓄音機や活動写真を始め、1,300もの発明と技術革新を行ったエジソンは、教科書にも載っている誰もが知る発明王。満足に教育も受けられず、独学で知識を身に着けた努力の人としても知られていますが、本作ではそうした“偉人”のイメージからかけ離れた、傲慢で勝つためなら手段を選ばない、エジソンの人間くさい側面も描き出します。

そんな天才の“狂気”を体現したのは、イギリスの名優ベネディクト・カンバーバッチ。『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』で実在の科学者チューリングを演じ、米国アカデミー賞にノミネートされた実力派が、闇を抱えた科学者の内的葛藤を見事に演じきりました。「“産業の父”という皆が持っているイメージから彼を引き離すようにした。スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグを、敵意に満ちた敗者にするような感じでね。でも彼はビジネスや裁判での争いに執着していても、同時に良い行いもしていた。人間らしい欠点こそあるものの、やはり非凡な人だった」とカンバーバッチは語っています。

英国とハリウッドから実力派スターが結集

マイケル・シャノンが演じるウェスティングハウス

エジソンのライバル、ウェスティングハウスを演じるのは、2度のアカデミー賞ノミネートを誇る演技派のマイケル・シャノン。『シェイプ・オブ・ウォーター』や『ノクターナル・アニマルズ』などで強烈なインパクトを残したシャノンですが、英国のクセ者俳優の代表格であるカンバーバッチにも勝るとも劣らない存在感で、懐の深い実業家を演じています。

第三の天才発明家ニコラ・テスラ役には、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』や鬼才ヨルゴス・ランティモスの『女王陛下のお気に入り』など、ハリウッド大作からアート映画までひっぱりだこのニコラス・ホルト。

ニコラス・ホルト演じるニコラ・テスラ

エジソンを慕うアシスタントのインサル役は、MCU版『スパイダーマン』で主役に抜擢され大ブレイクしたトム・ホランドが演じています。

インサル(トム・ホランド)

当時の紳士の“おしゃれ”だったもみあげや髭をたくわえたふたり。トム・ホランドは「もみあげを付けるのは、これまで体験したことがないくらい不快なことだったよ。でも、一度付けたら、意外と悪くなかった。カッコよかったからやってよかった」とその初体験を語っています。

また、ウェスティングハウスの妻マーガリート役は、『ファンタスティック・ビースト』シリーズのキャサリン・ウォーターストンが演じるなど、ハリウッド大作で活躍する俳優たちの競演も見逃せません。

衣装、美術、音楽──ハリウッドの気鋭が作り上げた世界観がすごい

ウェスティングハウス(マイケル・シャノン)と妻マーガリート(キャサリン・ウォーターストン)

エグゼクティブ・プロデューサーはマーティン・スコセッシ、プロデューサーにはSFアクション『ナイト・ウォッチ』で脚光を浴びたカザフスタン出身のティムール・ベクマンベトフという製作陣の元に、国際色豊かな気鋭スタッフが集結。

監督はマーティン・スコセッシやアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥなどオスカー監督のアシスタントを務めた新鋭アルフォンソ・ゴメス=レホン。

撮影は、パク・チャヌク作品でも知られ、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』でハリウッドでも活躍する韓国のチョン・ジョンフン。プロダクション・デザインは『ワイルド・スピード EURO MISSION』などで知られるオランダ出身のヤン・ロールフス、衣装デザインは『アメリカン・ハッスル』でアカデミー賞候補となったシドニー出身のマイケル・ウィルキンソン。

特に、ロールフスの美術チームが忠実に再現してみせたエジソンの研究室や、シカゴ万博のセットのスケール感と豪華さは圧巻です。

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『エジソンズ・ゲーム』(原題:The Current War: Director’s Cut)

19世紀、アメリカは電気の誕生による新時代を迎えようとしていた。白熱電球の事業化を成功させたトーマス・エジソンは天才発明家と崇められ、大統領からの仕事も平気で断る傲慢な男だった。裕福な実業家ジョージ・ウェスティングハウスは、大量の発電機が必要なエジソンの“直流”より、遠くまで電気を送れて安価な“交流”の方が優れていると考えていた。若手発明家のテスラも、効率的な“交流”の活用を提案するが、エジソンに一蹴されてしまう。ウェスティングハウスは“交流”式送電の実演会を成功させ、話題をさらう。そのニュースにエジソンは激怒、“交流”は危険で人を殺すと、ネガティブキャンペーンで世論を誘導していく。こうして世紀の“電流戦争”が幕を開けた!訴訟や駆け引き、裏工作が横行する中、ウェスティングハウスはエジソンと決裂したテスラに近づく──果たしてこのビジネスバトルを制するのはどちらか──?

監督/アルフォンソ・ゴメス=レホン
出演/ベネディクト・カンバーバッチ、マイケル・シャノン、トム・ホランド、ニコラス・ホルト
2019年/アメリカ/108分/スコープ/5.1ch/字幕翻訳:松浦美奈/字幕監修:岩尾徹

日本公開/2020年6月19日(金)よりTOHOシネマズ日比谷他全国公開
配給/KADOKAWA
後援/一般社団法人 電気学会
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