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2020.05.15 15:00

日本の独立系配給20社「Help! The 映画配給会社プロジェクト」スタート!会社別見放題パック第1弾が配信開始

  • Fan's Voice Staff

新型コロナウィルス感染拡大の影響で映画業界も困難な時代を迎える中、日本の独立系配給会社がこの難局を乗り越えるための「Help! The 映画配給会社プロジェクト」を立ち上げ、その緊急アクションとして「配給会社別 見放題配信パック」が、オンライン映画館「アップリンク・クラウド」にて配信開始されました。さらに世界の映画人より、応援動画メッセージが到着しました。

配給会社別 見放題配信パック

「配給会社別 見放題配信パック」は、各配給会社が自社の過去作品をパックにして「アップリンク・クラウド」にて配信するもので、作品数・配信期間・料金は配給会社により異なります。

第1弾:5月15日(金)15:00配信開始
クラシックの名作やヌーヴェルヴァーグの傑作群、アジアやヨーロッパの作家たち、近年大ヒットした作品、カンヌなど国際映画祭での受賞作、これまで未配信だった貴重な作品など、5社全90作が含まれます。
参加配給会社:クレストインターナショナルザジフィルムズセテラ・インターナショナルミモザフィルムズムヴィオラ

第2弾:5月22日(金)15:00配信開始予定
参加配給会社:彩プロ、アンプラグド、エスパース・サロウ、オンリー・ハーツ、サンリス、シンカ、ハーク、マジックアワー(※事情により一部が第3弾配信となる場合があります)

応援動画メッセージ

応援動画メッセージは、世界20地域の映画人38名より到着。

上段左から:
クリストファー・ドイル『孔雀』監督『ある船頭の話』撮影監督/オーストラリア
ギヨーム・ガリエンヌ『不機嫌なママにメルシィ!』監督・俳優/フランス
シャリファ・アマニ 監督・女優 『細い目』主演/マレーシア
中断左から:
アルノー・デプレシャン『あの頃エッフェル塔の下で』監督/フランス
LiLiCo 映画コメンテーター/日本
アピチャッポン・ウィーラセタクン『世紀の光』『光りの墓』監督/タイ
下段左から:
イザベル・コイシェ『マイ・ブックショップ』監督/スペイン
ジョルジュ・ガショ『ジョアン・ジルベルトを探して』監督/スイス
リティ・パン『消えた画 クメール・ルージュの真実』監督/カンボジア

ロベルト・アンドー『修道士は沈黙する』監督/イタリア
クリスティアン・クレーネス『ゲッベルスと私』監督・プロデューサー/オーストリア
シャリファ・アリシャ 監督・『ムアラフ』主演/マレーシア
ヨンジョンジャ『巡礼の約束』プロデューサー・主演/中国(チベット文化圏)
ハナ・マフマルバフ『子供の情景』監督/イラン
ツァイ・ミンリャン『あなたの顔』監督/台湾
ギヨーム・セネズ『パパは奮闘中!』監督/ベルギー
ピーター・バラカン ラジオパーソナリティ/日本
吉澤周子 シネスイッチ銀座 編成担当/日本

西澤彰弘 東京テアトル 映画興行部部長/日本
エリック・クー『家族のレシピ』監督/シンガポール
ブリランテ・メンドーサ 『ローサは密告された』監督/フィリピン
ソンタルジャ『草原の河』『巡礼の約束』監督/中国(チベット文化圏)
マルズィエ・メシュキニ 『私が女になった日』監督/イラン
フロリアン・ヴァイゲンザマー『ゲッベルスと私』監督/オーストリア
ワン・ビン『鉄西区』『死霊魂』監督/中国
アンソニー・チェン『イロイロ ぬくもりの記憶』監督/シンガポール
シャリファ・アリアナ 監督・女優・『ムクシン』主演/マレーシア

ギヨーム・ブラック『女っ気なし』『7月の物語』監督/フランス
パーシー・アドロン『バグダッド・カフェ』『マーラー 君に捧げるアダージョ』監督/ドイツ
マチュー・アマルリック『バルバラ〜セーヌの黒いバラ』監督『あの頃エッフェル塔の下で』俳優/フランス

バフマン・ゴバディ『ペルシャ猫を誰も知らない』『サイの季節』監督/イラン(クルド)
中村由紀子 Bunkamuraル・シネマ 番組編成/日本
ガブリエーレ・マイネッティ『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』監督/イタリア

グー・シャオガン『春江水暖』監督/中国
瀬々敬久『ヘヴンズ ストーリー』『菊とギロチン』監督/日本
モフセン・マフマルバフ『カンダハール』『独裁者と小さな孫』監督/イラン

以下、プロジェクト発起人によるステートメントと、参加社名の一覧です。

ステートメント

新型コロナウィルスの影響で、日本全国の人々、そして事業者の誰もがかつてない難局を迎えています。それ は映画業界も同様です。13の特定警戒都道府県では映画館の休館がさらに続き、緩和容認や解除となった34県でも休館を続けざるを得ない映画館があり、再開できても以前のような集客は不可能で、やがてくる「第二波」「第三波」も想定すると、映画界にとって「コロナの時代」は長くなると覚悟せざるを得ません。

このような状況の中で、小規模映画館〈ミニシアター〉を守るための「ミニシアター・エイド基金」や、日本映像職能連合(映職連)の政府への補償要望書の提出など、数々のアクションが始められましたが、私たち、独立系配給会社も、この難局を乗り越えるために何をすべきか模索してきました。

配給会社は、映画館や監督・俳優たちと違って、直接的に観客と触れ合うことの少ない、黒子の存在です。洋画の場合で言えば、まず映画を発見し、買い付けをし、日本全国の映画館に上映を依頼し、宣伝し、映画を公開し、DVD・VOD・テレビでも映画を見てもらえるように活動します。そして、大手配給会社と比べると、独立系配給会社は収益の多くを映画館収入から得ており、その映画館の多くは、小さくとも存在感のある全国のミニシアターです。また、アメリカ映画や邦画だけでなく世界中のさまざまな地域の映画を紹介している点も独立系の特色です。収益から製作者にお金を戻すことで、世界中の製作者の次の映画への一助ともなってきました。

映画館に観客が行けない今、独立系配給会社にはほとんど収入がありません。しかし、私たちがここで倒れては、ミニシアターに映画を届けることができなくなり、世界の映画人が日本の観客に映画を見てもらう機会が失われてしまいます。そして小さな会社といえど、私たちにも大切なスタッフがいて、字幕翻訳者、グラフィックデザイナー、予告編制作者、webデザイナー、パブリシスト、通訳など多くの仕事仲間がいるのです。もちろん、国や自治体の補償を訴えることも大切ですが、待っていては倒産する配給会社も出るでしょう。私たち自身の足で立って、歩かなければなりません。

私たちの財産は、映画しかありません。世界の多様な映画です。配信で、そうした多様な映画を見てもらうことで観客の力を借り、この難局を乗り越えたいと思うのです。配信は過去作に限り、あくまで新作は映画館で公開してミニシアター映画館の収益を確保しながら、過去作の配信によって少しでも経営を安定させ、映画館や仕事仲間達と築いてきたこの事業の継続を目指したいと考えています。

そしてこのプロジェクトによって、今まで見えにくかった「映画配給」という仕事を一般の方々にも知っていただき、各配給会社の個性も感じていただきながら、いま、世界中の国々が物理的な鎖国状況にある中で、映画で世界とつながることの価値を感じていただけたらと願っています。

2020年5月
「Help! The 映画配給会社プロジェクト」発起人
キノローグ、クレストインターナショナル、ザジフィルムズ、サニーフィルム、セテラ・インターナショナル、チャイルド・フィルム、ミモザフィルムズ、ムヴィオラ

参加会社一覧

アイウエオ順、20社(5月11日現在)

▼配信メンバー(13社)
彩プロ
アンプラグド
エスパース・サロウ
オンリー・ハーツ
クレストインターナショナル
ザジフィルムズ
サンリス
シンカ
セテラ・インターナショナル
ハーク
マジックアワー
ミモザフィルムズ
ムヴィオラ

▼賛助メンバー(7社)
キノローグ
サニーフィルム
チャイルド・フィルム
ドマ
ノンデライコ
パンドラ
ユナイテッドピープル