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2020.02.10 15:40

【受賞コメント】第92回アカデミー賞(2020年)

  • Fan's Voice Staff

第92回アカデミー賞授賞式がアメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで現地時間2月9日(日)に開催、各受賞者の喜びのスピーチをまとめました。

『パラサイト 半地下の家族』

ポン・ジュノ監督 Photo by Kevin Winter/Getty Images

最多4部門を受賞した『パラサイト 半地下の家族』は、外国語映画として初めてアカデミー賞作品賞を受賞するという偉業を達成。アカデミー賞作品賞、カンヌ国際映画祭パルムドールのW受賞を果たしたのは64年ぶりという、歴史的な快挙です。アジア人監督としてアカデミー賞監督賞を受賞したのは、アン・リー(『ブロークバック・マウンテン』、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』)に続き史上2人目。

ポン・ジュノ監督(作品賞)
「最高です。信じられません。(このような賞を受賞できて)非常に光栄です。朝、目を覚ましたら全部夢だったんじゃないかって思えるぐらい現実味がないです。本当にすばらしいです。すでに人々は字幕という障壁を超えてきている。今後は、外国語映画が作品賞を受賞することが大したことじゃないようになったらいいと思う。ありがとうございます」

ポン・ジュノ監督(監督賞)
「ありがとうございます。小さい頃、英語の勉強をしていた時に肝に銘じていた言葉があります。「最も個人的なことが、最もクリエイティブなことだ」という、本で読んだ言葉です。これは、マーティン・スコセッシ監督の言葉です。学校では、スコセッシ監督の映画を観て勉強したのですが、今回こうして(監督賞に)一緒に候補になっただけでも嬉しく、光栄でした。受賞するとは思いませんでした。私がアメリカで無名な時に、いつも私の作品をリストに上げてくれたタランティーノ監督にも感謝したいです。本当にありがとうございます!」

Nick Agro / ©A.M.P.A.S.

ポン・ジュノ監督(脚本賞)
「大変な名誉です。シナリオを書くというのは、孤独な作業です。国を代表するために書くということはありませんが、これが韓国にとって初めてのオスカーとなりました。ありがとうございます。そして、いつも多くのインスピレーションをくれる妻に感謝します。この映画をここに連れてきてくれた『パラサイト 半地下の家族』の俳優たちにも感謝します」

ハン・ジヌウォン(共同脚本/脚本賞)
「監督ありがとう、父母ありがとう。アメリカにはハリウッドがありますが、韓国には(映画の街)忠武路(チュンムロ)があります。この栄誉を忠武路に関わる映画製作者たちすべてと共有したいと思います。 ありがとうございます」

ハン・ジヌウォン(共同脚本)、ポン・ジュノ監督 Photo by Richard Harbaugh / ©A.M.P.A.S.

ポン・ジュノ監督(国際長編映画賞)
「ありがとうございます。大変な名誉です。外国語映画賞から国際長編映画賞へと部門の名前が変わりましたよね。はじめてこの国際長編映画賞を受賞できてうれしく思います。この名前は、象徴していると思います。アカデミー賞が目指している方向を称賛したいと思います。愛するソン・ガンホ氏をはじめとするキャスト、そして、撮影監督、プロダクションデザイナーら関わってくれた芸術家たちに賛辞をお送りします。この後、たっぷり朝まで飲もうと思います!」

『ジョーカー』

Photo by Blaine Ohigashi / ©A.M.P.A.S.

ベネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞に輝いたトッド・フィリップス監督の『ジョーカー』は、最多11部門にノミネート。ホアキン・フェニックスの主演男優賞と作曲賞の2部門で受賞を果たしました。

ホアキン・フェニックス(主演男優賞)
「本当に感謝しています。自分が他の候補よりも優れているとは思っていません。みんな映画が最高の表現方法であり、映画に対する愛情を持っていますし、僕も素晴らしい映画人生を送ることができました。ここに来るまで私は、利己主義なことも、時に残酷なことも、一緒に仕事がしづらい人間であったこともあります。2度目のチャンスをくれた皆さんに感謝しています。お互いに助け合い、教育し、協力するというのが人類の最高の要素だと思うんです。17歳の時に私の兄が次のように書きました。愛とともにまず救けに走れ、平安は後からついてくる。ありがとう」

Photo by Phil McCarten / ©A.M.P.A.S.

『ジュディ 虹の彼方に』

Photo by Nick Agro / ©A.M.P.A.S.

『コールドマウンテン』(03年)でアカデミー賞助演女優賞を受賞しているレネー・ゼルヴィガー。主演女優賞部門では、『ブリジット・ジョーンズの日記』(01年)と『シカゴ』(02年)でノミネートされながらも受賞には至っておらず、ジュディ・ガーランドを演じた本作で17年ぶり3度目のノミネート、初受賞となりました。主演女優、助演女優を制覇したのは史上7人目!

レネー・ゼルウィガー(主演女優賞)
「全キャスト、スタッフでジュディ・ガーランドの人生を描くために必死に取り組みました。ありがとう。また25年間の芸能生活を支えてくれたみなさんありがとう。移民の仲間たち、何もない中やってきました。アメリカン・ドリームを信じて、そして今、なんでもできると信じられるようになりました。この1年間ジュディに関してたくさん話す機会がありました。私たちはヒーローがいれば団結できるのです。ジュディ・ガーランドは私のヒーローです。あなたに捧げたいと思います。感謝します!」

『1917 命をかけた伝令』

ロジャー・ディーキンス Photo by Troy Harvey / ©A.M.P.A.S.

作品賞を始め10部門にノミネートされていたサム・メンデス監督の『1917 命をかけた伝令』は、撮影賞、録音賞、視覚効果賞の3部門で受賞しました。

ロジャー・ディーキンス(撮影賞)
「仲間の撮影監督のインスピレーション、友情に感謝します。さらに支えてくれた妻や、スタッフのみんな、そしてサム・メンデス監督に、このような素晴らしい経験を与えてもらい、感謝しています」
※ディーキンスの撮影賞受賞は、『ブレードランナー 2049』以来2度目。

マーク・テイラー、スチュアート・ウィルソン(録音賞)
「本作のスタッフ・キャストを代表して受け取ります。塹壕のなかや様々な過酷な現場で、クルーの全員が素晴らしい仕事をしてくれました。プロデューサーやスタッフ、キャスト、家族に感謝します。そして、サム・メンデス監督がいないとここに立てていません。本当にありがとうございました」

ギョーム・ロシェロン、グレッグ・バトラー、ドミニク・トゥーイ(視覚効果賞)
「今作はドリームプロジェクトであって、VFXにどうアプローチするかのチャレンジであり、素晴らしい仲間たちとコラボレーションのできる機会でもありました。プロデューサーをはじめ、スタッフ、キャスト、そしてサム・メンデス監督に感謝しています」

『ジョジョ・ラビット』

ティモシー・シャラメよりトロフィーを受け取るタイカ・ワイティティ監督(右)Photo by Blaine Ohigashi / ©A.M.P.A.S.

トロント国際映画祭で「観客賞」を受賞、アカデミー賞では作品賞を含む6部門にノミネートされた『ジョジョ・ラビット』は、脚色賞を受賞しました。

タイカ・ワイティティ監督(脚色賞)
「オスカー像、もっと重いと聞いていたけど、けっこう軽いですね?」「母に感謝したいと思います。本を与えてくれてありがとう。その本を脚色した結果この映画が出来ました。クリスティン・ルーネンズありがとう。チェルシー・ウィンスタンリーもありがとう。このオスカーは先住民の子供たちに捧げます。ダンスを踊りたい、物語を書きたいという子供たちに捧げます。そういったものは作れるのです」

Photo by Matt Petit / ©A.M.P.A.S.

『スキャンダル』

カズ・ヒロ(中央)Photo by Phil McCarten / ©A.M.P.A.S.

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』で第90回アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞したカズ・ヒロ氏(※米国市民権を取得し、「辻 一弘」より「Kazu Hiro」に改名)。特殊メイクは引退すると宣言していたカズ・ヒロ氏ですが、本作へはシャーリーズからの熱烈なラブコールを受けて再び映画に参加。同賞ノミネートは4度目、2年ぶり2度目の受賞を果たしました。

カズ・ヒロ(メイクアップ&ヘアスタイリング賞)
「非常に光栄です。アカデミーのメンバーの皆様方に対して、感謝申し上げたいとおもいます」「チーム全員に感謝します。また、友人や家族の人たち、サポートしてくださった方に感謝いたします。リック・ベイカー、ディック・スミスに感謝しています。それから、シャーリーズ・セロンさん!本当に素晴らしい方でした。素晴らしい俳優でもあり、素晴らしいプロデューサーでもあります。非常に思いやりと愛情をもって、このプロジェクトを可能にしてくれたわけです。情熱を燃やすことができたので、メイクにおける新しい推進というものを確立できたわけです。本当に有難うございました。あなたなしでは受賞できなかったはずです」