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2020.01.06 10:39

【受賞結果】第77回ゴールデングローブ賞(2020年)映画部門

  • Fan's Voice Staff

第77回ゴールデングローブ賞の授賞式が現地時間1月5日(日)にロサンゼルスのザ・ビバリー・ヒルトンで開催されました。

作品賞(ドラマ部門)には、サム・メンデス監督の『1917 命をかけた伝令』。第一次世界大戦において、重要なメッセージを届けるために前線を駆け抜けたひとりの若い兵士の体験を通して、戦争の真実を描いた反戦映画です。ロジャー・ディーキンス撮影による全編ワンカットのようなビジュアルも野心的で、高い評価を受けています。激戦を制して監督賞も受賞し、上位2部門を制覇するという強さを見せました。アカデミー賞でも本命になることは間違いないでしょう。

『1917 命をかけた伝令』© 2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

作品賞(ミュージカル・コメディ部門)では、クエンティン・タランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が作品賞、脚本賞、助演男優賞の3部門で受賞するという人気ぶり。こちらもアカデミー賞では『1917 命をかけた伝令』との激しい闘いが予想されます。

左より:ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオ/『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』© 2019 Visiona Romantica, Inc. All Rights Reserved.

最多6ノミネートを得た『マリッジ・ストーリー』の受賞は、ローラ・ダーンの助演女優賞のみ。4部門5ノミネートの『アイリッシュマン』は無冠に終わりました。最多17ノミネートを受け勢いを見せたNetflix勢ですが、やはり配信サービスへの抵抗がまだあるのか、受賞となると敷居がまだ高いようです。

注目の俳優部門では、主演男優賞(ドラマ部門)が『ジョーカー』で怪演を見せたホアキン・フェニックスに。ベネチア国際映画祭で圧倒的支持を得て最高賞の金獅子賞を受賞した本作で、社会の底辺で生きる孤独なひとりの男が、悪のカリスマに転じていく姿を演じ切りました。その怖ろしいまでの迫真の演技は、まさに名優ホアキン・フェニックスの真骨頂といえるでしょう。カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞し、前哨戦でも多くの主演男優賞を受賞していた『ペイン・アンド・グローリー』のアントニオ・バンデラスと、アカデミー賞でも再び、対決することになるでしょう。

『ジョーカー』Photo by: Nico Tavernise © 2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. TM & © DC Comics.

主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)は、エルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』で吹替なしで歌を披露したタロン・エジャトンが受賞しました。現存のカリスマ的ロックスターを演じるという大きなプレッシャーの中、徹底した役作りで挑んだ本作。演技力だけでなくその歌唱力も高く評価されました。

『ロケットマン』© 2019 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

主演女優賞(ドラマ部門)は『ジュディ 虹の彼方に』でジュディ・ガーランドの晩年を演じたレネー・ゼルヴィガーが受賞。『ベティ・サイズモア』と『シカゴ』で主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)、『コールド・マウンテン』で助演女優賞を受賞するなど、2000年前半はゴールデングローブ賞の常連だったゼルヴィガーは、16年ぶり、4度目の受賞となりました。

『ジュディ 虹の彼方へ』© Pathé Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)では、『フェアウェル』のオークワフィナが受賞しました。『オーシャンズ8』や『ジュマンジ/ネクスト・レベル』などで存在感を見せているアジア系女優ですが、本作では、病に侵された中国に住む祖母を訪ねる、アメリカ育ちの移民の主人公を感動的に演じました。ユーモアたっぷりのコメディセンスと等身大の悩みを共存させる演技力は見事!

助演女優賞は、ノア・バームバックの『マリッジ・ストーリー』で敏腕離婚弁護士を演じたローラ・ダーンが受賞。グレタ・ガーウィグの『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』では心優しき母親役を演じるなど、今期大活躍中です。

左より:ローラ・ダーン、スカーレット・ヨハンソン/Netflixオリジナル映画『マリッジ・ストーリー』(独占配信中)

外国語映画賞は、韓国のポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が受賞。韓国映画としては初の快挙!去年5月のカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞して以来、映画賞を総なめにしてきた本作ですが、来るアカデミー賞も大本命です。

『パラサイト 半地下の家族』© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

セシル・B・デミル賞(生涯功労賞)は、プロデューサーとしても多くの作品を手掛ける名優トム・ハンクスが受賞しました。

以下、映画部門のノミネーションおよび受賞一覧です(☆=受賞)。

作品賞(ドラマ部門)

☆『1917 命をかけた伝令』サム・メンデス監督(ユニバーサル)
『アイリッシュマン』マーティン・スコセッシ監督(Netflix)
『ジョーカー』トッド・フィリップス監督(ワーナー・ブラザース)
『マリッジ・ストーリー』ノア・バームバック監督(Netflix)
『2人のローマ教皇』フェルナンド・メイレレス監督(Netflix)

主演女優賞(ドラマ部門)

シンシア・エリヴォ『ハリエット』
スカーレット・ヨハンソン『マリッジ・ストーリー』
シアーシャ・ローナン『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
シャーリーズ・セロン『スキャンダル』
☆レネー・ゼルウィガー『ジュディ 虹の彼方に』

主演男優賞(ドラマ部門)

クリスチャン・ベイル『フォードvsフェラーリ』
アントニオ・バンデラス『ペイン・アンド・グローリー』
アダム・ドライバー『マリッジ・ストーリー』
☆ホアキン・フェニックス『ジョーカー』
ジョナサン・プライス『2人のローマ教皇』

作品賞(ミュージカル・コメディ部門)

『ルディ・レイ・ムーア』クレイグ・ブリュワー監督(Netflix)
『ジョジョ・ラビット』タイカ・ワイティティ監督(FOXサーチライト)
『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』ライアン・ジョンソン監督(ライオンズゲート)
☆『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』クエンティン・タランティーノ監督(ソニー・ピクチャーズ)
『ロケットマン』デクスター・フレッチャー監督(パラマウント)

主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)

ダニエル・クレイグ『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』
ローマン・グリフィン・デイビス『ジョジョ・ラビット』
レオナルド・ディカプリオ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
☆タロン・エジャトン『ロケットマン』
エディ・マーフィー『ルディ・レイ・ムーア』

主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)

☆オークワフィナ『フェアウェル』
アナ・デ・アルマス『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』
ビーニー・フェルドスタイン『Booksmart』
エマ・トンプソン『レイトナイト 私の素敵なボス』
ケイト・ブランシェット『Where’d You Go, Bernadette』

助演男優賞

トム・ハンクス『A Beautiful Day in the Neighborhood』
アンソニー・ホプキンス『2人のローマ教皇』
アル・パチーノ『アイリッシュマン』
ジョー・ペシ『アイリッシュマン』
☆ブラッド・ピット『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

助演女優賞

キャシー・ベイツ『リチャード・ジュエル』
アネット・ベニング『ザ・レポート』
☆ローラ・ダーン『マリッジ・ストーリー』
ジェニファー・ロペス『ハスラーズ』
マーゴット・ロビー『スキャンダル』

監督賞

ポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』
マーティン・スコセッシ監督『アイリッシュマン』
トッド・フィリップス監督『ジョーカー』
クエンティン・タランティーノ監督『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
☆サム・メンデス監督『1917 命をかけた伝令』

脚本賞

ノア・バームバック『マリッジ・ストーリー』
ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン『パラサイト 半地下の家族』
アンソニー・マクカーテン『2人のローマ教皇』
☆クエンティン・タランティーノ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
スティーヴン・ザイリアン『アイリッシュマン』

作曲賞

アレクサンドル・デスプラ『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
☆ヒルドゥル・グーナドッティル『ジョーカー』
ランディ・ニューマン『マリッジ・ストーリー』
トーマス・ニューマン『1917 命をかけた伝令』
ダニエル・ペンバートン『マザーレス・ブルックリン』

歌曲賞

“Beautiful Ghosts”『キャッツ』
☆“(I’m Gonna) Love Me Again”『ロケットマン』
“Into the Unknown”『アナと雪の女王2』
“Spirit”『ライオン・キング』
“Stand Up”『ハリエット』

アニメーション映画賞

『アナと雪の女王2』クリス・バック、ジェニファー・リー監督
『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』ディーン・デュボア監督
『ライオン・キング』ジョン・ファヴロー監督
☆『Missing Link』クリス・バトラー監督
『トイ・ストーリー4』ジョシュ・クーリー監督

外国語映画賞

『フェアウェル』ルル・ワン監督(アメリカ)
『レ・ミゼラブル』ラジ・リ監督(フランス)
『ペイン・アンド・グローリー』ペドロ・アルモドバル監督(スペイン)
『Portrait of a Lady on Fire』セリーヌ・シアマ監督(フランス)
☆『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督(韓国)