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2019.12.30 8:00

アカデミー賞常連クリスチャン・ベイルが『フォードvsフェラーリ』で挑んだ役作りとは

  • Fan's Voice Staff

歴史上最も伝説的なレースで、イタリアの絶対王者フェラーリに立ち向かった米フォード。その仁義なき戦いの裏で繰り広げられた熱きふたりの男の挑戦を描いたのが、映画『フォードvsフェラーリ』。

アメリカで小さな自動車整備工場を営む、型破りで破天荒なイギリス人レーサーのケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)。その短気な性格が災いしてトラブルばかり起こす彼でしたが、レーサーとしての腕前は天才と呼ぶにふさわしい超一流のものでした。

自動車業界の一大イベントであるフランスのル・マン24時間レースに挑戦し、絶対王者のフェラーリに立ち向かう決断をした米国のフォード社は、米国人としてル・マンで唯一の優勝の経験を持つカーレーサーで、気鋭のカーデザイナーとして知られるキャロル・シェルビー(マット・デイモン)に「優勝できる車とチーム」を作らせることに。シェルビーは、マイルズにチームに加わるように依頼します。

車にかける情熱は誰にも負けないマイルズは、そのレーサーとしての技術と経験をすべてチームに捧げますが、頑固で上品さに欠ける彼を気に入らないフォードの重役レオ・ビーブと対立するなど、トラブルの種となる事もしばしば。それでも彼のレーサーとしての腕を信じるシェルビーと、友情を深めながら夢に向かって邁進します……。

世界中の映画祭で観客や映画評論家から絶賛される中、特に注目されているのが、本作で第77回ゴールデン・グローブ賞主演男優賞にノミネートされたクリスチャン・ベイル。昨年の『バイス』に続く2年連続の受賞に期待が寄せられています。

試写などで本作をいち早く鑑賞した日本の観客からも、「クリスチャン・ベイルの漢気溢れた演技が心揺さぶられた!」、「クリスチャン・ベイルの役作りがほんとにすごい」、「ここまで魅力的なクリスチャン・ベイルは見たことない!」といった絶賛の声が上がっています。

クリスチャン・ベイルと言えば、これまでも徹底した肉体改造による役作りが “すごすぎる” と話題になることが多く、例えば、サスペンス・スリラー『マシニスト』(04年)では、謎の不眠症で衰弱していくキャラクターを演じるため、29キロという大幅な減量を実践し、まさにガリガリの身体に。その直後、1年後に公開を控えた『バットマン ビギンズ』(05年)のオーディションでは、わずか半年間で45キロもの筋肉を増量して、バットマン役を勝ち取ったと言われています。

その後も、『戦場からの脱出』(06年)で30キロの減量、『バットマン ビギンズ』の続編『ダークナイト』(08年)で再び30キロ増量を繰り返し、アカデミー賞およびゴールデン・グローブ賞で助演男優賞に輝いた『ザ・ファイター』(10年)では、ドラックに侵されたボクサーの役を演じるために14キロ減量して、バットマンの頃とは別人のような、スリムな筋肉質な体型を作り上げました。さらに『アメリカン・ハッスル』(14年)では、20キロ増量し激太りしたうえ、ハゲ頭になるために地毛も剃るという徹底ぶり。そして昨年、元米副大統領ディック・チェイニー役で話題を呼んだ映画『バイス』では、またもや地毛を剃り、眉毛の脱色をして、さらに18キロ増量。その結果、ディック・チェイニー本人にうりふたつと絶賛され、ゴールデン・グローブ賞ミュージカル・コメディ部門で主演男優賞を受賞しました。

最新作『フォードvsフェラーリ』でベイルは、『バイス』でみせた大柄の身体を再び絞り、カーレーサーらしいスマートで引き締まった細マッチョな体をつくっています。

もちろん、ベイルの役作りは肉体改造だけにとどまりません。死と常に隣り合わせなレースを続けるカーレーサーになりきるため、ドライビングテクニックのトレーニングを実施。スタント・ドライバーの元で1週間にわたり、様々なノウハウを学んだといいます。

また、ケン・マイルズという役柄を演じる上でベイルがこだわったのが、「彼を知っていた人たちの信頼を手にしたい」ということでした。マイルズの息子であるピーター・マイルズ(劇中ではノア・ジュプ演じる少年として登場)との食事会を開いたベイルは、「彼は歌が好きだったか?」「彼は街の通りでもスピードを出して運転したか、それともサーキットでだけなのか?」「彼には好きな作家がいたか?」「彼はダンスをしたか?」「どれぐらい酒を飲んだか?」などと尋ね、真剣にメモを取りながら話を聞いたといいます。「徹底的に彼を知ることが重要なんだ。僕たちは、ある人の話を短い時間で語ろうとしているからね」と語るベイルは、劇中では描かれないマイルズを知ることで、役作りの糧にし、実際のマイルズ本人を知る人々からの信頼を獲得していきました。

まさに俳優の中の俳優と呼ぶにふさわしいクリスチャン・ベイル。初共演となるマット・デイモンと共に、マイルズとシェルビーの友情を真実味のあるものに昇華させました。

米国とイタリアの自動車王の威信をかけた戦いの水面下で繰り広げられた人間ドラマ。仲間や家族の支えによって、見事に信念を貫き通した熱き男たちの生き様に、心を動かさえない人はいないでしょう。『フォードvsフェラーリ』は1月10日(金)日本公開。

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『フォードvsフェラーリ』(原題:Ford v Ferrari)

気鋭のカーデザイナー、キャロル・シェルビー(マット・デイモン)のもとに、フォード・モーター社から思いがけないオファーが届く。それはル・マン24時間耐久レースで、絶対王者であるフェラーリ社に勝てる車を作ってほしいという途方もない依頼だった。かつてル・マンで優勝した経験を持ちながらも、心臓病によりリタイヤしたシェルビーは、破天荒な一流レーサーのケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)の元へ向かう。レースへの純粋な情熱を共有するシェルビーとマイルズは、史上最高の車を生み出すために協力し数々の困難を乗り越える中で、いつしか固い友情で結ばれていく。そしていよいよ決戦の地ル・マンに乗り込んだふたりは、フェラーリと壮絶なデッドヒートを繰り広げるが──。

監督/ジェームズ・マンゴールド
出演/マット・デイモン、クリスチャン・ベイル、トレイシー・レッツ、カトリーナ・バルフ、ノア・ジュプ
製作/20世紀フォックス映画
全米公開/11月15日

日本公開/2020年1月10日(金)全国ロードショー
配給/20世紀フォックス映画
©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation