Column

2019.12.04 17:00

【インタビュー】『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』ネッド役ジェイコブ・バタロン

  • Mitsuo

『アベンジャーズ/エンドゲーム』での戦い後の変わってしまった世界を舞台に、ピーター・パーカー/スパイダーマンの新たな戦いと新たな一歩を描く『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』。今年6月に劇場公開され、ソニー・ピクチャーズ史上歴代1位となる全世界興収11.3億ドルを達成、日本でも興収30億円を突破し、前作『スパイダーマン:ホームカミング』を上回る大ヒットを記録しました。

主人公ピーター役のトム・ホランド、ヒロインMJ役のゼンデイヤら続投組に加えて、ニック・フューリー役のサミュエル・L・ジャクソン、ハッピー・ホーガン役のジョン・ファヴローらMCU常連キャストが集結。さらに今作のキーマンとなるクエンティン・ベック/ミステリオ役には、実力派俳優ジェイク・ギレンホールが参戦。前作に続きジョン・ワッツがメガホンを取り、MCUを大成功に導いたケヴィン・ファイギによるプロデュースという鉄壁の布陣で、スパイダーマンの新たな物語が描かれました。

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のブルーレイ&DVD発売に先立ち、ピーター・パーカー/スパイダーマンの愛すべき親友として前作に続き登場したネッド・リーズ役のジェイコブ・バタロンが来日。Fan’s Voiceのインタビューに応じてくれました。

──ネッド役に選ばれた理由は、ご自身ではどのように考えていますか?自分がピッタリだと実感した瞬間はありますか?
ジョン(・ワッツ監督)やプロデューサーらクリエイター陣は、とにかくこの役にふさわしい俳優を選びたかったのだと思います。最初にスクリーンテストをした時は、きっと僕が選ばれるだろうと思いました。トム(・ホランド)との間にもうはっきりとしたケミストリーがあって、とても良かったからです。その後随分と時間が空いて、気持ちがしぼんでいってしまいましたが、でもこの役に選ばれるという気はずっとしていて、ただ確信が持てなかったという感じです。なにしろ僕が決めることではないのですから。(決まってからは)とにかく僕ができるベストを尽くすだけでした。

──オファーを受けて作品に出演するための準備として、まず何をしましたか?
そうですね、まずはお祝いしました(笑)。たくさんのコミックを読みましたが、役への準備として特別なことはしませんでした。特に多くのことが求められる役ではなく、純粋な少年のように振る舞う役柄なので。。

──ネッドを演じる上で最も大切にしていることは?
ネッドがとても愛すべき心温かい人物だということです。ピーターの大ファンでもあり、彼との関係を非常に大切に思っています。そんな彼の純粋さを大切に、失わないようにすることですね。

──自分との共通点はありますか?
いつもハッピーな気分でいる以外、実はあまりないんです。その純粋さという意味でもネッドとは違う気がして、僕は高校時代は大のトラブルメーカーだったし、彼みたいに頭も良くなかったし。ネッドのオタク的なところは共通していると思いますが、でもそれ以外の純粋さや知性といったものは、まったく僕と違いますね(笑)。

──ネッドの一番好きなところは?
先ほどの繰り返しになりますが、とにかく愛おしくて心温かい人物であるところですね。どんな状況でも彼は非常にポジティブなわけですが、そういう人はなかなかいないと思います。人はネガティブになって悪いところを指摘しがちですが、一方でネッドはいつも前向きで自発的です。

──マーベル・スタジオの映画は公開まで秘密が多いですが、本作では事前に脚本は見せてもらっていたのですか?
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』と『エンドゲーム』では、自分が登場するシーンだけ読ませてもらえました。でも『スパイダーマン』は僕たちのフランチャイズの映画なので、先に脚本全体を読んで、どんな映画を作るのか事前に知ることができました。何も知らずにすぐ撮影に入るのは、本当に難しいことですからね。もちろんギリギリのタイミングや再撮影で追加されたりすることはありますが、それ以外は特にビックリするようなことはありませんでした。

──後で追加されたシーンは?
“ピータームズムズ”は元々の脚本にはなく、後から追加されましたね。小さい事ですが、ピーターが”E.D.I.T.H.メガネ”をかけて、ネッドとベディとか、周りのみんなのメッセージのやりとりが見えてしまうところも。

──『ホームカミング』から本作の撮影までブランクの期間もあったわけですが、その間『スパイダーマン』のキャストたちと連絡を取り合ったりしていたのですが?
1作目(『ホームカミング』)の後、みんな本当に忙しかったのですが、お互いに同じ街に居合わせた時は直接会ったりしました。いつも電話したりFaceTimeで話したりはしています。単なる仕事上の友だちではなく、本当の意味での仲の良い友だちです。今では僕も多くの映画に出演して、そこで会った多くの方とは今でも良い友人ですが、でも『スパイダーマン』の仲間ほど親密な人は他にいませんよ。

──今回の撮影は修学旅行のようだったとのことですが、具体的にどんなことをしたのですか?
特にロンドンとプラハではいろいろなところを探検しました。ゼンデイヤはあまり外に出たがらないのですが、僕やレミー、トニー、ザックばかりがいつも出かけているのが気になっていたようです。なのである日、彼女のために丸一日の計画を立てて、ソーホーハウス(※クリエイターの会員制クラブ)に行ったり、ボーリングに行ったり、ゲームセンターでもたくさん遊びました。彼女はたくさん”勝って”いましたよ。それに外食もしたし、一緒に電車にも乗ったりもしました。別の日には、トムとゼンデイヤ、それから僕たちの友人のトウェインと一緒にドッグシェルターに行ったのですが、いちばん楽しかった出来事の一つですね。本当にかわいい犬がたくさんいて、みんな連れて帰りたかったです(笑)。

──ロンドンではどれくらい撮影していたのですか?
ロンドンには2ヶ月半ほどいて、街中でも本当に多くの時間を過ごしたのですが、たくさんパーティーをして…詳しい話はしないようにします(笑)。街の散策もたっぷりできて、思ってもみなかった屋外の楽しい場所があったり、隠れ家的なバーがあったりして、”普通のこと”をたくさんしました。「バラ・マーケット」とか、いろいろなところに食べに行ったり。

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』ワールドプレミアにて(2019年6月、ロサンゼルス)Photo by Stewart Cook/for Sony Pictures/Shutterstock

──撮影ではアドリブもかなりあったとのことですが、キャストからもどんどん提案していく感じだったのですか?
ジョン(・ワッツ監督)は、セリフに関しても動きに関しても、僕たちからの意見をとても喜んでくれたし、僕たちにアドリブでやるだけの自由を与えてくれました。ほとんどの部分でトムと僕はセリフをしっかりと覚えておらず(笑)、でも彼は僕たちにそのやり方でやらせてくれました。他のみんなはプロとしてきちんとセリフもタイミングも覚えて来ましたが、ジョンはトムと僕を本当に特例扱いしてくれて、実際にやりながら好きなことを言っていくようにさせてくれました。でも他の全員も、それぞれの意見が言える環境があったと思います。

──他の映画ではセリフは覚えるのですよね(笑)?
もちろん、他の映画では僕はきちんとしたプロですよ(笑)。ピーターとネッドに関しては、セリフ通りにやると嘘くさい感じになってしまうというか、自然でなくなってしまう気がします。

ジョン・ワッツ監督

──ピーターとネッドの関係を作る上でトム・ホランドと一緒に取り組んだりしたことはありますか?初めから馬が合った感じだったのですか?
初めて出会った時から、非常にうまくハマったケミストリーがあったと思います。でも最初のスクリーンテストの後しばらく彼と会わない期間があって、撮影が始まる2週間ほど前にアトランタ入りしました。この2週間で僕たちはたくさんの時間を一緒に過ごしたし、ジョンからはデス・スターのレゴを組み立てるように言われて、かなりの時間を費やしました。結局完成しませんでしたがね(笑)。このように初めの段階で非常に親しい関係を築けたし、1作目ではトムと僕がずっと一緒だったので、現場でもたくさんの時間を共にしたことで、本当に仲良くなりました。彼は僕の兄弟です。

──本作で一番好きなシーンは?
ピーターとMJがいるところにネッドがうっかり入ってしまい、二人が協力しているのを知って嫉妬してしまうところですね。とても面白いシーンです。

──ネッドは仲間に加えてほしいという気持ちが強いようですね。
そうなんです。1作目のネッドには、強い特別感があったと思います。スパイダーマンの秘密を知っていたのは彼だけでしたからね。でも(本作で)ネッドがMJを嫌ったりはしないし、彼女がチームに加わったことを楽しんでいます。彼女はFOS(Friend of Spider-Man)=”スパイダーマンの友人”になったわけで、非常に大切な存在ですからね。

──ピーターとネッドはこれまで仲良くやってきていますが、大喧嘩するとしたらどんな事が理由になると思いますか?
ピーターが敵に立ち向かっていく時に、ネッドを”仲間外れ”にしてしまうことかもしれません。スパイダーマンとしてピーターがなにかする時、例えば敵の計画を調べたりする時に、相談してくれなかった時ですね。

──『インフィニティ・ウォー』での”指パッチン”の後、もし仮にネッドが生き残っていたら、どんな気持ちで5年間を過ごしていたと思いますか?
まず僕自身は職を失っていたでしょうね(笑)。高校生には歳を取りすぎてしまっていただろうから、ネッド役は終わっていたかも(笑)。最強のヒーローが全員いなくなって世界を救えないことを非常に悲しんで、『エンドゲーム』の冒頭のように、落胆して迷っている状態になると思います。

──5年経って消えていたピーターが突然目の前に戻ってきたら、どんな反応を示すと思いますか?
僕を見ても誰かわからないでしょうね(笑)。それに大人とティーンエージャーが大親友というのも変な設定になるのでは。ネッドはピーターと再会できて本当に喜ぶと思うし、二人の友情は一生モノですが、僕個人から見たら、年の離れた二人がベストフレンドになるのはとてもおかしいと思います。

──ちなみにあなた自身は、もし親友がスーパーヒーローだったと知ったら、どうしますか?
真っ先にメディアにタレコミして、世界中に知らせますね。(秘密を守ることに対して)ネッドはきちんとしていますが、ジェイコブは全然ダメです(笑)。

──ミステリオのイリュージョンを自由に操れるとしたら、何を見たいですか?
ソーの世界のようなものを見てみたいですね。天国のような素晴らしい、虹や蝶々がいっぱいで、カラフルで、ファンタジーの世界のようなところ。現実世界にはひどいところが十分にあるので、良いところが見たいです。

──”椅子の男”とスパイダーマン、どちらでも選べるとなったら、どちらが良いですか?
個人的にはスパイダーマンになろうとは思いませんね。でもスーパーヴィランには絶対になりたいです。”良い人”はカッコいいですが、”悪い奴”はもっとカッコいいと思います。

──好きなヴィランはいますか?
ジョーカーの大ファンです。それからサノスもとても好きだし、クールだと思います。それからスパイダーマンシリーズ(コミック・アニメ版)に出てくるメインヴィランの一人、クレイヴン・ザ・ハンターも。

──『スパイダーマン:スパイダーバース』もあったように、多彩なスパイダーマンがいますが、自分がなるならどんなスパイダーマンが良いですか?
PS4版のスパイダーマンのゲームで遊んでいたのですが、カッコいいスーツが本当にたくさん登場します。アイアンスパイダーのスーツのようだけど見た目は違う、メタル製の普通のスーツが好きだったし、それから緑と黒のスーツも本当にカッコよくで大好きです。

──一番好きなアベンジャーズのメンバーは?
(しばらく悩む)。この質問には毎回違った回答をしてしまう気がするのですが、『エンドゲーム』での知的なハルクがとても好きです。本当に面白いし、ヒーローなのにいつも言い返したり態度が大きかったりして、とても可笑しかったです。

──もともとは音楽を勉強されていたとのことですが、俳優を志そうと思ったきっかけはあったのですか?
初めのきっかけは、とにかく実家から外に出ることでしたね。平凡な環境で身動きがとれず、そのまま島で何もせずに人生を終えたくありませんでした。演劇学校に行ってからは本当にたくさん学んだし、芸術というものを今では強く尊敬しています。映画を作るのも、クリエイティブな人と交流するのも本当に好きで、そうした意味で非常に達成感を感じています。

──尊敬する俳優や一緒に仕事をしてみたい監督は誰ですか?
ホアキン・フェニックスがとても好きです。非常に知的で様々なことに精通していて、本当に最高だと思います。それからロバート・ダウニー・Jr.は、とにかくあんな風になれたら、という存在として最高ですね。ドウェイン・ジョンソンも大成功していると思います。クリスチャン・ベールのキャリアも好きですね。それからジャック・ニコルソンも。彼らは皆、独特のキャリアで上手く成功してきていると思います。僕もひとつの役に収まりたくないので、彼らが”いろいろな人”になれていることを特に尊敬しています。監督では、マーティン・スコセッシ、クエンティン・タランティーノ、ウェス・アンダーソンですね。

──『ホームカミング』と『ファー・フロム・ホーム』を終え、ネッド役を2回演じたわけですが、自身の中で変化はありましたか?
そうですね、今の方がずっとハッピーです。私生活でも人間関係やメンタル面で以前より非常に良い状態で、この仕事が僕の人生を本当に後押ししてくれたと思います。

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『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』

ピーターは夏休みに、学校の友人たちとヨーロッパ旅行に出かける。しかしそこに待っていたは、元S.H.I.E.L.D.長官であるニック・フューリーだった。迫りくる新たな脅威を察したニックは、スパイダーマンの力を必要としていたのだ。目の前に立ちはだかる脅威に立ち向かう使命を、ニックは怖気づくスパイダーマンに託す。ヴェネチア、ベルリン、ロンドンといったヨーロッパ都市をはじめ、各国を危機に陥れるのは、“火”や“水”など自然の力を操るクリーチャーたち。世界に脅威が迫る中、ニックはミステリオをピーターに引き合わせる。異次元から来たという彼もまた、ピーターと共に敵に立ち向かっていく。そしてこの戦いに、ソーやキャプテン・マーベルの力は借りられない。ピーター=スパイダーマンはこの危機にどう立ち向かうのか──今、世界は彼に託される!

監督/ジョン・ワッツ
製作/ケヴィン・ファイギ、エイミー・パスカル
脚本/クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
製作総指揮/ルイス・デスポジート、ヴィクトリア・アロンソ
原作・製作総指揮/スタン・リー
キャスト/トム・ホランド、サミュエル・L・ジャクソン、ジェイク・ギレンホール、、ジョン・ファヴロー、コビー・スマルダーズ、ゼンデイヤ、ジェイコブ・バタロン、マリサ・トメイ

ブルーレイ&DVD 好評リリース中
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