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2019.09.06 12:49

オダギリジョー監督『ある船頭の話』ベネチアで公式上映!5分間のスタンディングオベーション

  • Fan's Voice Staff

第76回ヴェネチア国際映画祭のヴェニス・デイズ部門に選出されたオダギリジョー長編初監督作品『ある船頭の話』が、ベネチア現地時間9月5日(木)に公式上映され、主演の柄本明、村上虹郎、オダギリジョー監督が登場しました。

© Kazuko Wakayama

上映会場となるSala Perlaには多数のカメラが集結し、約500席のチケットも完売。過去4本の出演作がヴェネチア国際映画祭に出品され、今年は監督(『ある船頭の話』)と俳優(『サタデー・フィクション』)の2作品での参加となった、“ヴェネチアに愛された男”オダギリジョーの人気の高さを伺わせました。

長編初監督作で邦画としては史上初のヴェネチア国際映画祭〈ヴェニス・デイズ〉部門に選出されたオダギリジョー監督(以下:オダギリ)。公式上映前、日本メディア向けに行われた会見では、ヴェネチア国際映画祭に招待されたことについて「俳優として何度か参加した思い入れのある映画祭だったので、とても光栄です」と心境を語り、作家性を重視するヴェニス・デイズ部門への出品について「長編初監督作品で選んでいただけるのは本当に幸せで、それ以上の言葉が見つからない」と喜びを噛みしめていました。

© Kazuko Wakayama

主演を務めた柄本明(以下:柄本)は、「監督に船頭という役で選んでもらえて、ヴェネチアに来られたことを大変光栄に思います」とコメント。

© Kazuko Wakayama

公式上映では、オダギリ、柄本、村上虹郎(以下:村上)が参加し、エンドロールから約5分間の鳴りやまないスタンディングオベーションに応えました。

© Kazuko Wakayama

上映後のQ&Aで、脚本段階での構想について聞かれたオダギリは、「最初僕が船頭の主人公・トイチを演じるつもりで書いていて、突然現れる少女が大人に変わっていく過程を、親子のような仲で紡いでいくドラマをイメージしていたが、柄本さんにお願いすることになり、関係性を書き直した。結果的に、柄本さんがキャラクターにより深みをあたえてくれて、素晴らしい高みに持っていってくれた」と自信を覗かせました。

© Kazuko Wakayama

諸行無常を表す英題“They Say Nothing Stays the Same”について、「“すべてのものは変わってしまう“というタイトルだが、船頭は何も変わらなかったのではないか?」という質問に対してオダギリは、「船頭は(この先もずっと)舟に乗り続けるし、そのまま変わらないものも確かにある。そう受け取ってもらえた事は嬉しいし、そういう色んな見方をしてもらえる映画であってほしいと思っていたので有難いです」と、映画に込めた思いを語りました。

また、ワールドプレミアとなった公式上映について、オダギリは「(上映の途中で)出ていってしまう人もいるのではないかと心配しましたが、あれだけ長い時間拍手をいただいて、皆さんに満足してもらえたように見えたので本当に嬉しかったです」、柄本は「疲れましたね(笑)。初めて試写で観た時とは感じ方が違いました。監督の志の高さをあらためて強く感じました」、村上は「僕もかなり体力と気力を奪われました。3回目の鑑賞ですが、3回とも違う映画を観ているような不思議な感覚。あと、イタリアの映画好きの方々が観終わった直後に感想を話し合っているのが印象的だった」と、それぞれ感想を語りました。

ヴェニス・デイズ部門の授賞式は、日本時間9月7日(土)午前1時/現地時間9月6日(金)18時より実施予定。

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『ある船頭の話』

一艘の舟。全ては、そこから始まる──。
近代産業化とともに橋の建設が進む山あいの村。川岸の小屋に住み船頭を続けるトイチは、村人たちが橋の完成を心待ちにする中、それでも黙々と渡し舟を漕ぐ日々を送っていた。そんな折、トイチの前に現れた一人の少女。何も語らず身寄りもない少女と一緒に暮らし始めたことで、トイチの人生は大きく狂い始める。

脚本・監督/オダギリ ジョー
出演/柄本明、川島鈴遥、村上虹郎、伊原剛志、浅野忠信、村上淳、蒼井優、笹野高史、草笛光子、細野晴臣、永瀬正敏、橋爪功
撮影監督/クリストファー・ドイル
衣装デザイン/ワダエミ
音楽/ティグラン・ハマシアン

日本公開/2019年9月13日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開
配給/キノフィルムズ、木下グループ
公式サイト
© 2019「ある船頭の話」製作委員会