第76回ベネチア国際映画祭ラインナップ発表!『ジョーカー』、ブラピ最新作などがコンペ入り!
- Fan's Voice Staff
第76回ヴェネチア国際映画祭(8月28日〜9月7日)のラインナップが発表され、コンペティション部門を競う21本の顔ぶれが明らかになりました。
オープニング作品は、すでに発表されていたように、是枝裕和監督がカトリーヌ・ドヌーヴを主演に迎え、フランス資本でフランスで撮った『真実』(原題:La Vérité)。昨年のカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した是枝監督が、フランスの大女優と初タッグを組む話題作です。共演には、ジュリエット・ビノシュ、リュディヴィーヌ・サニエ、イーサン・ホークと豪華。開会式のレッドカーペットも華やかになりそうです。
ハリウッドメジャー系では、ワーナー・ブラザースの『ジョーカー』と20世紀FOXの『アド・アストラ』がコンペ入りしました。
DCコミックスのスーパーヴィランを主人公とした『ジョーカー』は、大道芸人アーサー・フレックスが悪の権化ジョーカーになるまでを描くもの。主演のジョーカー役には、ホアキン・フェニックス、共演がロバート・デニーロと、大物演技派の対峙に期待が高まります。監督は、『ハングオーバー!』シリーズを大ヒットさせたトッド・フィリップス。コメディ色の強い監督だけに、どんなテイストに仕上がっているのか気になります。
『アド・アストラ』は知的生命体の探索の中で行方不明となった父の消息を追うロイを主人公としたスペース・アドベンチャー。主演のブラッド・ピットが初めて宇宙飛行士を演じることでも話題です。監督は、ヴァネッサ・レッドグレイヴがヴェネチア映画祭で女優賞を受賞した『リトル・オデッサ』(94年)のジェームズ・グレイ。
5月のカンヌ国際映画祭を2年連続でパスしたNetflixからは、2本がコンペ入り。スティーヴン・ソダーバーグの『The Laundromat』はパナマ文書を巡るドラマで、メリル・ストリープ、ゲイリー・オールドマン、アントニオ・バンデラス、アレックス・ペティファーと、キャストも豪華です。
もう1本は、ノア・バームバックのヒューマンドラマ『マリッジ・ストーリー』。スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーが、結婚に破綻した夫婦を演じます。
ほかにもNetflix作品では、ティモシー・シャラメ主演の『キング』がアウト・オブ・コンペティション部門でプレミア上映されます。『アニマル・キングダム』で知られるオーストラリア出身のデヴィッド・ミショッド監督のこの作品は、シェイクスピアの「ヘンリー4世」、「ヘンリー5世」を下敷きにしたストーリー。英国王である父の死後、王位を継承した王子が、宮廷の問題や戦争、混乱の時代を経験しながら、国王としてたくましく成長していく姿を描きます。共演には、ジョエル・エドガートン、ロバート・パティンソン、リリー=ローズ・デップなど。
Netflix作品では、ロバート・デニーロとアル・パチーノ共演、監督マーティン・スコセッシという話題作『The Irishman』も期待されていましたが、いつもながらスコセッシの編集が遅れ、間に合わなかったよう。
コンペティション部門の審査員長を務めるのは、『沼地という名の町』(01年)、『サマ Zama』(17年)のアルゼンチン監督、ルクレシア・マルテル。世界三大映画祭の中で最古の歴史を誇るヴェネチアで、女性が審査員長となるのは7人目です。ほか審査員には、ピアース・ハンドリング(カナダ;歴史学者、批評家)、ジェニファー・ケント(オーストラリア;映画監督)、ステイシー・マーティン(イギリス;女優)、ロドリゴ・プリエト(メキシコ;撮影監督)、塚本晋也(日本;映画監督)、パオロ・ヴィルツィ(イタリア;映画監督)が決定しています。
昨年のヴェネチアでは、ワールドプレミアされたアルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』が最高賞の金獅子賞を受賞し、その後アカデミー賞では最多10部門にノミネート、監督賞などを受賞しました。一方で、同年のアカデミー作品賞に輝いたのは、トロント国際映画祭で観客賞を受賞した『グリーンブック』。
今年もヴェネチアと一部会期が重なる形で9月5日より開催されるトロント国際映画祭には、ヴェネチアで披露されるのではと噂されていた、タイカ・ワイティティが監督を務めるFOXサーチライト作品『JoJo Rabbit』や、アンセル・エルゴート主演の『The Goldfinch』などがプレミア上映される予定です。
トロント映画祭は出品者サイドに、”トロントでのプレミアを望むならヴェネチアとテルライド(映画祭)を避けるように”とプレッシャーを強めているという報道もあり、本格的な賞レースのキックオフとして重要視されてきたヴェネチアと、観客賞受賞作がアカデミー賞につながる傾向のあるトロントのバトルにも引き続き注目したいところ。
日本からは是枝監督以外にも、サイドバーの「ヴェニス・デイズ」部門にオダギリジョー初監督作品『ある船頭の話』が選出されています。脚本もオダギリジョーの描き下ろしによるもので、山村の川で渡し舟を漕ぐ船頭を通して、人間の根源に迫るドラマ。さらにオダギリジョーは、コンペティションに選出されている中国のロウ・イエ監督の『サタデー・フィクション』にも出演しており、監督および俳優としてもヴェネチア映画祭に参加するという快挙。現地での反応も楽しみです。
以下、コンペ入りした作品リストです。
コンペティション部門
『真実』是枝裕和(日本、オープニング作品)
『The Perfect Candidate』ハイファ・アル=マンスール(サウジアラビア)
『About Endlessness』ロイ・アンダーソン(スウェーデン)
『Wasp Network』オリヴィエ・アサヤス(フランス)
『マリッジ・ストーリー』ノア・バームバック(アメリカ)
『Guest of Honour』アトム・エゴヤン(カナダ)
『アド・アストラ』ジェームズ・グレイ(アメリカ)
『A Herdade』ティアゴ・ゲデス(ポルトガル)
『Gloria Mundi』ロベール・ゲディギャン(フランス)
『Waiting for the Barbarians』シーロ・ゲーラ(コロンビア)
『Ema』パブロ・ラライン(チリ)
『サタデー・フィクション』ロウ・イエ(中国)
『Martin Eden』ピエトロ・マルチェッロ(イタリア)
『La Mafia Non E Piu Quella Di Una Volta』フランコ・マレスコ(イタリア)
『The Painted Bird』ヴァーツラフ・マルホウ(チェコ)
『Il Sindaco del Rione Sanita』マリオ・マルトーネ(イタリア)
『Babyteeth』シャノン・マーフィ(オーストラリア)
『ジョーカー』トッド・フィリップス(アメリカ)
『J’accuse』ロマン・ポランスキー(フランス)
『The Laundromat』スティーヴン・ソダーバーグ(アメリカ)
『No. 7 Cherry Lane』ヨン・ファン(香港)
==
第76回ヴェネチア国際映画祭
会期/2019年8月28日(水)〜9月7日(土)
開催地/イタリア・ヴェネチア
フェスティバル・ディレクター/アルベルト・バルベーラ
© La Biennale di Venezia – Foto ASAC.