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2019.06.24 17:30

クロード・ルルーシュ監督『男と女 人生最良の日々』2020年1月に日本公開決定

  • Fan's Voice Staff

 

クロード・ルルーシュ監督『男と女』(66年)の53年後を描いた新作『Les plus belles années d’une vie(原題)』が、邦題を『男と女 人生最良の日々』として2020年1月に公開されることが決定しました。

1966年のカンヌ国際映画祭で当時の最高賞であるグランプリや、米アカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞し、不朽の愛の名作として根強いファンを世界中に持つ『男と女』。当時まだ無名だった29歳のクロード・ルルーシュ監督が描いた、“妻に自殺された男と夫を事故で亡くした女”の出会いと恋を描き、今でも“大人の恋愛映画の傑作”と誉れ高い作品です。

その続編となる『男と女 人生最良の日々』は、主人公2人の53年後のふたりを当時と同じ俳優で描き出した奇跡のラブ・ストーリーです。

元レーシング・ドライバーの男、ジャン・ルイ(ジャン=ルイ・トランティニャン)は、今は老人ホームに暮らし、かつての記憶を失いかけています。彼の息子は、父親を助けるために、父がずっと追い求めている女性アンヌ(アヌーク・エーメ)を探すことを決心。果たしてアンヌは、ジャン・ルイと再会し、2人の物語をまた“あの場所”から始めることできるのか……。

53年経っても色褪せることない美しい愛の物語から始まった二人のその後を描いた本作は、観る人全ての心を打ちます。2018年に他界した作曲家フランシス・レイのあの名曲もさまざまなアレンジで登場。

『男と女 人生最良の日々』は、2019年5月に開催された第72回カンヌ国際映画祭でプレミア上映され、上映後は20分にも及ぶスタンディングオベーションが続く大喝采を浴びました。

クロード・ルルーシュ監督は6月20日〜23日に開催された「フランス映画祭2019 横浜」の団長として13年ぶりに来日し、6月21日に本作の日本でプレミア上映および女優・岸惠子とのトークセッションに出席しました。

岸は、パリで暮らしていた際にクロード・ルルーシュ監督のオフィスの向かいに住んでいたこともあり、そこの試写室で第一作目の『男と女』ほか多くの彼の作品を鑑賞した想い出を語ったほか、最新作『男と女 人生最良の日々』について「ひどく感動した。53年たったジャン=ルイ・トランティニャンの顔が大きく映し出されたとき、こういう映画ができるフランスがうらやましい、こういう文化的土壌は日本にはないなと思った」と、その感動を述べました。

監督からは「今日ここに来られたことを嬉しく思います。53歳若返ったような気がします。なぜなら、53年前に『男と女』を持って来日し、そして53年後にその映画のエピローグをもって日本に来ることは想像もしませんでした。この映画を観て頂けたら、私にとってどれほど重要なものか分かって頂けると思います。同じ監督が、同じ俳優を使って、53年後にその後のストーリーを撮るということは、映画史上ないことです」と、今回の来日に対する感動を語りました。

さらに監督は、「本作は『男と女』をすでに観た人に向けて作られた映画ではありますが、まだ一度も『男と女』を観ていない人にもわかるように構成しました。テスト上映を何回もしましたが、年老いた人も若い人も同じようにこの映画を楽しんでくれた。この映画は観る人の年齢を選ばないのです。まだ『男と女』を観ていない方にも是非ご覧頂きたい」と温かい笑顔とともに語り、会場は大きな拍手に包まれました。

6月22日(土)には本映画祭の一環として、早稲田大学にてマスタークラスを開催。本作のタイトルを“人生最良の日々”と名付けた理由について、フランスの小説家ビクトル・ユゴーの言葉「人生最良の日々はまだ生きられていない」から引用したことを明かし、その理由として「私はこれまで過去よりどんなに困難であっても、今生きている現在を愛し続けてきた」「未来はあまりにも大きな疑問符なため恐れてしまう。現在が一番単純明快であり、我々に属しているもの」と、自身が20歳の時に感銘を受け、これまでの自分の人生を導いてくれたとても重要な言葉として紹介しました。

©UniFrance

 

映画に対する音楽の使い方については、「私は全ての作品において、まず先に音楽を録音します。映像を作った後に音楽をあてる、ということはいたしません。それは作品の欠点を音楽で補う、ということになってしまうからです。私は音楽を主人公であるかのように扱います」「音楽は人間の非合理的な部分、つまり、感情に訴えかけます。例えば、脚本は人々の合理的な部分、知性に訴えかけますが、音楽は人の非合理的な部分、無意識を目覚めさせるものであり、私の映画はそうであってほしいと思っている」と、自身のこだわりを語りました。

©UniFrance

また、キャスティングについては、「監督にとってとても重要な仕事」「“真実の香り”を捉えるために、私は脚本のセリフに重きをおかない」と語り、『男と女』のキャスティングの際は、「1人の男優と1人の女優のポートレートを撮るのではなく、1人の男と1人の女のポートレートを撮りたかったので、その役割が担える俳優としてジャン・ルイとアヌーク・エーメをキャスティングした」と振り返りました。

自身の撮影現場では、「覚えたテキストを語って欲しくないから、事前に脚本を渡さない」「いつもラストは決めないで撮影に入るのです。いい俳優であれば役割を増やすし、よくない俳優であれば減らす。実人生でもいい人であれば過ごす時間が長くなるのと一緒ですね」と語る監督。「その日の撮影で起きたことによって、毎晩翌日の脚本を書き換える」と、“人生=映画である”との監督の言葉を実際に体現するような撮影手法を説明しました。

最後に監督は「私にとっては現在だけが重要、私の映画にメッセージはありませんが“人生は愛すべきだ”ということは伝えています」「観る人たちに必ず希望を与えたい。観客が生きたいと思える映画を撮りたい」「いつでも大事なのは次の作品なので、現在一番大事なのは今準備している50本目の作品」と、“現在が一番大事である”ことを信条とする監督らしい言葉で締めくくりました。

©UniFrance

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『男と女 人生最良の日々』(原題:Les plus belles années d’une vie)

監督/クロード・ルルーシュ
出演/アヌーク・エーメ、ジャン=ルイ・トランティニャン、スアド・アミドゥ、アントワーヌ・シレ
音楽/カロジェロ、フランシス・レイ
2019年/フランス/90分/フランス語

日本公開/2020年1月全国公開
配給/ツイン
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