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2019.06.08 9:30

撮影ルールは”リハーサルなし”!『ハウス・ジャック・ビルト』ラース・フォン・トリアーの撮影スタイルに注目!

  • Fan's Voice Staff

過激発言によりカンヌ国際映画祭より追放処分を受けてから7年。昨年開催された第71回カンヌ国際映画祭アウト・オブ・コンペティション部門で、待望の完全復活を果たした鬼才ラース・フォン・トリアー監督の最新作『ハウス・ジャック・ビルト』が6月14日(金)に日本公開されます。

あらゆるタブーに切り込みセンセーショナルな反響を巻き起こしてきたラース・フォン・トリアーは、『奇跡の海』、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』、『アンチクライスト』、『ニンフォマニアック Vol.1/Vol.2』といった話題作を世に送り込んできた、デンマークの名匠。世界3大映画祭のひとつとして数えられるカンヌ国際映画祭では、審査員特別賞や最高賞のパルムドールを受賞。コアな映画ファンのみならず、ハリウッドからも一目置かれる映画監督です。

© Gerhard Kassner / Berlinale

本作で主演に抜擢されたマット・ディロンも、若かりし頃からハリウッドのメジャー映画で活躍してきた一人。巨匠からの直々のオファーに「今回のオファーはとても驚いた。僕はラースに会ったことがなかったからね。でも、彼のことを尊敬していた。僕が観た限りの彼の作品はすべて好きだし、彼と一緒に仕事をした俳優たちが彼を尊敬しているのを聞いていたから。特に、ステラン・スカルスガルドは常にラースのことを称賛していた」と明かしています。

トリアー監督といえば、センセーショナルな題材にも物怖じせずに切り込む独特の過激な作風のほかにも、トマス・ヴィンターベアやスサンネ・ビアらと共に、 映画を製作する上で重要な10のルールを定めた運動“ドグマ95“で自国デンマーク映画の存在を世界に知らしめたことで有名です。

本作においても、現場での撮影スタイルはトリアー監督ならではのオリジナルルールで溢れていたとのこと。”テイクごとに全く違う演技をしてもかまわない”、”立ち位置は決めない”といったルールがあるなかで、マットを特に戸惑わせたのは”リハーサルはなし”という項目。サイコパスで、オリジナリティに満ち溢れる殺人方法を見せるシリアル・キラーを演じる上で、撮影に不安を覚えたマットは、監督にリハーサルを行うべきだと相談したそう。すると、トリアー監督は「いいよ」と即快諾!しかしその後すぐに「じゃあリハーサルなしで一回やってみてから、リハーサルしよう」と禅問答のような提案を返されたとのこと。

ラース・フォン・トリアー監督(左)とマット・ディロン

セットの壁にも“ミスをすること”という貼り紙が大きく掲出されていたそうですが、トリアー監督も「間違えても問題ないと感じられる方が、自然とラクに取り組むことができるでしょ」と、自身の作風とは打って変わり、撮影現場には穏やかな空気を作ろうと心掛けていたとのことです。

マットは、そんなトリアー監督との撮影を振り返り、「幸運なことにこれまでさまざまな優れた監督たちと一緒に仕事をすることができたけれど、ラースはそのなかでも最良の監督のひとりだ。ラースは俳優のための監督だと思う。そして、彼はプロットと構成の他は、感情を優先にして、論理はしばしば窓の外へ捨ててしまう(笑)。編集で繋がらないようなところがあっても気にしない。そして決して妥協しない。彼との仕事は素晴らしい経験だったし、本当に大好きな監督だ。それに何より僕は彼の映画のスタイルが好き」と称賛しています。

作風だけでなく、映画監督としての姿勢や信念も他とは一線を画すトリアー監督ですが、そのこだわりから生まれる唯一無二の映像体験に、ますます期待が高まるばかりです。

尚、本作の日本公開にあたり、2つのトークイベントの開催が決定しました。

6月15日(土):映画公開記念 アートから読み解く『ハウス・ジャック・ビルト』 ラース・フォン・トリアー監督の頭のなか 滝本誠×小谷元彦トークショー

劇中に幾度も唱えられる“芸術”という言葉、不穏に鳴り響くデヴィッド・ボウイの名曲『FAME』。シリアルキラーの内なる葛藤と欲望はアーティストのそれと同じ、それ以上なのか。視聴覚に強烈に訴えかけてくる”破格の問題作”をアートの視点から読み解きます。

日時:滝本誠(美術・映画・ミステリ評論家)、小谷元彦(美術家・彫刻家)
日程:2019年6月15日(土)19:30〜21:00 (開場19:15)
会場:代官山 蔦屋書店 1号館 2階 イベントスペース
会場住所:東京都渋谷区猿楽町17-5
参加条件:代官山 蔦屋書店にて、下記いずれかの対象商品をご予約・ご購入頂いたお客様がご参加いただけます。
対象商品:
・『ハウス・ジャック・ビルト』前売券(1,400円/税込)+イベント参加券(600円/税込)セット2,000円(税込)
・イベント参加券 1,000円(税込)
定員:70名 ※定員になり次第締切ります
※ご来場の方には映画公式グッズのおみやげ付
イベント公式ページ

6月24日(月):美術・映画・ミステリ評論家の滝本誠、デザイナー・映画ライターの高橋ヨシキ、映画評論家・特殊翻訳家の柳下毅一郎登壇!トークイベント開催決定!

公開から1週間、遂にネタバレ解禁!トリアー作品を知り尽くした登壇者が本作を完全解説!

出演:滝本誠(美術・映画・ミステリ評論家)、高橋ヨシキ(デザイナー・映画ライター)、柳下毅一郎(映画評論家・特殊翻訳家)
日時:2019年6月24日(水)19:00〜21:00(開場18:30)
場所:TOT STUDIO
会場住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷3-62-1 THINK OF THINGS 2F
料金:前売1,800円、当日2,000円
■定員:65名 ※定員になり次第締切ります
※ご来場の方には映画公式グッズのおみやげ付
※『ハウス・ジャック・ビルト』鑑賞券の半券ご提示でドリンク1杯サービス

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『ハウス・ジャック・ビルト』(原題:The House That Jack Built)

監督・脚本/ラース・フォン・トリアー
出演/マット・ディロン、ブルーノ・ガンツ、ユマ・サーマン、シオバン・ファロン、ソフィー・グローベール、ライリー・キーオ、ジェレミー・デイビス
全米公開/2018年11月28日
映倫/R18+指定

日本公開/2019年6 月14日(金)新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ有楽町 ほか全国公開!
配給/クロックワークス、アルバトロス・フィルム
公式サイト
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