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2019.05.18 7:26

窪田正孝主演『初恋』カンヌでワールドプレミア!Q&Aに三池崇史監督らが登壇、観客の反応も到着

  • Fan's Voice Staff

現在開催中の第72回カンヌ国際映画祭の併設部門として、フランス監督協会が主催する「監督週間」に選出されている三池崇史監督『初恋』。5月17日(金)にワールドプレミアとなる公式上映が行われ、満席の客席の前に三池崇史監督、小西桜子が登場しました。

© Kazuko Wakayama

『初恋』は、バイオレンス・アクションで定評のある三池監督が初のラブストーリーに挑む野心作。希有の才能を持つプロボクサーの葛城レオが、負けるはずのない相手との試合でKO負けを喫したことから、人生の歯車が一気に狂い、アンダーグラウンドの世界で巻き起こる人生で最高に濃密な一晩を描きます。

主役の葛城レオを演じるのは、窪田正孝。三池崇史監督とタッグを組むのは、「ケータイ捜査官7」以来約10年ぶり。オーディションで3,000人の中から選ばれた小西桜子は、本作で重要な役どころ、モニカ(桜井ユリ)を演じました。

現地時間5月17日(金)夜にカンヌの「Theatre Croisette」で開催された公式上映には、三池監督の最新作を観ようと、上映前から長蛇の列ができ、800席が満席に。入場できない観客も出てくるなど大盛況の中、上映が開始されました。上映中は爆笑や拍手が巻き起こるなど、カンヌの目の肥えた観客にも受け入れられた様子が垣間見られました。

上映終了後、万雷の拍手に迎えられ、三池崇史監督と、小西桜子が登場。大盛り上がりの中、質疑応答が行われました。

──なぜ『初恋』というありがちなタイトルをつけたのですか?
三池監督 ありがちな映画を作りたかっただけです(笑)

──この作品には多くの登場人物が登場します。映画はキャストが重要な要素の一部であると思いますが、今回どのように選ばれたのですか?
三池監督 日本で実力と人気があるキャストに集まってもらいました。皆、主役をはれる俳優たちですが、そういった俳優たちは、人気があるゆえに、みんなが共感するような役をやることが多い。自分がやりたい役や、やりたいように自由に演じられないことがある。そんなフラストレーションをこの作品で爆発してもらったので、演出はあまりせず気持ちをそのままぶつけてもらいました。

© Kazuko Wakayama

──なぜ小西さんを選んだのですか?
三池監督 実力のあるキャストが集まる中で、モニカにリアリティを持たせるためには、見たことのない女性がどうしても必要でした。だから3000人の中から選んだわけですが、オーディションで会って、いたな、って感じでしたね。演技経験はなくても、それはそれで魅力が出ると思って選びました。

──小西さんは、今回出演していかがでしたか?
小西 映画の出演はこの作品がほとんど初めてで、皆さんにたくさんは助けていただきました。演技テクニック云々ではなくて、自分のまっさらな状態を引き出していただいたので、当時の私にしか出せないものが出せてたと思います。本当に光栄です。
(場内からの温かい拍手に思わず感極まる小西)

© Kazuko Wakayama

<観客からの質疑応答>

──なぜ窪田さんを選んだのですか?
三池監督 まず、いいやつなんだよね(笑)10年前に彼をオーディションで選んで、今や日本では若手のスターになった。それから10年経った彼が、今度は自分が新人を支える。それが彼の運命なのかなと思いました。 

──この作品を監督しているとき、何本同時に進行していましたか?
(場内爆笑)
三池監督 いやいや、この作品に集中していました(笑)でも、撮影中に役者たちと色々話している中で構想も生まれてきたので、密かに進めているものは何本もあった、と言えるかもしれない(笑)。

──最後のファイトシーンはどんな意図をもってつくったのですか?
三池監督 意味っていうか、ヤクザだから喧嘩するっていうシンプルな発想ではあるんだけど、昨今の日本のヤクザ界においては、日本の法律の厳しさや、中国マフィアが日本に進出してきていることなどが現実としてある。そんなリアルな構図をひとつの戦いに投影させたつもり。

──カーアクションのシーンが、アニメーションで表現されていたのが印象的でしたが、そのインスピレーションはどこから湧いてきたのですか?
三池監督 スタントシーンができる若者がいなくて、このアクションシーンをやってもらうと、きっと腰を痛めてしまうと思ったので、アニメーションで表現するアイデアが湧いてきました。

© Kazuko Wakayama

三池監督のウィットに富んだ回答に、会場が笑いに包まれながらイベントは終了。多くのマスコミからフラッシュを浴び、再び大きな拍手を受けながら会場を後にしました。

囲み取材

スクリーンでの質疑応答の後には、三池監督と小西の囲み取材が行われました。

──カンヌの目の肥えた観客の反応を間近に感じてみていかがでしたか?
三池監督 私のファンは夜行性なひとが多いのではないかと思っているのですが(笑)予想以上の反応をいただけて良かったです。上映中、笑いが起きていましたが、役者の演技やそれぞれのキャラクターが届いてるということだと思う。日本とカンヌでは、観客の受け取り方が多少ずれているかもしれないけど、それはそれで面白い。

──日本との観客の反応の違いは感じますか?
三池監督 微妙な違いはあるけれど、日本映画らしい“何か”は感じてくれているし、不思議なくらい大きな違いはないと思います。「監督週間」の公式上映に足を運んでくれる人は、そんなズレを楽しんだり、集団で同じ空間でその作品を共有することが好きなひとが多いと感じています。

──イベント中、小西さんは感極まっていましたが、カンヌの観客の前に立ってみていかがでしたか?
小西 日本でさえ私のことを知らない中、カンヌでも勿論私のことを知らないのに、上映後にあんなにたくさんの方が温かく拍手をしてくださって本当に嬉しかったです。壇上に立たせていただいて、ただただ光栄という気持ちでした。
(小西さん、再び感極まり号泣)

三池監督 俺にもこういう時代があった!

──窪田さんに今日のことを報告するとしたら?
三池監督 先日初めて作品観終わった後、役者たちと酒を飲んでいるときにみんなが興奮していたんだけど、カンヌの反応も皆と同じリアクションだったよと伝えたいですね。

──カンヌに初めていらっしゃって、改めていかがですか?
小西 カンヌは、祭!という感じで街全体が本当に盛り上がっていて楽しいです。空いている時間で雰囲気を楽しませていただいています。映画の買い付け交渉などが行われているマーケットもお邪魔しましたが、自分を売り込みました(笑)!ますます頑張って恩返しできればと思っています。

──何本同時に進行しているのか、という質問がでていましたが、今回オリジナルストーリーでカムバックしたことについてどのように感じていらっしゃいますか?
三池監督 オリジナルをつくれる環境はいいことだと思います。でもオリジナルでなければならないということではない。それも必要かもしれないが、それが目的ではない。それよりも、とにかく色んな形で映画化していく。人生短いし、自分を解放して色んなものとって、また吸収していきたいです。

上映後の観客の反応

ワールドプレミアとなった今回の上映を終え、早速観客からの声も到着。

「素晴らしくて、楽しかったです。良く出来ていました。ダイナミックで力強くて…素晴らしかったです!」(女性)

「とても気に入りました。面白くて、バイオレンス要素もあってクレイジーでした。とても驚きのある映画でした。本当に素晴らしくて、いい作品で、とても気に入りました。本当に驚きで…予想してなかったので面白かったです。観客の反応も良かったです。みんな笑っていて良い瞬間でした。予想以上でした!」(男性)

「最高でした!本来は好きなジャンルではないのですが、すごく気に入りました。ユーモアがあって、素晴らしかったです」(女性)

2人組のカップル
「クレイジーでよく笑いました」(女性)
「素晴らしかったです!バイオレンスがあって、シリアスで…クレイジーだし、悲しいし、本当に素晴らしかった!」(男性)

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『初恋』(英題:First Love)

監督/三池崇史
主演/窪田正孝
企画プロデュース/紀伊 宗之(東映)
プロデューサー/Jeremy Thomas(Recorded Picture Company)
プロデューサー/坂 美佐子(OLM)
制作/OLM

日本公開/2020年公開
配給/東映
© 2020「初恋」製作委員会