Column

2019.04.26 18:00

このジャンルにハズレなし!“相手をナメてたら、実は殺人マシンでした”映画最強のふたりの最新作

  • Fan's Voice Staff

強い相手に喧嘩を売ることほどマヌケなものはない。

ワケあって、静かに暮らしている主人公が、ちょっかいを出されたばっかりに思わぬ事件に巻き込まれるが、実は戦いだしたらめっぽう強かった!

そんな胸をすくような映画が、ひとつのジャンルを確立するのではないかと思うど、ちょっとしたブームです。

火付け役は、名優リーアム・ニーソン。スティーブン・スピルバーグの『シンドラーのリスト』(93年)ではナチスからユダヤ人を救った隠れた実業家を演じ、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(99年)では、オビ・ワンの師匠であるジェダイ、クワイ・ガン・ジンを演じた名優です。

そのイメージは、寡黙で思慮深い英雄。

そんな彼が、愛する娘のために殺人マシーンと化する元CIAエージェントを演じたのが『96時間』です。“真面目で一見、温厚そうだけれど、キレたらコワイ、お父さん”という新境地を開拓したニーソンでしたが、いまではすっかりそのイメージも定着しました。

そんなリーアム・ニーソンの最新主演作『スノー・ロワイヤル』(19年)も例にもれず。模範市民賞を受賞するような生真面目な除雪作業員の男が、愛するひとり息子を死に追いやった組織に、ひとりで立ち向かうというストーリー。除雪で培った“技”を生かして、バッタバッタと悪人を成敗する様は圧巻です。

実は、これはノルウェーのヒット作『ファイティング・ダディ』を監督のハンス・ペラル・モランドが自らの手でハリウッド・リメイクした作品。オリジナルでは、ステラン・スカルスガルド(こちらも絶妙!)でしたが、米国版にあたって、モランド監督がニーソンを起用したのは必然といえるでしょう。
 

この人気ジャンルに参戦したのが、なんとアクションスターのジャッキー・チェン。

『ザ・フォーリナー/復讐者』は、ロンドンでレストランのオーナーとしてつつましい生活を送る、ジャッキー・チェン演じるクワン・ノク・ミンが、愛する娘を失い、その復讐のために特殊部隊時代に培ったスキルを活かし、犯人グループへ復讐していくストーリー。

アクション・コメディで知られるジャッキーですが、今回は笑いを封印。感情を押し殺し、殺人マシーンと化して、真実へと近づいていきます。“五代目ジェームズ・ボンド”ことピアース・ブロスナンが、重要な役どころで出演していますが、ジャッキーのキレたお父さんぶりは、007を凌ぐ非情ぶり。まさにジャッキーの新境地開拓といえるでしょう。

そんな絶対に敵に回したくない、キレたら怖い主人公が殺人マシンと化する他のオススメ作品はこちら。合わせてご鑑賞ください!

『ランボー』(1982)

ベトナム戦争帰還兵シルベスター・スタローン演じるジョン・ランボーは、かつての戦友のいる山岳地帯のふもとの小さな町を訪れる。しかし、戦友はすでに死去していた。失意の中、食事をしようとしたランボーをよそ者嫌いの町の保安官ティーズルは半ば強引に逮捕するが、怒れるランボーは脱走し、山中に立てこもる。ゲリラ戦の名手である彼は、追っ手を次々に返り討ちにしていく。スタローンの『ロッキー』に並ぶ当たり役となった本作は、アクション映画の新境地を切り開いた。現在、シリーズ5作目が待機中。

『96時間』(2008)

リーアム・ニーソン演じる元CIA工作員のブライアンは、離婚した妻レノーアと裕福な再婚相手スチュアートと共に暮らす、17歳の実娘キムと親しい関係を保とうと努力している。そんな中キムが、友人のアマンダと一緒に2人きりでパリ旅行に行きたいと言い出し、ブライアンは渋々許す。パリについた2人は、現地で知りたったピーターと名乗る男とタクシーをシェアしたために宿泊先を知られ、拉致されてしまう。娘を救うためCIA工作員時代のスキルを活かしブライアンは、1人で犯人グループに立ち向かっていく。誘拐した娘の父が殺人マシーンだったという、まさに「ナメてた相手が、実は殺人マシンでした映画」シリーズの金字塔とも言える作品です。

『アジョシ』(2010)

元・特殊要員のウォンビン演じるテシクは質屋を営み、細々と暮らしている。彼を訪ねてくる人は、質屋に物を持ち込む人とテシクを「アジョシ」(おじさん)と呼ぶ隣に住む少女ソミだけ。ある日、ソミの母親が麻薬の事件に関わったことで、ソミも一緒に拉致されてしまう。暗殺を主な任務とする情報特殊部隊の元要員であるテシクは、これ以上愛する者を失いたくないという一心でソミを救うため、一人で組織と戦っていく。テシクの手によって悪が徹底的に叩きのめされるシーンは、溜飲が下がるに違いない。

『イコライザー』(2014)

デンゼル・ワシントン演じるロバート・マッコールは、生真面目にホームセンターで働きながら、深夜は行きつけのダイナーでの読書が日課となっていた。そのダイナーには同じく常連の歌手になる夢を持つ娼婦のアリーナがおり、ある日彼女は仕事中に暴力を振るってきた客に反撃し怪我をさせる。それが原因で、元締めから見せしめに激しい暴力を受け、彼女はICU送りとなってしまう。この事件をきっかけにマッコールは、元CIAの凄腕諜報員であったスキルを活かし、警察が介入できないような不正やトラブルを19秒で完全抹消する“イコライザー”として悪を正していく。彼の身の周りにあるモノ全てを武器に変え、悪を懲らしめる姿からカタルシスを得ることに間違いなしだ。

『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』(2018)

©2017 Mandy Films, LTD. All Rights Reserved

ニコラス・ケイジ演じる過去のある男レッドは、愛する女性マンディ(アンドレア・ライズブロー)と人里離れた場所で静かに暮していた。しかし、狂気のカルト集団によって、マンディはレッドの目の前で理不尽に惨殺されてしまう。怒り狂った彼は、オリジナルの武器を携え、復讐に走る──。ニコラス・ケイジ「キャリア史上最高の演技」と評され、ギレルモ・デル・トロ監督も「クレイジー。グッド。クレイジーグッド。ゴージャス。観て!」とツイートするなど、大絶賛を浴びた一作。鬼才パノス・コスマトス監督による圧倒的な映像美と、本作が遺作となった作曲家ヨハン・ヨハンソンの音楽にも注目。

==

『ザ・フォーリナー/復讐者』

怒らせてはいけない人を怒らせてはいけない。
ロンドンでレストランのオーナーとしてつつましい生活を送るクァン(ジャッキー・チェン)。平穏無事な生活を送っていた中、突然たったひとりの高校生の娘が無差別テロに命を奪われてしまう。クァンは復讐の怒りに煽られ、静かに爆発していく。彼は犯人を探すうちに、北アイルランド副首相のリーアム・ヘネシー(ピアース・ブロスナン)にたどり着く。ヘネシーは、官僚としての仕事で過去に抱えた問題に脅かされていた。クァンの犯人を追うあくなき執念が、昔アメリカの特殊部隊出身である事を浮き彫りにしていく。次第に明らかになっていく二人の過去。敵か、味方か……孤独な男たちの戦いは、想像もしない結末へと向かっていく──。

監督/マーティン・キャンベル
脚本/デヴィッド・マルコーニ
製作/ジャッキー・チェン、ウェイン・マーク・ゴッドフリー、アーサー・M・サルキシアン、ケイ・キン・ハン、クレア・カップチャック、ジョン・ゼン、スコット・ランプキン、ジェイミー・マーシャル、キャシー・シュルツマン 
音楽/クリフ・マルティネス
出演/ジャッキー・チェン、ピアース・ブロスナン

日本公開/2019年5月3日(金・祝)新宿ピカデリー他 全国ロードショー
配給/ツイン
公式サイト
© 2017 SPARKLE ROLL MEDIA CORPORATION STX FINANCING, LLC WANDA MEDIA CO., LTD.SPARKLE ROLL CULTURE & ENTERTAINMENT DEVELOPMENT LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

==

『スノー・ロワイヤル』(原題:Cold Pursuit)

雪の町キーホーで模範市民賞を受賞するほどの真面目な除雪作業員ネルズ・コックスマン。ある日、一人息子が麻薬の過剰摂取に偽装されて地元の麻薬王バイキングの組織に殺されてしまう。裏で組織が糸を引いていることに気付いたネルズは、ある時は素手で、ある時は銃で、ある時は除雪車で、一人また一人と敵を殺していく。しかし、敵対するネイティブアメリカン麻薬組織の仕業と勘違いしたバイキングはネイティブ組織を襲撃。相手もその報復に出る。静かな田舎町で起きた久々の事件に、地元警察はテンション上がりっぱなし。ネルズの戦いは、全く思いもよらない方向へと進んでいくのだった……。

監督/ハンス・ペテル・モランド
出演/リーアム・ニーソン、ローラ・ダーン、トム・ベイトマン、エミー・ロッサム、ジュリア・ジョーンズ、ウィリアム・フォーサイス
原案/『ファイティング・ダディ怒りの除雪車』
2019年/アメリカ映画/シネスコ/119分/PG12

日本公開/2019年6月7日(金)より、全国ロードショー!
配給/KADOKAWA
公式サイト
© 2019 STUDIOCANAL SAS ALL RIGHTS RESERVED.