カンヌ国際映画祭2019 ラインナップが発表!グザヴィエ・ドラン、アルモドバルなど常連がコンペ入り
- Atsuko Tatsuta
5月14日(火)〜25日(土)に開催される第72回カンヌ国際映画祭の公式セレクションが、4月18日(木)、パリのUGCノルマンディー劇場で、映画祭プレジデントのピエール・レスキュールと、ディレクターのティエリー・フレモーにより発表されました。
オープニング作品は、すでに発表されているようにジム・ジャームッシュ監督の『The Dead Don’t Die』。ビル・マーレイ、アダム・ドライバー、ティルダ・スウィントンら超豪華キャストが集結したゾンビコメディです。ジム・ジャームッシュ監督&アダム・ドライバーは、『パターソン』に続くタッグに。
女性の監督作品の少なさが毎年、話題になりますが、今年は今のところ13人の女性監督の作品がオフィシャル・セレクションとして、ピックアップされているそう。
毎年、アイコニックなキャラクターが起用されるポスターですが、第72回のポスターは、去る3月29日に90歳にして惜しまれながら逝ったフランス映画界の重鎮アニエス・ヴァルダです。モチーフに使われている写真は、1954年8月、当時26歳のヴァルダが愛した南フランスの都市セテのポワントクールト地区の海辺で、1955年にカンヌで上映された長編劇映画デビュー作『ラ・ポワント・クールト』を撮影した時のもの。
1950年代から60年代にかけては、ヌーヴェル・ヴァーグの紅一点として活躍。その後も、常に第一線で活躍してきたヴァルダですが、女性のフィルムメーカーに焦点が当たる今日のカンヌの顔としてまさにふさわしいといえるでしょう。
会見の冒頭でフレモーは、アニエス・ヴァルダ監督への哀悼の意を述べるとともに、彼女の初期のキャリアから、2018年にカンヌでドキュメンタリー賞を受賞したJRとの共同監督作『顔たち、ところどころ』にまで言及し、その功績を讃えました。
また、この3年間、議論を呼んでいるNetflix作品の上映に関しては、未だに話し合いがつかなず、去年に続き、Netflix作品の上映はなしとのこと。プレジデントのレスキュールは、「コンペのルールはシンプル。(フランスの)映画館で公開される映画ということ」とカンヌの主張を強調しました。したがって、カンヌでの上映が期待されていたNetflix製作によるマーティン・スコセッシの『 The Irishman』、メリル・ストリープ主演の『The Laundromat』、ノア・バームバック監督の 『The King’ will be going elsewhere』の上映は叶わず。これらの作品が8月末から開催されるヴェネチア映画祭に流れるのかどうかも注目されます。
また、今年は残念ながら日本映画がオフィシャル・セレクションに1本も選出されませんでした。去年、『万引き家族』で最高賞のパルムドールに輝いた是枝裕和監督がフランスで撮った『La Vérité』は、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、リュディヴィーヌ・サニエといったフランスの大物女優を起用していることからもカンヌでのプレミアが期待されていましたが、完成が間に合わないとの理由でセレクションから漏れています。
招待作品(Out of Competition)では、『キングスマン』シリーズのタロン・エジャトン主演、イギリスの伝説的ミュージシャン”エルトン・ジョン”の半生を描いたミュージカル・ファンタジー映画『ロケットマン』が下馬評通り上映決定。『ボヘミアン・ラプソディ』では製作総指揮を務め、監督のブライアン・シンガー降板後に監督を代行し、作品を完成させたデクスター・フレッチャーが監督。出演にあたってタロン・エジャトンは過酷なボイストレーニングを経て、劇中でのエルトン・ジョンの楽曲を吹き替え無しで歌いきるという、さらなる熱演ぶりとのこと。ディレクターのフレモーによると、サー・エルトン・ジョンもカンヌ入りする予定で「バックステージには、ピアノを用意しておく」とも。
また、『パルプ・フィクション』(94年)でパルムドール受賞以来、カンヌ常連となったクウェンティン・タランティーノ製作・脚本・監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の上映も、ポスト・プロダクションに時間がかかっていて、間に合わないとのこと。レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビーほか豪華キャストが集結した話題作だけに残念!(※5月2日にコンペ部門で上映が追加発表)
さて、注目のコンペティション。
オープニングを飾るジム・ジャームッシュを始め、テレンス・マリック、ペドロ・アルモドバル、ケン・ローチ、マルコ・ベロッキオ、ダルデンヌ兄弟、アルノー・デプレシャン、といった大御所の常連、ポン・ジュノ、グザヴィエ・ドランといったお馴染みの顔ぶれに混じって、初コンペ入りのフレッシュな顔も多く、プログラミングサイドの目配りが伺えます。今回、発表された作品は19本ですが、これから5月13日までの間に、あと数本は追加ががあり、最終的には20〜22本あたりになると予想されます。
今年のコンペティション部門の審査員長は、アカデミー賞受賞監督のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ。ある視点部門審査員長は、昨年のカンヌでコンペティション部門審査員賞に輝いた『カペナウム』のナディーン・ラバキー監督。