Column

2019.03.23 21:00

【単独インタビュー】『バンブルビー』プロデューサーが明かす「続編ではオプティマスが重要キャラに」

  • Hikaru Tadano

マイケル・ベイ監督&スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮によるメガ・ヒットシリーズ『トランスフォーマー』。2017年の『トランスフォーマー/最後の騎士王』で第5作目を迎えた同シリーズ初の実写版スピンオフとなるのが、『バンブルビー』です。

 

 

舞台は1987年のサンフランシスコ郊外の海辺の町。父を亡くした喪失感から抜け出せない18歳の少女チャーリー(ヘイリー・スタインフェルド)と、とある目的で地球にやってきた“地球外生命体”バンブルビーの出会いと友情の物語です。

 

米国では12月21日に公開されるや否や“シリーズ最高傑作!”と絶賛された本作。第1作からこのシリーズを率いているプロデューサー、ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラに、撮影秘話と今後の展望を聞きました。

 

 

──すでに言われ慣れてしまっているかと思いますが、『バンブルビー』は、『トランスフォーマー』シリーズにおける最高傑作だと思います。素晴らしい出来ですね。

ありがとうございます。何度聞いても嬉しい褒め言葉ですよ。本当にこの作品を誇りに思っています。

 

──この物語は、1987年のサンフランシスコを舞台にしていますが、どこからこの設定がきたのでしょうか。

我々は、みんなこのシリーズの生みの親でもある、スティーブン・スピルバーグの1980年代のアンブリン作品(※1982年にスティーブン・スピルバーグが設立した映画、およびTV番組の制作会社)の影響を受けてきました。この作品では、あの時代の雰囲気をスクリーンに反映させたかったのです。当初、脚本には、舞台はカリフォルニアとしか書いてありませんでした。でも、カリフォルニアには、南カリフォルニアと北カリフォルニアがある。私たちはロケハンをして、“海辺と郊外っぽいところがある場所”を探しました。そして、サンフランシスコ近郊の街にたどりついたんです。

 

 

──北カリフォルニアのヴァレーホの街付近で撮影したそうですが、重要なシーンが展開されるゴールデンゲートブリッジが見える丘も印象的です。あそこは具体的にどこですか?

あそこは、ドライブで行くといいですよ。本当に美しい場所です。絶景ですね。具体的な名前は忘れてしまいましたが、かつては、米軍の基地として使われていた場所です。終盤のシーンだけでなく、バンブルビーとチャーリーが隠れ方のトレーニングをするシーンとかも、同じエリアの浜辺で撮影されました。ダイビングのシーンの崖のシーンもそうですね。この作品のロケハンは、とにかくとても楽しかったですよ」

 

──『バンブルビー』は、これまでの『トランスフォーマー』シリーズと比べると、とてもエモーショナルな作品になっていますね。18歳の少女を主人公にした親密なストーリーという、これまでにない新しい方向性に向かった理由はなんでしょうか?

まさしくそれがこれまでのシリーズに欠けていた部分だからです。今回は、感情のドラマにフォーカスしたいと思いました。これまではずっと少年、あるいは青年が主人公でしたが、女の子を主人公にすることで、また違った親密さが生まれます。バンブルビーとチャーリーが、お互いを必要としているという物語の核は、とてもエモーショナルなものなのです。

 

──バンブルビーは、従来のシリーズでも人気のキャラクターです。これまでは、イエローのシボレー・カマロにトランスフォームしましたが、本作では、それがフォルクスワーゲンのビートルに変わっていますね。誰のアイデアだったのですか?

誰か一人のアイデアというわけじゃなくて、みんなでたくさん話し合っている間に出てきたんです。87年という設定が決まった時点で、多くの意見が出ました。正直、懸念もありました。まず、クールさにかけるんじゃないか。『トランスフォーマー』は、ハズプロ社のフィギュアから派生した映画ですが、ハスブロが、あれだけ手を変え品を変え、カマロに力を注いできたのに、急にビートルに変えると言われるとどう思うのか、とか。そういう話し合いの中がありながらも、最終的にビートルに決まりました。ガレージのシーンも多いので、ガレージに置いて収まりのいい、というところもポイントでしたね。また、ビートルは見るからに可愛らしく、ハグしたくなるような丸味を帯びた形だし、今回のストーリーにふさわしかったと思います。結果的にはとてもよかったと思います」

 

 

──1987年に設定したのは、スピルバーグ作品にオマージュを捧げてとのこと。あなたにとってスピルバーグはどういう存在ですか?

スピルバーグとは、27、28年、いろいろなかたちで一緒に仕事をしてきました。一緒にたくさん映画を作ってきて思うことは、彼は、シンプルに映画を作るということです。映画をシンプルに仕上げるのは、実は難しい。みんなかっこよく見せたい、深みのある作品に見せたいと、どんどん複雑になっていく。スピルバーグは、シンプルだからこそ、胸に迫る真実を描くことができるのです。それができる監督は非常に少なくて、彼はそのひとりですね。そういった意味では、いつもいろいろ学ばせてもらっています。それから個人的にいうと、スピルバーグはとても良い人で、若い頃から私のこともずっと支援してきてくれました。いまだに彼と友達でいて、仕事仲間でもいられるなんて、なんてラッキーなんだろうと思います。

 

──本作では、監督がマイケル・ベイからトラヴィス・ナイト監督に交代しましたね。実写映画未経験のアニメーション監督を抜擢したのは、勇気がいると思いますが、その決め手はなんだったのでしょうか?

最初は私もちょっと怖かったんです。彼と何回かミーティングを持ちましたが、だんだん確信へと変わっていきました。この作品の監督として最も大事なのは、チャーリーとバンブルビーの関係を描けることです。彼は、明確なアイデアがあって、私たちの方向性を非常に良く理解してくれていました。私たちは、アクションシーンのような、彼がこれまでやってこなかった部分に関しては心配しませんでした。これまで一緒に製作してきた経験豊かなスタッフがいたのでね。彼は、本当にこの作品のことをよく理解していたんです。それに彼はとても真面目で、ハードワーカーなんです。私は、1億ドル単位の大作を撮るというだけで、プレッシャーに潰されていった監督たちもたくさん知っています。しかしながら、彼は信頼できる監督でした。

 

ヘイリー・スタインフェルド(左)とトラヴィス・ナイト監督

 

──トラヴィスは、最初からふたつ返事でOKしたのですか?

彼は驚いていたましたよ。彼は実写映画は撮ったことがなかったし、しかも、こんな大作ですからね。でも、一方で、彼はとても興奮していました。彼は、子供だった80年代に、トランスフォーマーのフィギュアに遊んでいて、大ファンだったからです。私が思うに、すべての監督には、適度なエゴが必要です。ただ、ハリウッドでは、知らないことを知らないといえない若い監督も多い。知らないことを認めず、自我を通そうとすると、成功することは難しい。彼は、知らないものは知らないと言い、無知を認めて、学ぼうとする姿勢があります。彼は将来も楽しみですよ」

 

──これは、あなたから若い監督たちへのアドバイスでもありますね!

ああ、そうだね!ごまかすのが上手くて、そこそこの線まで行ったけれど、えらいことになった監督もいましたしね(苦笑)。

 

──ところで、多くの映画を製作されてきた中で、『トランスフォーマー』シリーズは、あなたにとってどんな位置づけですか?

私は若い頃、ワーナー・ブラザースにいて、『ハリー・ポッター』や『マトリックス』といった人気シリーズに携わってきました。でも、自分の人生の12年をも費やして取り組んできたシリーズはないので、とにかく特別なものです。長きに渡って関わり、さらに新作を出すのは、難しいことです。(製作することで)自分自身がワクワクするか、それがとても大事なんです。だから、アニメーション出身の監督を起用したり、主人公を青年から女の子にしたり、物語をより感情のドラマにするとか、新しいことに挑戦するのです。自分自身も楽しめるし、観客も楽めるような作品を作りたいんです」

 

 

──『バンブルビー』は、いわゆるスピンオフ作品です。他のスピンオフをつくったりと、今後『トランスフォーマー』ユニバースは拡張していくのでしょうか?

これまで『トランスフォーマー』5作品をつくり、マンネリ化していたともいえますが、本作でがらっと方向転換をしたことで、自信がつきました。殻を破れたように、突然いろいろなことが可能なように思えてきました。オプティマス単独作ももちろん可能でしょうが、彼は全能すぎて、面白くするのは実は難しいキャラクターです。今後は、他ジャンルの要素も入れて、この世界を広げていっても良いと考えています。たとえば、タイムトラベルものは面白くなるのではと、私は思っています。直近の計画としては、シリーズ他作品と深く繋がらない本家『トランスフォーマー』映画がありますが、『バンブルビー』の続編として、オプティマスが重要なキャラクターとなるバンブルビーの物語も作ってみたくも思います。『バンブルビー』という、これまでとは非常に異なった作品が成功したことで、自由度がより高まったと思います。

 

──本家のシリーズには、マイケル・ベイが監督として戻ってくるのでしょうか?

マイケルはもう十分やったのではないかと思います(笑)。5作品を監督するとは、かなりのことです。これまで12年間、私は他にもたくさんの映画をプロデュースしましたが、彼はトランスフォーマー5作品以外は、わずか2作ほどしか監督できていません。トランスフォーマーはもう存分に経験したので、それほど興味を持たないのではないでしょうか。わからないですけどね。あと、私自身は絶対に監督になれないと思いますよ。監督になると、一つの作品に2年間ずっと打ち込まないといけないのですから。本当に大変なことです。

 

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Lorenzo di Bonaventura(ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ)

1957年生まれ。ハーバード大卒。ワーナー・ブラザースで130以上もの映画製作に携わり、同社社長を経て、2002年にディ・ボナヴェンチュラ・ピクチャーズを創設。主な作品に『トランスフォーマー』シリーズ、アンジェリーナ・ジョリー主演の『ソルト』(10年)、マーク・ウォールバーグ主演の『バーニング・オーシャン』(16年)、『MEG ザ・モンスター』(18年)など、30以上の作品を製作。2019年はキアヌ・リーヴス主演の『Replicas』(原題)などをリリース予定。

 

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『バンブルビー』(原題:Bumblebee)

自分の居場所を見つけられない思春期の少女チャーリーは、海沿いの小さな廃品置き場で、ボロボロの黄色い車を見つける。「バンブルビー」と名付け、修理したこの車が、やがて普通の車ではないと気づくのに、時間はかからなかったー。1987年、まだ地球は平和な生活を送っていた。その時までは。

 

監督/トラヴィス・ナイト
原案/クリスティーナ・ホドソン
脚本/クリスティーナ・ホドソン、ケリー・フレモン・クレイグ
製作/ドン・マーフィ、トム・デサント、ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、マイケル・ベイ
製作総指揮/スティーヴン・スピルバーグ、ブライアン・ゴールドナー、マーク・ヴァーラディアン、クリス・プリガム
キャスト/ヘイリー・スタインフェルド、ジョン・シナ、ジョージ・レンデボーグJr.、ジョン・オーティス、ジェイソン・ドラッカー、パメラ・アドロン、ステファン・シュナイダー
全米公開:2018年12月21日

 

日本公開/2019年3月22日(金)全国ロードショー配給/東和ピクチャーズ
公式サイト
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