是枝裕和監督『万引き家族』ロサンゼルス映画批評家協会賞にて外国語映画賞を受賞
- Fan's Voice Staff
是枝裕和監督作『万引き家族』が第44回ロサンゼルス映画批評家協会賞にて外国語映画賞を受賞しました。
アカデミー賞前哨戦として注目を集める同賞は、ロサンゼルスを拠点に活動する映画批評家で構成された“ロサンゼルス映画批評家協会”のメンバー投票によって決定。村上春樹の短編小説「納屋を焼く」をもとにした韓国映画『バーニング 劇場版』も、『万引き家族』と並んでの外国映画賞受賞となりました。
今回の受賞は、日本映画では黒澤明監督の『乱』以来33年ぶりの外国語映画賞を受賞となりました。過去には『君の名は。』(新海誠監督)、『かぐや姫の物語』(高畑勲監督)、『千と千尋の神隠し』(宮崎駿監督)がアニメーション映画賞に輝いており、本年度のキャリア功労賞には宮崎駿監督が選ばれました。(※日米合作作品としては、クリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』が作品賞を受賞。)
授賞式会場では、スタンディングオベーションと割れんばかりの拍手に包まれる中、是枝監督が登場。トロフィーを受けとった是枝監督は「この賞を頂いたお礼を一言述べたくて、10時間飛行機に乗って、今朝この街に着きました。本当にありがとうございます。5月にカンヌの映画祭で賞を頂いた時に、審査委員長のケイト・ブランシェットさんがこの作品の事をインビジブルピープル、目に見えない人たちを目に見える形にしたというところをすごく評価していただきまして、とても嬉しかったんですね。この映画に限らず、いつも映画を作る時には、見えないもの、声にならない声をどういう風に映画にするかという事をいつも考えているのでとても嬉しかったです。映画にはある力があると思っています。それは、例えば日本と韓国とか、アメリカとメキシコとか隣り合う国と国、人とひとの間に大きな力が、壁を作りお互いがお互いを見えなくしようとする時に、その壁を取り払ってお互いを見える形にしていく、そういう力が映画にはあると思っています。なのでこの賞を友人でもあり、韓国の最も尊敬する監督でもあるイ・チャンドンさんと同じ賞を受賞できたことが本当に嬉しいですし、これからもその力を、映画の力を信じて映画を作り、また10時間でも20時間でもまた飛行機に乗って皆さんの元に訪れたいと思います。今日はありがとうございます」とスピーチ。
また同日、1月13日に発表となったカリフォルニア州パームスプリングスで開催のパームスプリングス映画祭でも、外国語映画に贈られるFIPRECI賞(国際批評家連盟賞)を受賞しました。
第91回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞するなど、現在56の海外映画賞各部門でのノミネート、30の受賞を重ねている『万引き家族』は、第91回米国アカデミー賞の外国語映画賞部門<日本出品作品>にも選ばれています。最終ノミネーション発表前の候補リスト9本にも残っており、今回の受賞は1月22日(火)に行われるノミネート発表に向けても大きな弾みとなりました。
『万引き家族』は既に日本公開スタートから7ヶ月が経過し、動員数3,710,531人、興行収入4,539,007,128円(1月10日時点)という、是枝監督作品最大の興行収入を記録。現在も全国で大ヒット公開中です。
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『万引き家族』(英題:Shoplifters)
高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。
冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく──。
原案・監督・脚本・編集/是枝裕和
音楽/細野晴臣(ビクターエンタテインメント)
出演/リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ、緒形直人、森口瑤子、山田裕貴、片山萌美、柄本明、高良健吾、池脇千鶴、樹木希林
2018年/日本
日本公開/2018年6月8日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給/ギャガ
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