Column

2018.12.09 14:00

【単独インタビュー】『スター・ウォーズ レジスタンス』製作総指揮アシーナ・ポルティーニョに聞く製作秘話

  • Fan's Voice Staff

『スター・ウォーズ』の新しいTVアニメシリーズ『スター・ウォーズ レジスタンス』(以下、『レジスタンス』)。米国では10月7日に米国のディズニーXDで放映され話題となった本作。日本では第1話と第2話を初回特別エピソードに編集した『スター・ウォーズ レジスタンス/スカウト』が、12 月 9 日(日)夜 7 時より、ディズニーXD と全国無料のBS テレビ局Dlife の 2 局同時に日本初放送されます。

2015年に公開され、全世界でメガヒットした実写映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の6ヶ月前を舞台に、銀河帝国の残党から生まれたファースト・オーダーが勢力を拡大する中、レジスタンスのエース・パイロットであるポー・ダメロンに見いだされた若きパイロット、カズは、BB-8とともにファースト・オーダーの脅威をスパイする任務を負う。

スター・ウォーズの正史として展開するこの新シリーズは、スパイ活動の他、これまで描かれることのなかった空のレースと空中戦が見どころとなります。

監督は、ルーカスフィルムのベテラン監督デイブ・フィローニ。プロダクションは、デジタルアニメーションの雄、ポリゴン・ピクチュアズ。

公開に先立ち来日したルーカスフィルムのエグゼクティブ・プロデューサーのアシーナ・ポルティーヨ氏にインタビューしました。ヒロインのトーラを真似た(元ネタはレイア姫)ヘアスタイルで登場したポルティーヨ氏は、スター・ウォーズ愛に溢れたチャーミングな方でした!

──『レジスタンス』は、日本アニメの影響も受けているそうですが、具体的にはどんな作品ですか?

「まずデイブ・フィローニと次はどのような番組にしようか話していたのですが、デイブには、誰も観たことのないような番組にしたいという思いがありました。よく話題にあがったのは、『ロボテック』、『マクロスプラス』、『BLAME!』、『ゴジラ』、『シドニアの騎士』、『山賊のむすめローニャ』ですね。これらは新しめの作品でですけどね。一見、まったく違うテイストですけれど、それぞれに影響を受けているんです」

──あなたも個人的に好きな日本作品はありますか?

「私は日本のアニメや作品で育ったんです。個人的には、『ロボテック』、『マクロス』シリーズですね。見た目がとても好きなんです。SFが好きだったので、そういう作品が特に好みでした。実写版だと『ギャラクティカ』とかも好きでした。他にも宮崎駿監督の作品も好きで、『もののけ姫』をはじめジブリ作品はすべて見ていますよ」

──アメリカのアニメーションと日本のアニメの違いはなんでしょうか?

「日本の作品では、忠誠心とか友情、家族の愛が描かれています。家族のためには、どんなことがあってもそれを守るために努力をする。その関係性とアメリカのアニメは、ヒーローがいて悪役がいてという、場合によっては友情を育むところまでいったりすることが多いけれど、家族を描くというところが私自身、日本のアニメに惹かれる理由です。私自身、家族と仲が良いんです。姉と母とは、親友のような仲です。日本のアニメーションを見ると、センチメンタルになって涙が浮かぶこともあります。例えば、宮崎駿監督の作品には、長い“間”があります。それは意図的なもので、その間にそれまでのストーリーを振り返ったりすることができる。アメリカの作品は、編集のスピードが早く、次々に物事が起こってくる。アクション、アクション、アクションって感じにね。日本の場合は、静かで音楽もない、静寂を重要視するシーンも大切にしている。そういう瞬間がとても好きなんです」

──ジョージ・ルーカスは、若い頃カーレースの経験がありますね。『レジスタンス』は、カーレースのシーンも見どころですが、ルーカス氏とカーレースについてお話したことはありますか?

「それはないわね。でも、是非お話してみたいですね」

──そうですか。それは残念!レースシーンは、とても臨場感がありますが、本物のエアレースを参考にしているのですか?

「そうですね。実際の映画やレースの映像とかも参考にたくさん見ていますよ。サンタローザの空軍基地にも行き、戦闘機や機材などの写真もたくさん撮り、参考にしました。私たちが描く飛行機が、大きさなどを含め、ちゃんと飛行可能なものなのかもなるべく正確に表現しようとしました。デイヴは、第二次世界大戦の写真や映像もたくさん参考にしていましたね。映画『パール・ハーバー』の後半の戦闘シーンで、パイロットから見る風景などを参考にしたりもしました」

──『レジスタンス』に登場するビークル「ブルーエース」のカラーリングは、ポルシェ917に似ているともいわれていますが、実際にモチーフにしたのでしょうか?

「トーラのビークルね。そうですよ!アートディレクターは、エイミー・ベス・クリスチャンセンという女性なんですけど、彼女もアニメで育った人なんです。彼女はキャラクターだけでなく、ビークルのデザインやカラーにもとてもこだわりをもっています」

──『クローン・ウォーズ』、『反乱者たち』、『レジスタンス』などの差別化は?

「差別化といえば、特に質感ですね。『クローン・ウォーズ』は特にブラシのストロークが見えるように質感を出していますし、『反乱者たち』ではそういったところはみられません。今回の『レジスタンス』は、ブラシのストロークもなめらかですね。『レジスタンス』に関しては、先ほど影響を受けているアニメーションを『BLAME!』や『シドニアの騎士』などを挙げましたが、技術的にはなんと言うのか言葉がわかりませんが、肌や顔の輪郭の部分の表現の仕方とか、瞳の描き方が特徴があると思います。ポリゴンが本当に素晴らしい仕事をしていると思います」

──監督であるデイブ・フィローニとの仕事は他の監督たちとどのように違いますか?

「それを話すとなると2時間くらいかかっちゃうんですけど、デイブは、私にとって兄のような存在です。家族みたいなんです。彼は、とにかく才能があって、エグゼクティブ・プロデューサーとしてもクリエーターとしても、多岐にわたってすべての工程において才能を発揮できる才能を持った人。脚本を書き、脚本をリライトし、細部へのこだわりもすべて管理できる能力がある。ストーリーだけでなく、アニメーションからルックスもコンポジットのミキシングもみたり、すべてにおいて優れているんです。監督も人によっては、例えばストーリーには強いとか演出に長けていたりするけれど、デイブの場合はすべてにおいて長けている。これは非常に稀なことなんです。私たちは、まず彼のメモを見てから動くんです」

──実写、アニメを含めたスター・ウォーズのユニバースでは、魅力的な女性キャラクターが多数登場しますが、あなたが気に入っている女性キャラクターは誰ですか?

「レイアですね。ライトサイドの方ではレイアよ。ダークサイドでいえば、グェンドリン・クリスティーが演じたキャプテン・ファズマですね」

──日本でも『反乱者たち』の完結編といわれているシーズン4が最終回を迎えました。彼らに近々、会えることはあるのでしょうか?

「とてもいい質問ですね!でも答えられないの。まだ『レジスタンス』の作業が終わっていなくて、作家たちがその脚本の執筆にかかっているということもあるけど。私もファンとしてそれはいつも思っています。作家たちによる会議で、可能性として反乱者たちのキャラクターがまた登場することはあるのか聞いたら、デイブ側の答えは、物語上で必要であればそういうこともあり得るかもしれない、ということだったわ。ただカメオ的に彼らが登場するということはしないということでした。ストーリー的に必要であれば、またあるかもしれません」

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アシーナ・ポルティーヨ(Athena Portillo)

エミー賞受賞歴を持つアシーナ・ポルティーヨは、ルーカスフィルムが贈る「スター・ウォーズ」最新TVシリーズ『スター・ウォーズ レジスタンス』のエグゼクティブ・プロデューサーを務めます。

アシーナ・ポルティーヨは、昔から「スター・ウォーズ」の熱狂的なファンで、インターンとしてルーカスフィルムでのキャリアをスタートしました。その後、ライセンス部門、商品開発、視覚効果のような様々な部署を経て、「スター・ウォーズ」のアニメーション制作に携わるようになりました。ルーカスフィルムのベテラン、デイブ・フィローニは、「彼女の車のユニークなナンバープレートに目が止まり、それがきっかけで「スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ」のアソシエイト・プロデューサーに抜擢した」と語っており、同作では、ラインプロデューサーまでも務めました。またポルティーヨは、エミー賞ノミネート作品『スター・ウォーズ 反乱者たち』の制作にも携わっています。

ポルティーヨは『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』で2度のエミー賞を受賞し、『スター・ウォーズ 反乱者たち』でもサターン賞を2回受賞しました。また、2016年ハリウッドレポーターによる“エンターテイメント業界で最も力のある女性100人”にも選ばれました。

アメリカ、カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。

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『スター・ウォーズ レジスタンス/スカウト』

新共和国司令部の指示で、レジスタンスへ情報を届けに来たパイロット、カズ。ファースト・オーダーのタイ・ファイターに攻撃を受けるが、ポー・ダメロン中佐が現れ、 2人で協力して敵を追い払う。レジスタンスの軍艦に招かれたカズは、彼の才能に目をつけたポーから勧誘される。

監督/デイブ・フィローニ
エグゼクティブ・プロデューサー/アシーナ・ポルティーヨ、ジャスティン・リッジ、ブランドン・アウマン
吹替キャスト/カズーダ・ジオノ:木村昴、ニーク・ヴォゾ:花輪英司、タム・リヴォーラ:田村睦心、ジャレク・イェーガ:竹内良太、トーラ・ドーザ:佐藤美由希、ポー・ダメロン:小松史法、キャプテン・ファズマ:斉藤貴美子

12月9日(日)夜7時 ディズニーXDとDlifeで同時日本初放送

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