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2018.12.06 23:15

【ノミネート一覧】2019年ゴールデングローブ賞ノミネーションが発表!最多はクリスチャン・ベールが米元副大統領チェイニーを演じる『バイス』

  • Fan's Voice Staff

第76回ゴールデングローブ賞のノミネーションが、12月6日未明(LA現地時間)に発表されました。

アダム・マッケイ監督、ブラッド・ピット製作、クリスチャン・ベール主演の『バイス』が作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、監督賞、脚本賞、主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)、助演男優賞、助演女優賞など主要部門を総なめにする6部門で最多ノミネート。

クリスチャン・ベール『バイス』© 2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All rights reserved.

『バイス』(原題:Vice)は、ジョージ・W・ブッシュ政権下でアメリカ史上最も権力をもったといわれる副大統領ディック・チェイニーに焦点を当てた社会派エンターテイメント。マッケイ ✕ ピット ✕ ベールは、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(15年)で第88回アカデミー賞5部門にノミネートされ、脚色賞を受賞したチーム。

それにしても、体重を20kg増量、髪を剃って政治家になりきったベールの変貌ぶりは、大掛かりな肉体改造など徹底した役作りで知られるベール史上でもNo.1ではないでしょうか。

続いて『グリーンブック』、『アリー/ スター誕生』が5部門、『女王陛下のお気に入り』が4部門で5つのノミネーションを獲得。

『グリーンブック』© 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.

9月のトロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞した『グリーンブック』は、粗野なイタリア系アメリカ人の用心棒と上品なインテリ黒人ピアニストの演奏ツアーの旅路を描いたロードムーヴィー。主演男優賞の最有力候補といわれているヴィゴ・モーテンセン、『ムーンライト』でアカデミー賞助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリが、これまで演じてきた役とは正反対のキャラクターを見事に演じています。こちらもアカデミー賞の有力候補となるでしょう。

『アリー/ スター誕生』© 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

『アリー/スター誕生』は、俳優ブラッドリー・クーパーの監督デビュー作。作品賞、監督賞、レディー・ガガの主演女優賞(ドラマ部門)、クーパーの主演男優賞(ドラマ部門)と、主要部門も順等にノミネート。アカデミー賞でも最多ノミネートが狙える有力候補です。

オリヴィア・コールマン『女王陛下のお気に入り』©2018 Twentieth Century Fox

ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)、女優賞を受賞した『女王陛下のお気に入り』は、18世紀初頭の英国のアン女王とふたりの側近の愛憎関係を描いたモダンな宮廷劇。オリヴィア・コールマン、レイチェル・ワイズ、エマ・ストーンの女優陣は順当にノミネートされましたが、監督のヨルゴス・ランティモスがまさかの落選。アカデミー賞ノミネーションの行方が気になります。

今回のノミネートを受けて、レイチェル・ワイズとエマ・ストーンよりコメントが到着。

レイチェル・ワイズ「『女王陛下のお気に入り』を認めていただいたハリウッド外国人映画記者協会の皆様に感謝致します。私は素晴らしい共演者であるエマを含む、輝きを放つ女優陣と並んでノミネートいただけたことを誇りに思います。そして私たちの”女王オリヴィア”のノミネートに心より敬服致します。これらの栄誉は私達の監督、ヨルゴス・ランティモスの素晴らしい才能の証明です」

エマ・ストーン「この栄誉をハリウッド外国人映画記者協会の皆様に感謝致します!私が心から愛するオリヴィア・コールマンとレイチェル・ワイズとこの映画で共演でき、そのほか全ての素晴らしい俳優陣、脚本のトニー(・マクナマラ)とデボラ(・デイヴィス)、才能溢れるプロデューサーの方々と仕事が出来たことは信じられない喜びでした。『女王陛下のお気に入り』はヨルゴス・ランティモスという素晴らしいビジョンを持った方無しでは存在しなかったでしょう。ヨルゴス(・ランティモス)に、彼の指導、聡明さ、そして友情に感謝致します」

『ブラック・クランズマン』© 2018 FOCUS FEATURES LLC, ALL RIGHTS RESERVED.

過激な白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)に潜入捜査するという大胆不敵な作戦を実行した黒人警官の体験を綴ったノンフィクション小説を、鬼才スパイク・リー監督が映画化した『ブラック・クランズマン』は、作品賞(ドラマ部門)、監督賞など、4部門でノミネート。

本作は第71回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞している他、第28回ゴッサム・インディペンデント映画賞では男優賞(アダム・ドライバー)ノミネート、第34回インディペンデント・スピリット賞では助演男優賞(アダム・ドライバー)ノミネート、第23回サテライト賞映画部門では、作品賞(インディペンデンス)主演男優賞、助演男優賞、監督賞、脚色賞、編集賞、オリジナル作曲賞と7部門にノミネート、さらにAFIが選ぶ2018年のベスト映画TOP10に選出されるなど、賞レースを席巻中。

主演男優賞(ドラマ部門)にノミネートされたジョン・デヴィッド・ワシントンは、父親のデンゼル・ワシントンもスパイク・リー監督作(1992年『マルコムX』)でゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされています。

『ビール・ストリートの恋人たち』©2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.

『ムーンライト』のバリー・ジェンキンスが監督・脚本を手がけた新作『ビール・ストリートの恋人たち』は、1970年代NYハーレムに生きる若い二人の愛を圧倒的な映像美で描く、抒情的なヒューマンドラマ。主役のカップルを演じた、オーディションで抜擢された新人女優キキ・レインと『栄光のランナー/1936ベルリン』のステファン・ジェームスのフレッシュな演技も注目に値しますが、若き恋人たちを支えるヒロインの優しくも力強い母親を演じたレジーナ・キングが、助演女優賞にノミネートされました。キングは、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞ニューヨーク批評家協会賞、デトロイト映画批評家協会賞、ワシントンDC映画批評家協会賞などで受賞。アカデミー賞助演女優賞受賞に向け、独走状態か。

『ボヘミアン・ラプソディ』©2018 Twentieth Century Fox

伝説のバンド「クイーン」クイーンのリード・ヴォーカル、フレディ・マーキュリーの半生を描き、日本でも大ヒット中の『ボヘミアン・ラプソディ』は、作品賞、そしてフレディにそっくりのステージパフォーマンスが高い評価を受けているラミ・マレックも主演男優賞にノミネートされました。

ウィレム・デフォー『永遠の門 ゴッホの見た未来』© Walk Home Productions LLC 2018

ウィレム・デフォーが主演男優賞(ドラマ部門)にノミネートを果たした『永遠の門 ゴッホの見た未来』(原題:At Eternity’s Gate)は、精神に病を抱え、近しい芸術家たちとも真っ当な人間関係を築けず、常に孤独の中に生きたフィンセント・ファン・ゴッホを描いた作品。『潜水服は蝶の夢を見る』などで知られる鬼才監督ジュリアン・シュナーベルが、渾身の力で描いた圧倒的映像美で描く感動作。監督が「この役は、彼しか考えられなかった」と明かすデフォーは、第75回ヴェネチア国際映画祭で最優秀男優賞を受賞しています。

アルフォンソ・キュアロン監督『ROMA/ローマ』©Netflix

米国映画界の賞にも関わらず、大健闘したのがアルフォンソ・キュアロンの『ROMA/ローマ』。米国の配信大手Netflix作品としても注目された本作は、ヴェネチア国際映画祭で最高作品賞の金獅子賞を受賞するなど高い評価を得ていますが、メキシコが舞台のスペイン語映画、さらに配信系の作品とあって、米国映画賞レースでの取り扱いに注目が集まっていました。ゴールデングローブ賞では、外国語映画賞のみならず、監督賞、脚本賞という主要部門にもノミネートされました。これは快挙!

『スパイダーマン:スパイダーバース』

アニメ映画では、『スパイダーマン:スパイダーバース』が、スパイダーマン映画シリーズとして初のゴールデングローブ賞ノミネートを果たしました。アメリカ公開を12月14日に控え、「スパイダーマン映画史上、もっとも素晴らしい!」「2018年最高の1本!」と大絶賛レビューが溢れる本作は、ギレルモ・デル・トロ監督や、俳優のクリス・プラットもSNS上で熱く支持するなど、映画界で大きな話題となっています。アニー賞でも長編作品賞ほか計7部門でノミネートされており、今後のさらなる飛躍が期待されます。

『犬ヶ島』© 2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

全編にわたり日本を舞台とし、”ドッグ病”の大流行によって孤島に隔離されてしまった愛犬を探す少年と犬たちの壮大な旅と冒険をストップモーション・アニメーションで描いたウェス・アンダーソン監督『犬ヶ島』は、アニメ映画賞、作曲賞の2部門でノミネート。作曲家のアレクサンドル・デスプラと、プロデューサーのジェレミー・ドーソンからコメントが到着しました。

アレクサンドル・デスプラ「なんて素敵なニュースでしょう!大きな感謝をハリウッド外国人映画記者協会の皆さんに捧げます。私は犬が大好き。私は猫が大好き。私は日本が大好き。私はウェス(・アンダーソン)が大好きです!」

ジェレミー・ドーソン:「ハリウッド外国人映画記者協会に『犬ヶ島』のノミネートを感謝いたします。この映画は長い年月をかけた途方もないスタッフの努力の結晶で、多くの素晴らしいアニメーターやスタッフが誇りを持ってウェス(・アンダーソン)のビジョンに生命を与えました。彼らの仕事に対するこの表彰に、感謝お礼を申し上げます。そして、心から私たちの素晴らしい作曲家、アレクサンドル・デスプラがこの栄誉に加わったことを嬉しく思います」

『万引き家族』©2018フジテレビジョン、ギャガ、AOI Pro.

日本映画では、カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞した是枝裕和監督の『万引き家族』が外国語映画賞部門にノミネート。日本の実写映画としては黒澤明監督の『夢』以来、28年ぶりの快挙となります。さらに、長編アニメーション部門には細田守監督の『未来のミライ』がノミネートされました。

授賞式は、 LAのビバリー・ヒルトン・ホテルにて1月6日(現地時間)に開催されます。

【ゴールデングローブ賞とは】

ゴールデングローブ賞は、ハリウッド外国人映画記者クラブ(Hollywood Foreign Press Association)によって毎年、選出される映画とテレビドラマを対象にしたアワードです。授賞式がTV放映され、また、TV部門を含むため、アカデミー賞授賞式に勝るとも劣らないセレブリティが授賞式に参加することから、影響力も注目度も高い賞として知られています。毎年、12月にノミネーションリストが発表になり、授賞式はその1ヶ月後に開催されます。

以下、映画部門のノミネーションリストです。

作品賞(ドラマ部門)

『ブラックパンサー』©Marvel Studios 2018

『ブラックパンサー』
『ブラック・クランズマン』
『ボヘミアン・ラプソディ』
『ビール・ストリートの恋人たち』
『アリー/ スター誕生』

主演男優賞(ドラマ部門)

ブラッドリー・クーパー『アリー/ スター誕生』
ウィレム・デフォー『永遠の門 ゴッホの見た未来』
ルーカス・ヘッジズ『Boy Erased』
ラミ・マレック『ボヘミアン・ラプソディ』
ジョン・デヴィッド・ワシントン『ブラック・クランズマン』

主演女優賞(ドラマ部門)

グレン・クローズ『天才作家の妻 40年目の真実』©META FILM LONDON LIMITED 2017

グレン・クローズ『天才作家の妻 40年目の真実』
レディー・ガガ『アリー/ スター誕生』
ニコール・キッドマン『Destroyer』
メリッサ・マッカーシー『Can You Ever Forgive Me?』
ロザムンド・パイク『A Private War』

作品賞(ミュージカル・コメディ部門)

『クレイジー・リッチ!』
『女王陛下のお気に入り』
『グリーンブック』
『メリー・ポピンズ リターンズ』
『バイス』

主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)

ロバート・レッドフォード『The Old Man and the Gun』 © 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved

クリスチャン・ベール『バイス』
リン=マニュエル・ミランダ『メリー・ポピンズ リターンズ』
ヴィゴ・モーテンセン『グリーンブック』
ロバート・レッドフォード『The Old Man and the Gun』
ジョン・ C・ライリー『Stan & Ollie』

主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)

エミリー・ブラント『メリー・ポピンズ リターンズ』
オリヴィア・コールマン『女王陛下のお気に入り』
エルシー・フィッシャー『Eighth Grade』
シャーリーズ・セロン『タリーと私の秘密の時間』
コンスタンス・ウー『クレイジー・リッチ!』

助演男優賞

ティモシー・シャラメ『Beautiful Boy』© 2018 AMAZON CONTENT SERVICES LLC.

マハーシャラ・アリ『グリーンブック』
ティモシー・シャラメ『Beautiful Boy』
アダム・ドライバー『ブラック・クランズマン』
リチャード・E・グラント『Can You Ever Forgive Me?』
サム・ロックウェル『バイス』

助演女優賞

クレア・フォイ『ファースト・マン』©Universal Pictures

エイミー・アダムス『バイス』
クレア・フォイ『ファースト・マン』
レジーナ・キング『ビール・ストリートの恋人たち』
エマ・ストーン『女王陛下のお気に入り』
レイチェル・ワイズ『女王陛下のお気に入り』

監督賞

ブラッドリー・クーパー『アリー/ スター誕生』
アルフォンソ・キュアロン『ROMA/ローマ』
ピーター・ファレリー『グリーンブック』
スパイク・リー『ブラック・クランズマン』
アダム・マッケイ『バイス』

脚本賞

アルフォンソ・キュアロン『ROMA/ローマ』
デボラ・デイヴィス、トニー・マクナマラ『女王陛下のお気に入り』
バリー・ジェンキンス『ビール・ストリートの恋人たち』
アダム・マッケイ『バイス』
ピーター・ファレリー、ニック・ヴァレロンガ、ブライアン・カリー『グリーンブック』

作曲賞

マルコ・ベルトラミ『クワイエット・プレイス』
アレクサンドル・デスプラ 『犬ヶ島』
ルドウィグ・ゴランソン『ブラックパンサー』
ジャスティン・ハーウィッツ『ファースト・マン』
マーク・シャイマン『メリー・ポピンズ リターンズ』

歌曲賞

“オール・ザ・スターズ”『ブラックパンサー』
“Girl in the Movies”『Dumplin’』
“Requiem for a Private War”『A Private War』
“Revelation”『Boy Erased』
“シャロウ ~『アリー/ スター誕生』 愛のうた”『アリー/ スター誕生』

アニメーション映画賞

『インクレディブル・ファミリー』ブラッド・バード監督
『犬ヶ島』ウェス・アンダーソン監督
『未来のミライ』細田守監督
『シュガーラッシュ:オンライン』リッチ・ムーア、フィル・ジョンストン監督
『スパイダーマン:スパイダーバース』ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン監督

外国語映画賞

『Capernaum』ナディーヌ・ラバキ監督(レバノン)
『Girl』ルーカス・ドン監督(ベルギー)
『Never Look Away』フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督(ドイツ)
『ROMA/ローマ』アルフォンソ・キュアロン監督(メキシコ)
『万引き家族』是枝裕和監督(日本)