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2018.10.26 23:00

作曲家ヨハン・ヨハンソンの遺作となった『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』の音楽とは?

  • Fan's Voice Staff

今年1月に開催されたサンダンス映画祭で話題となり、5月のカンヌ国際映画祭の「監督週間」でも絶賛されたジャンル映画『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』。

過去のある男レッド・ミラー(ニコラス・ケイジ)は、愛する女性マンディ(アンドレア・ライズブロー)と人里離れた場所で静かに暮していた。しかし、狂気のカルト集団によって、マンディはレッドの目の前で惨殺される。怒り狂った彼は、オリジナルの武器を携え復讐に走る──。

監督は、イタリア系カナダ人のパノス・コストマス。そう、『ランボー/怒りの脱出』(85年)、『コブラ』(86年)などで知られるイタリア生まれのギリシャ人、ジョルジ・パン・コスマトス監督の息子です。インディーズでつくったホラー映画『Beyond the Black Rainbow』(10年)で絶賛され、2作目の『マンディ』で既に鬼才と呼ばれる注目の新進監督です。

そんなコスマトス監督が、我らがニコケイを主演に迎えた本作で音楽を任せたのが、アイスランド出身のヨハン・ヨハンソンです。バンド活動などを経て、10年ほど前から映画音楽にも進出したヨハンソンですが、『博士と彼女のセオリー』(14年)ではアカデミー賞作曲賞にノミネート、ゴールデングローブ賞では受賞し、映画音楽家として絶頂期を迎えた今年2月に急逝しました。

コスマトス監督は、ヨハンソンが『マンディ』に携わるきっかけについて、「彼が一作目の『Beyond The Black Rainbow』を観てくれていたこともあって、仕事をすることになった」と語り、「ケン・ラッセルの『トミー』のような、ロック・オペラのフィーリングが欲しい、という話をしたこともあったね。彼もロックやメタルが好きで、すぐに意気投合したよ。『マンディ』の音楽については、1983年当時の音楽も含め、かなり具体的なビジョンや曲名を伝えて、それを共有していった。彼が亡くなってとても悲しいけれど、この映画への貢献をとても誇りに思うし、彼も同じだと思う」と、故人を偲んでいます。

ヨハンソンは、今年、第45回目を迎えたベルギーのゲント映画祭期間中に開催された第18回ワールド・サウンドトラック・アワードで、ベストフィルムコンポーザー・オブ・ザ・イヤーを受賞。2017年に続き2年連続の受賞で、『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』を含む各作品への功績を称えられての受賞となりました。

本作のサウンドトラックは、ランドール・ダンを共同プロデュースに迎え、Sunn O)))のギタリスト、スティーヴン・オマリーも携わりました。作品の中で、まるで息をしているかのような蠢きを聞かせる楽曲の数々は、『マンディ』の映像、役者の演技やギミックとの見事な化学反応を見せています。

コスマトス監督の音楽へのこだわりはサウンドトラックだけにはとどまりません。オープニングに使用されたのは、キング・クリムゾンのアルバム「RED」に収録の「スターレス」。スクリーンを震わせるようなギターの音からの同曲への繋がりは圧巻で、ニコラス・ケイジ演じるレッドの運命を示しているような歌詞と共に、観客にも深く刻まれます。

カルト教団の教祖ジェレマイア・サンド(ライナス・ローチ)作詞・作曲・歌唱という設定の、劇中でマンディ(アンドレア・ライズブロー)の命運を分けるきっかけとなる迷曲「Amulet of Weeping Gaze」には、コスマトス監督もコンポーザーの一人としてクレジットされており、歌唱はライナス・ローチ本人が行っています。

映画そのものと同じく驚きと中毒性に溢れたサウンドトラックと”ジェレマイア・ソング”は、日本での『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』公開に先駆けてリリースされています。

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『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』(原題:Mandy)

過去のある男レッド(ニコラス・ケイジ)は、愛する女性マンディ(アンドレア・ライズブロー)と人里離れた場所で静かに暮していた。しかし、マンディに固執する狂気のカルト集団によって、彼女は目の前で惨殺される。怒り狂ったレッドは、オリジナルの武器を携え復讐に走る。

監督/パノス・コスマトス
音楽/ヨハン・ヨハンソン
出演/ニコラス・ケイジ、アンドレア・ライズブロー、ライナス・ローチ
2017/ベルギー/カラー/英語/121分

日本公開/2018年11月10日(土)より新宿シネマカリテ他にてロードショー
配給/ファインフィルムズ
公式サイト
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