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2018.09.09 8:00

第75回ベネチア映画祭閉幕!金獅子賞はNETFLIX作品アルフォンソ・キュアロン監督の『Roma』が受賞!

  • Hikaru Tadano

現地時間8月29日からイタリアのベネチア・リド島で開催されていたベネチア国際映画祭が、9月8日に閉幕しました。

21作品が上映されたコンペティション部門で、最高作品賞の金獅子賞を受賞したのは、メキシコ出身のアルフォンソ・キュアロン監督の『Roma』。

1970年代のメキシコシティ・ローマ地区の中産階級に住み込みのメイドとして働く主人公とその生活を描いた作品は、キュアロンの子供時代の記憶にインスパイアされた自伝色の強い作品です。モノクロ映像で3時間越えというスタイルも、映画監督としての思い入れの強さを感じさせます。

2013年のヴェネチア映画祭のオープニングを飾った『ゼロ・グラビティ』でアカデミー賞監督賞を受賞したキュアロンですが、今年のベネチアでは最高賞の受賞となりました。もちろん、アカデミー賞まで賞レースを賑わすことは間違いないでしょう。

審査員特別賞には、『The Nightingale』のジェニファー・ケントが受賞。コンペ部門21作品の中で唯一の女性監督です。

ギレルモ・デル・トロ審査員長は「フェスティバルが始まる時から、我々は”スクリーンに映し出されたもの”を審査するのだと決めていました。そして忠実にそれを実行したと思います。作品はより高いクオリティを求められるのですから、審査も然りです。そして『The Nightingale』は見事な作品で、ジェニファーは素晴らしい功績を残しました。このような結果になったのは非常に美しいことだと思います。審査の結果は、記事や思想に応えたものではなく、作品と我々審査員との対話から生まれたものです」と、授賞式後の会見でコメント。

また今回日本の作品として唯一のコンペ部門入りを果たした塚本晋也監督の『斬、』について、デル・トロ審査員長は「塚本監督の暴力、身体、そして”存在する”ことに対する描写は昔から個人的に大ファンで、私にとって今作は、強く語りかけてくるような美しい映画だと思いました。非常に伝統的な様式と新しい側面が混在する、とてもパワフルな映画です。私の個人的な映画オタク的視点です」と感想を述べました。

デル・トロ審査員長がキュアロン監督と同じメキシコ出身で、しかもかなり親しい友人であることから、大きな賞を与えにくいのではないかという声も当初は聞かれましたが、『Roma』が上映されるや否や絶賛の嵐。まさに満場一致で決まった賞といえます。

デル・トロ審査員長以下の審査員メンバーは以下の通りです。

シルヴィア・チャン(女優、監督)、ニコール・ガルシア(監督)、トリーネ・ディアホルム(女優、歌手)、パオロ・ジェノベーゼ(監督)、マウゴジャタ・シュモフスカ(監督)、タイカ・ワイティティ(監督)、クリストフ・ヴァルツ(俳優、監督)、ナオミ・ワッツ(女優)。

コンペティション部門の受賞作は次の通りです。

・金獅子賞(作品賞)

『Roma』アルフォンソ・キュアロン監督

・審査員大賞

『The Favourite』ヨルゴス・ランティモス監督

・銀獅子賞(監督賞)

『The Sisters Brothers』ジャック・オーディアール監督

・男優賞

ウィレム・デフォー(『At Eternity’s Gate』ジュリアン・シュナーベル監督)

・女優賞

オリヴィア・コールマン(『The Favourite』ヨルゴス・ランティモス監督)

・脚本賞

ジョエル&イーサン・コーエン『The Ballad of Buster Scruggs』

・審査員特別賞

『The Nightingale』ジェニファー・ケント監督