是枝監督最新作『万引き家族」カンヌ国際映画祭で大絶賛!
- Fan's Voice Staff
日本アカデミー賞最優秀作品賞他全6冠受賞した『三度目の殺人』の是枝裕和監督が「今一番撮りたいと思う役者さんでつくった」と語る最新作『万引き家族』。現在開催中の第71回カンヌ国際映画祭「コンペティション部門」に正式出品されている注目作です。
レッドカーペット&公式上映
現地時間の5月13日(日)夜、世界の観客を前に公式上映が行われ、それに先駆け是枝監督とキャスト陣のリリー・フランキーさん、安藤サクラさん、松岡茉優さん、樹木希林さん、城桧吏さん、佐々木みゆさんの計7名がカンヌのレッドカーペットに登場しました。
カンヌの澄み渡る夜空の下、仲良く手をつないだ7名は、劇中曲である細野晴臣さんの心地良い音楽に合わせ、緊張するみゆちゃんに安藤さんが優しく声をかける様子も見せたりと、まるで本当の家族のような雰囲気をまとい、世界から集まった観客やメディアの歓声に笑顔で応えゆっくりと上映会場となるグランド・シアター・リュミエールへと進みました。
カンヌへの出品は7回目、コンペティション部門では『海街diary』(15年)から3年ぶり5回目となる是枝監督。レッドカーペット前のインタビューでカンヌについて問われると「何度来ても幸せな気分になれる。帰ってこれて嬉しい」とコメント。今作のテーマについては「社会と家族の接点を描こうと思う中で、社会性を強く出したつもりです。それもあって”万引き”という言葉がタイトルにも入っているのが、すごく印象的だなと思います」と語りました。
また是枝監督の家族の像というのは進化してみえるという意見については「進化しているというのはよく分からないけど、血縁だけではない繋がりを求めた人たちの話というのをどうしてもやりたかったので、『そして父になる』以降に自分が向かうべきテーマだと思ってましたから、そういう意味では自分の中では一歩先へ進めたつもりではいます」と回答しました。
2,200席の上映会場は満席で、是枝監督とキャストたちは万雷の拍手で迎えられました。日本の都会の片隅に埋まった家を舞台にした家族の物語は、しっかりと世界の観客の心に届いたようで、エンドクレジットから拍手が始まり、会場が明るくなると全観客総立ちで、”ブラボー!”や口笛、声援も混じり拍手喝采となりました。観客の中には感動で涙を浮かべる人も見られるなど、温かい空気が直に伝わったようで、是枝監督とキャストの目にも思わず光るものが浮かび、リリーさんにおいては眼鏡をとり、涙を拭う姿もみられました。そして是枝監督は、リリーさん、安藤さん、松岡さん、樹木さんに握手やハグ、会場を360度見渡し、キャストと共に観客全員に手を振るなど歓声に応えました。
全く鳴り止みそうもない拍手を切り上げようと是枝監督が移動するも、拍手は続きあまりの盛り上がりについには通路で立ち止まるほど。約9分間にもわたるスタンディングオベーションに、毎回監督に帯同するスタッフからは、こんなに盛り上がって温かいスタンディングオベーションは初めてといった声もあがるなど、まさに会場が一体となってこの傑作の誕生を喜びあいました。場内を出たところでも、海外のファンに囲まれ拍手や賞賛コメントを浴び、大好評のうちに公式イベントを終えました。
以下、日本のメディア向けに取材に応じた監督とキャスト陣の質疑応答です。
Q,作品への反応に対する手ごたえは?
是枝監督「出来上がって間もないので、なおしたいところはないかというのを確認しながら観てるような状況ではあるんですが(笑)ただ、2時間緊張感失わずに作れたなと思っていたのでちょっとホッとした部分と、終わった後の拍手が夜中にも関わらずあんな風に温かくそして長く頂けたので本当によかったと思います」
樹木さん「わたしも監督と同じ気持ちです」
リリーさん「改めて大きなスクリーンで観てまた今までと違う感想が浮かびましたし、監督が仰っているようにまだ撮影から間もないので、今回はやっと観る側の立場として観れた気がするのですが、改めて素晴らしいと思いました。最後頂いた拍手とか、お付き合いでしているのではなく、みなさんの表情から本当に想いの入った拍手だと感じたので、すごい良い経験をさせていただきました」
安藤さん「わたしも今日(観るのが)二度目なんですけど、自分が出ていることも考えずにいち観客として映画に集中して観てました。カンヌの大きなスクリーンで、隣で監督と一緒に観ることにちょっと緊張しつつ、上映後は大きな拍手を頂いて、あの盛り上がり方を受けて、なんという作品に参加させてもらえたんだろうとまだその興奮が冷めていない状態です」
松岡さん「私は初めてカンヌ映画祭に連れてきてもらいましたが、観客のみなさん正装で劇場もとても大きく、大人数の中で一緒に映画を観るという体験がすごく新鮮でした。そういう空間だからか一体感もあり、この大人数の方々が同じ時間でこの作品について色々なこと考えているんだろうなと思うと、素敵な時間でした」
Q,賞への手ごたえは?
是枝監督「意気込みとか手ごたえという質問が一番答えにくいので、いつもなるべくはぐらかしていたんですけど…それ以上言えないんですけど(笑)でも、客席との一体感もある良い上映だったと思います」
Q,伝えたかったメッセージはカンヌで伝わったと思うか?
是枝監督「意気込みと手ごたえというのと同じくらいメッセージというのが答えにくい質問でして(笑)でもまぁ、”血を越えて繋がる家族というのがありうるのか”というのを自分なりに考えながらつくった映画です。今日一日取材を受けていた13人くらいの記者の内3人くらいは実は自分が養子でっていう方がいて、すごく切実なんですよ。血縁がなくても家族をつくることはできるのかということが。この映画はある種特殊な家族を描いてはいますけど、メッセージかはわかりませんが、根底に流れている問いかけみたいなものは普遍的なものがあるかもしれません」
Q,カンヌに到着してから今日までどんな気持ちで過ごしたか?
是枝監督「いつもは公式上映とフォトコール、記者会見が同じ日で、公式上映でほぼ疲れきっているんですが(笑)今回は順番が逆になって明日がフォトコールと記者会見だということもあり、比較的今日は余裕があります。取材は何個か受けましたけど、ブラブラキャストの皆と公式グッズを買ったり、会場に設置されている遊具で子供たちと遊んだりして、良い一日でした」
Q,公式グッズは何を買いました?
是枝監督「デニムでできてるトートバックは買いました。今年は例年に比べて公式グッズのセンスがいいなと」
リリーさん「監督と一緒にグッズ観てたら、2人ともポーチをみてて、年取るとカバンにポーチが増えますよねって話していたんですよ。ポーチの中には胃薬とか常備薬を入れてます。(一同笑)」
松岡さん「公式グッズめっちゃ買いました!ノート、ボールペン、トートバック、マグカップ、ミラー、缶、Tシャツ…おそらく全種類ひとつずつは買わせていただいたと思うんですけど、日本円に換算してびっくりしました、ユーロって恐いですね…でも大事に使います(笑)」
Q,カンヌ来てやろうと思っていることは?
樹木さん「特にないです。雨が降ってとてもよかったなとは思います。いつもお天気でカンヌってそういうところだって思ってたから。土砂降りになって雷がなってたんですけど、日本から飛行機に乗っているとき、わたしの席に雷が落ちて、天井が壊れたんです。客室乗務員にすごい剣幕で酸素マスクをつけろって言われたりしましたけど、事なきを得てツイているなと思って、嬉しかったです」
リリーさん「以前来た際は、着いてから帰るまで一回も雨が止まなかったので、こんな天気の良いカンヌは初めてで、散歩もしましたし、時間にも余裕があってカンヌ自体を楽しめました」
安藤さん「うちの母の兼ねてからの夢がいつか誰かにカンヌに連れていってもらうことだと小さいときから聞いていて、今日は母の日ですし、ここはいっちょ親孝行したろって思いまして(笑)母を連れてくることができました。まさか末っ子の私が、やっと母の夢を叶えてあげることができてよかったなと思います」
松岡さん「カンヌは、はじからはじまで歩いて3,40分でいけると聞いていたんですけど、道が東京とは違ってデコボコしていて半分くらいしか歩けなかったので、明日は遠くに歩いてみたいと思います!」
Q,カンヌ映画祭はどんな意味を持つか?
是枝監督「自分が関わっている「映画」という仕事を、もう一度背筋を伸ばして見つめなおす場所です」
樹木さん「私は、後期高齢者なんでだいたいなにも感じなくなってきてしまっているので」
リリーさん「僕は華やかなところがそんな得意ではないんですけど、華やかなんだけど映画好きが集まっているということもあるのか、僕にとって心地良いものに感じています」
安藤さん「とっても難しい質問で…というのも、母の夢だったりとか、小さいときから自分の家族も映画でいつかカンヌにというのを夢みてきているので、わたしの夢とか憧れというよりももっと違う場所にある高い山で、そこにひょいと監督に連れてきてもらっちゃったという感じなんです。またカンヌ国際映画祭というものが私にとってきっと形が変わるんだろうなって思っていて、なので今は一言では言い表せないです。でも今回来ることができて、今この話をしていて胸がグッとくるようななんとも言えない気持ちです」
松岡さん「カンヌのきれいな街並みを歩きながら思い出したのが、オーディションのときにちょっと年齢が今回の設定より若めだったんです。だから幼くみせたくて、ウェーブのかかった髪をストレートにして子供っぽくしていったんですけど、ストレートにしてよかったなって(笑)というのもあったし、わたしみたいに、飛びぬけて華やかなルックスじゃなかったりとか秀でたものがないひとも、チャンスとかラッキーとか奇跡ってあるんだなって思って。でもそれがチャンスとかラッキーじゃなくて、わたしが頑張りましたって胸を張って、ここにまた戻ってきたいなと思ったので、これからも頑張ります」
樹木さん「今日こうやって良い状態で立っていますけど、いいだろうな~って思っていた映画でも評判が星ひとつふたつだったりする後の反応もまたこれも味わい深いもの。(一同爆笑)でもね、今日のこの反応は監督のお陰だとつくづく思いますので、監督にお礼をいってこの場を締めさせていただきたいと思います。(一同笑)」
フォトコール
公式上映翌日となる14日(月)、小雨が降り少し肌寒い空模様の下、是枝監督やキャスト陣が参加するフォトコールが開催されました。昨夜の熱狂そのままに”万引き家族”と監督は世界から集まった約70名ほどのスチールカメラマンたちから、激しいフラッシュを浴び、特に子役2人にはシャッターが集中、飛び交う目線やポーズのリクエストににこやかに応えました。
Q, これまでに家族の物語を描いてきたと思うが、今回はまた新しい家族の形が描かれていると感じた。
是枝監督「5年前に『そして父になる』で血のつながりか時間なのかというものを描いて、その先に今回のモチーフが生まれてきた。ファミリードラマであるが、社会との接点にフォーカスをあてた」
Q,昨日のスクリーニングの反応について。
是枝監督「これまでのどの経験も感慨深いが、昨日はこれまでで一番温かい感じる拍手が続いて、今まで映画をつくってきた20年間が報われた気持ちになった」
Q,是枝監督作品には何度も出演しているが、是枝監督との仕事とはどんなものか?
リリーさん「是枝さんとの時間は、特殊な空気、魔法の時間、あっという間で濃厚で素晴らしいもの」
Q,子役と演じるにあたってリハーサルは何度も重ねたか?
松岡さん「海外と違い、日本の子役への演技指導は固まっている。一方、監督は自由に流動的に演出されるので、子供の魅力が開花されて、今作においても奇跡的な場面が生まれた」
Q,子役のキャスティングについて。
是枝監督「いつもオーディションでこの子を撮りたいかどうかで決める。台本を覚えるのではなく、その空気にどのように存在するかを見極めていく。今回も素晴らしい2人を選べた」
Q,今回是枝監督作品には初参加だったが、どんな経験だった?
安藤さん「今作は、自分自身にとって子供が生まれてはじめての作品だったこともあり、演者としても人間としても成長させてもらった作品。リハーサルはあまり重ねなかったが、事前に何かを背負って準備していかなくても、現場で向き合っていくと呼吸をするようにその世界に入っていけるような、そんな特別な時間だった」
公式会見
フォトコールの後はファイブ・シーズ・ホテルにて是枝監督らが登壇した公式会見が開催。
Q,今回も家族をテーマにした作品だと思うが、家族を通じて日本社会を伝えていくことがより効果的だと思っているからか?
是枝監督「効果的だと思ったからかといわれるとちょっと違う。この数年、ファミリードラマを撮り続けてきたが、今回はどちかというと少し視野を広くもって、現代と社会と家族との摩擦する面をきちんと描こうと、あくまで、社会を描こうというよりかは家族を描こうと思った。ただ今回は今までより社会によって、切り裂かれていく家族を描いてみたいと思った」
Q,今回描かれる家族は貧しく、ある意味哀れといえるが、見終わったあとに、この家族の一員になりたいと思った。この感想についてどう思うか?
是枝監督「この家族が実際にいたとして、日本で報堂されたらただの犯罪者でしかない。ただ、カメラがあの家に入ったときに、報堂だけでは伝わらない、ある種の豊かな繋がりや僕たちが感じられない色や光があって、その家族の姿を描くことによって、僕らの家族とか共同体というものが逆に照らされるというか、そんな存在としてあの家族を描きたいと思った。彼らが感じている喜怒哀楽を豊かに描きたいという風に思った」
Q,家族をモチーフにした作品だが、ある意味あなたにとって新たな家族に出会えたというように思ったか?
城くん「万引きは悪いことだけど、すごい楽しい温かな家族だと思った」
みゆちゃん「新しい家族ができました!(一同笑)」
Q,日本では未婚者が増えていたり、夫婦でのセックスレス問題など人と人との接触が減っていることが報道などで知られているが、ある意味そういった問題についても、作品においてのモチーフとなっているのか?
是枝監督「多分、そういううまくいかない家族関係から捨てられた経験をもつひとたちが集まっている。前提として家族をつくることに失敗しているから、逆に意識的に考えている。そういうやり直そうとしている感じがあの家族の中にあったと思う。指摘するモチーフは中心ではないが、彼らの過去としてきちんと存在していて、そのことがあるからこそ、あそこでの接触があったり、涙や笑顔があるのではないかと思う」
Q,安藤さんは、今回が初めてのカンヌだと仰っているが、カンヌで出品された三池崇監督の『愛と誠』(12年)に出演されていて、義理のお父様は『カンゾー先生』(98年)のカンゾー先生役であるわけで、ある意味今回でカンヌが身近になったと思うか?また、松岡さんは、実際に妹さんがいらっしゃいます。是枝監督は松岡さんの育った環境と照らし合わせてつくっていたりするのか?
安藤さん「子供の頃の夢というか、わたしの家族は姉と父が映画監督だったりすることもあり、カンヌというのは家族にとっての夢であり、映画人であれば誰しもが憧れ目指す場所だと思う。今回是枝監督にふわっと連れてきていただいたが、昨日の上映を経験して、とてもすごい場所だと感じた。どういうお土産話をもって帰ろうか考えている。またいつか来れたらいいなと思っている」
松岡さん「お芝居をするきっかけは妹だった。子供の頃から同じ役を争ったりして、家庭の中で正直風通しがよくないこともあり、そういうときの気持ちが今回の役に通ずるところがあった。現在妹は演技は辞め、新しい夢に向かって進んでいる姿をたくましいと感じる。監督は私と妹とのことは知らないが、偶然にも今回の役と引き合わせてくれた。子供の時に妹には優しくできなかったが、みゆちゃんに、ゆり(みゆちゃんの役名)に対して、役を通して返せてこの作品でカンヌに来れて幸せに思う」
Q,日本にある実際の社会問題をモチーフにしてあるわけだが、海外メディアの反応は?
是枝監督「昨日何十件か取材を受けたが、ひとつは日本は社会問題をモチーフにした映画が少ないので新鮮に感じたと言われた。もうひとつは、血縁を越えた家族の繋がりというのは『そして父になる』のときもそうだったが、記者の中には養子である方が何名かいて、今回描いたのは特殊な繋がりをもった家族だけど、その物語の向こう側に自分自身の人生のテーマを見出してくれている方が非常に多いなと感じたの昨日の取材を受けた感想。とても自分に近いところでこの作品を捉えてくれている方が多いと感じた」
Q,2001年『DISTANCE』以来、7度目のカンヌだが、今回自分の気持ちの変化はあるか、最近のカンヌをみて思ったことは?
是枝監督「7度目だからといって、緊張や喜びはないのではないかと言われるが、映画祭に参加するというのは、例えば一本の映画を役者さんたちとつくっていく作業とすごい似ていて、毎回新しいキャストやスタッフと来るし、映画祭も毎回違う変化をしている中で自分も身を置く。幸運にもその流れの中で、7回も来させていただいてとても幸せなことだ感じている。映画祭がどう変化しているかを語れるほど深くウォッチしていたわけでないのでそのことについて語るのは難しいが、僕の中で30~50代で参加させてもらい、作り手として人間として成長でき、キャリアにおいてもすごく大きな存在となっている。ここでまた上映して恥ずかしくない作品をつくりたいと素直に、そういう場所だと思える。映画に対して畏怖の気持ちが持てるという場所が持てるというのは監督にとって幸せなこと」
Q,是枝監督含め日本で活躍している監督に起用される機会が多いが、なぜ自分が選ばれていると思うか?
樹木さん「それはー、いやー、んー、、、わかりません・・・」
Q,是枝監督作品に何度も出演しているが、お互いに相談しあって決めたりアドバイスし合ったりすることはあるのか?
リリーさん「是枝さんの撮影に参加させてもらえるのは自分にとって特別な時間。人生の中であまり感動したなと思ったことがなく、これまでに2回しかない。1回目は、『そして父になる』でカンヌのスタンディングオベーションを受けたときで、2回しかないその2回目が昨日の夜(公式上映)だった。是枝さんにはいつも勉強させてもらっているのと同時に人生を彩っていただいている。いいものをつくるということが、こういう風景を見られることに繋がったり、温かさを知れるということを教えてもらっている。なので、仕事という感覚はあまりないのかもしれない」
最後の質問が終わった後に「あのすみません、一言だけ」といい語り始めた是枝監督。
是枝監督「リリーさんとは実はそんなに言葉を交わさない。多分お互いが持っている価値観やジャッジする感覚が近い気がする。だから役者と監督として安心していられる関係だといえる。希林さんは先程キャスティングされる理由についてわからないと仰いましたが、お仕事させていただいている監督側からとしてはすごく明快。僕は、自分がつくるものを希林さんに出ていただけるものにする為に努力する。甘いままで彼女の前に立つとすぐに見透かされる。希林さんの前で恥ずかしくない監督でありたいと思う。そういう役者がいることは監督にとって非常に大切な事。今回でいうと、最初に撮った夏のシーンで、希林さんが台本にはない演技をしたが、そこから脚本をなおしていき、演出の指針を与えてもらった。そういう作品への関わりを演技の中でさらっとしめしてくれる存在というのは監督にとっては本当に大きな存在です。なので、私はもう(出演するのは)いいんじゃないのと毎回言われるが繰り返し繰り返し希林さんにオファーするのは彼女のそういう作品に向き合う姿勢に助けられているし、頭下がる想いでいっぱいだ」
海外メディアの反応
大歓声に包まれたカンヌでのお披露目を受け、海外メディアからは早速『万引き家族』を絶賛するコメントが到着。
◆海外メディア①:子供達と、その両親との関係がとても好きです。子供達が自らの親を選んで生じた関係だというのがいいですね。楽しく見ました。また、非常に平和的でヒューマンな映画でした。多くの人間らしさを感じさせられましたし、彼らは両親として実に素晴らしかったです。店から食料や品物を盗みはしますが…人間味と子供への思いやりに溢れた、とても美しい映画でした。
◆海外メディア②:全てがよかったです。素晴らしいストーリーに、俳優陣、子供達…とても気に入りました。訪れたことのない国の映画を見るのが大好きなんです。
◆海外メディア③:素晴らしかったです。ゆっくりとしたストーリーの展開とともに、ゆっくりと家族の物語が深く描かれ、人生の真価について迫っていました。すべてに満足し、とても気に入り、ファンになりました。
◆海外メディア④:監督は感情の表現がとても上手いと思います。深く心を動かされました。とても気に入りました。
◆海外メディア⑤:素敵な作品でした。俳優陣は素晴らしく、ストーリーも良かったです。演技に、とても感動しました。本当に素晴らしかったです。楽しみました。
◆海外メディア⑥:非常に良い映画でした。家族についての物語で、とても感情に訴えるものがあります。脚本も並外れていて、何と言えばいいか……本当に良い映画です。
◆海外メディア⑦:とてもよかったです。 僕は是枝作品の大ファンですが、彼の多くの作品群で取り上げているヒューマニズムのテーマを本作でも深く追及しているように感じました。『誰も知らない』や『そして父になる』等の作品を思い出しましたね。身近なテーマですが、とても練られていて演技も非常に素晴らしかったです。特に子役たちの演技に目を見張りました。本作は彼が日本の指折りの映画監督の1人であることを証明しています。
◆海外メディア⑧:素敵な作品でした。俳優陣は素晴らしく、ストーリーも良かったです。演技に、とても感動しました。本当に素晴らしかったです。楽しみました。
◆海外メディア⑨:とんでもない傑作。優しくもありとげのようでもある家族の絆についての圧倒的な観察。安藤サクラの女優賞は熱いと思う。
◆海外メディア⑩:やばい、『そして父になる』より傑作じゃないか
◆海外メディア⑪:『万引き家族』は、世間の風当たりや不景気などが蔓延する世界から生き抜くために共に生きる万引き家族と家族というものについて、人間的な視点で素晴らしく絶妙に描かれている。最後まで完璧に持続し、ペースもよく撮影もよい!胸に突き刺さった。
◆海外メディア⑫:家族と親子についての素晴らしいポートレイト。パルムドール候補だ。
◆Screen
最初は「素晴らしき哉人生」のようなほろ苦い寓話のような物語かと思いきや、家族の物語がはがされていくにつれ、社会や人間の失敗における容赦ない批判と直面する。この明瞭さのレベルは「誰も知らない」以来か。キャストのパフォーマンスは素晴らしい。一人に絞れない、本当にアンサンブル演技である。国際的には、「そして父になる」より成功する作品になるのでは。
◆Variety
チャーミングでもあり、胸が張り裂けるようなこの素晴らしくたくみな映画はアートハウスファンだけでなく、メインストリームの観客の心もつかむだろう。才能あふれる安藤の演技は彼女のこれまでの演技で最も素晴らしいものだといえる。彼女が涙を隠そうとするシーンは固い貝が壊れてしまうような忘れられない喚起であった。
第71回カンヌ国際映画祭授賞式は、現地時間で5月19日(土)19時15分頃〜(日本時間5月20日2時15分頃〜)に開催予定で、『万引き家族』からは是枝監督が出席するとのこと。吉報が期待されます!
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『万引き家族』(英題:Shoplifters)
高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。
冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく──。
原案・監督・脚本・編集/是枝裕和
音楽/細野晴臣(ビクターエンタテインメント)
出演/リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ、緒形直人、森口瑤子、山田裕貴、片山萌美、柄本明、高良健吾、池脇千鶴、樹木希林
2018年/日本
日本公開/2018年6月8日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給/ギャガ
公式サイト
©2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.