【単独インタビュー】『ワンダーウーマン』製作者チャールズ・ローブン氏に聞いた、傑作誕生についてのトリビア!
- ichigoma
世界的なヒットを続けている今年最大の話題作のひとつ『ワンダーウーマン』をはじめ、『バットマン ビギンズ』(05年)、『ダークナイト』(08年)、『マン・オブ・スティール』(13年)、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(16年)などDCコミックス原作の実写映画作品を世に送り出してきた名プロデューサー、チャールズ・ローブン氏。8月25日(金)に日本公開となる『ワンダーウーマン』のプロモーションため来日した”Mr. DC”にインタビューしました!
ローブン氏はインタビュー後、『ワンダーウーマン』のジャパンプレミアのレッドカーペット(ブルーカーペットでしたが)に登壇されるということで、今回はこのような衣装を用意しました。
ワンダーウーマンがプリントされた赤Tシャツにネイビーのミニスカート。写真には写っていませんが、足元はグラディエーターサンダルを装備。はい、ワンダーウーマンを意識してみました。あっ、ティアラとガントレットは同日のレッドカーペット・イベントでのみ着用。インタビュー時には身に着けておりません。
会うなり、挨拶もそこそこに、私のTシャツのデザインにもすぐに気付き、「それ、ワンダーウーマンだね!」。用意してよかった!
ツカミもいい具合に、インタビュー開始です!
――昨年公開された『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(以下、BvS)では、短い登場シーンでありながらも強烈な印象が残しましたが、『ワンダーウーマン』の単作作品を作る計画はどの段階で予定されていたのでしょうか。
ローブン氏「映画の企画は、常に状況が変化していく中で出てきます。もちろん、すべて“これを作りたい!”って気持ちから始まるのですが。ワンダーウーマンは『BvS』でカメオ的に登場したことで、これはイケるということになり単体での作品も決定しました。が、以前からワーナー・ブラザースは制作に意欲的でした。1970年代に非常に成功したTVシリーズ『ワンダーウーマン』はありましたが、そこから30年間に渡って映画化しようとずっとトライしてきました。でも脚本が上手くいかないとか、“女性のスーパーヒーローはあってはならん”みたいな偏見が邪魔したりして、なかなか実現できなかったのです。
『BvS』がヒットした最大の理由は、ワンダーウーマンの登場にあると思います。ワンダーウーマンとして登場した時、ファンは大いに盛り上がりました。それを見た時に“やっぱり『ワンダーウーマンを作らなきゃ!』と確信しました。『BvS』の制作時にすでにオーディションを勝ち抜いたガル・ガドットがワンダーウーマン役に決まっていたのですが、主役だけでは映画は作れません。いろいろなものが具体化し始めたのは、2015年の6月あたりですね。パティ・ジェンキンス監督などのスタッフもかたまり始めました。この段階で初期の脚本も出来上がっていて、映画となった『ワンダーウーマン』のおおよその骨子はでき上がっていました。それから12月までの半年くらいかけてさらに脚本を完成させていったのです』
――アメコミ映画の監督の中で女性の監督は珍しいという点も話題になりましたが、パティ監督の演出で、女性監督らしいなと感じた点はありましたか。
ローブン氏「女性らしいなと感じた点は特にはありません。パティは本当に抜きん出た才能を持った監督です。監督の力に性別は関係ないと思います。けれど、実際に男性と女性は違います、いい意味でね。だから異なった感受性を作品にもたらしてくれることはあります。ワンダーウーマンが、自分のずば抜けたパワーを使用する時は、最後の手段です。他に選択肢がない時にしか使わない。そういった思いやりやシンパシーは、スーパーヒーローの中でもワンダーウーマンらしい特色です。
男性が同じような資質を持ち合わせていても、少なくとも英語では”女性的な側面”と表現します。つまり、思いやりやシンパシーといったものは、一般的に女性的な感覚だって思われているんですね。それが正しいかどうかは別として、パティは物語の中にそうした側面を描くこと意識していたと思います。敵がいて、殺すチャンスがある。でもまず無関係の人を敵から守る事も重要です。まず、戦うのではなく守る。男性の場合、おそらく、率先して殺しに行くでしょうし、女性は多分守りに行くでしょう。これはあくまでも一般論ですけれどね。この世の中は多くの例外から成り立っているというのも真実ですから。
ただ、パティは、間違いなくこうした豊かな感受性をダイアナにもたらしています。さらにパティは脚本家でもあり、脚本の開発の段階から深くこの作品に関わっていました。そして実は彼女は、撮影のカメラオペレーターの経験もあり、ビジュアル、フレームの画角とか、色彩とかも素晴らしい。こうしたパティの才能がこの作品を作り上げたのです。
ワンダーウーマンのルックスも、ザック・スナイダーが『BvS』で作り上げたものとあえて変えています。それは女性だからなのかパティだからなのか分からないけれど、僕的にはパティだから、だと思っています。パティだったからもたらしてくれたものは沢山ある。なので、この作品の特質を女性監督だから、とひと言でいいきることはできませんね」
――ワンダーウーマンと言うと登場曲の「Is She With You?」のインパクトも大きかったのですが、あの曲はイメージは制作側からイメージを伝えて作られたものなのでしょうか。それとも作曲者のハンス・ジマーからの提案だったのでしょうか。
ローブン氏「あのテーマ曲は『BvS』の時に作られました。ワンダーウーマンが初登場する時に掛かっていますね。あの曲を録音する時、ハンスは最高の女性達を集めてオーケストラを構成したんです。それも独特の音を作り出すことがが出来たひとつの理由ですね。名前を忘れてしまったのですが、リーダーは電子チェロの奏者の方ですが、ドラムスもギターもすべて女性です。その録音の様子は、確か『BvS』の特典映像にも入っていると思います。ハンスは本当にすごい。そして、『BvS』でこの曲が流れたときの、皆さんの反応がものすごく熱かったので『ワンダーウーマン』でもこの曲をまた使用しました。このテーマ曲以外の『ワンダーウーマン』の楽曲については、ルパート・グレッグソン=ウィリアムズ氏が作曲しています」
――11月23日に日本公開を予定している『ジャスティス・リーグ』についてもお伺いしたいと思います。まだ話せることは少ないと思いますが、見所などをお話いたただければ嬉しいです。
ローブン氏「発表してないことは言えないんだけど、どこまで言っていいのかなぁ…(苦笑)予告編の最後、アルフレッドが誰かに話しかけているシーンがありますが、あの相手は誰なのかってファンの間では熱い論争になっていることは知っています。でも、誰なのかは言えないな、やっぱり。ごめんね」
――作品は、もちろん期待していいですよね?
ローブン氏「もちろん!めちゃくちゃ楽しい映画になると思いますよ。作っていて本当に楽しかったし、個人的にもものすごくスリリングな体験でした。『ジャスティス・リーグ』の撮影現場を初めて訪れたとき、全員が衣装を身に着けてる姿は最高でした!あの日は、私にとって特別な日になりました。やっぱりあのヒーローたちが一同に会しているところを目する瞬間は、ファンにとってたまらないでしょう。
彼らは、本当に素晴らしい“化学反応”があります。バットマンはバットマンでも、果たす役割が今までの作品と違う。シリアスで一匹狼のブルース・ウェインが、一生懸命みんなを一つにまとめるんです。人をリクルートして集めるだなんて、本来の彼には向いていませんからね。でも、そこが面白いんです。自分ではできないから、ワンダーウーマンに助けを求めてしまったりもする(笑)」
――(爆笑) それは早く見てみたいですね!公開が待ち遠しいです。本日はありがとうございました。
インタビュー中も身振り手振りを交えながら、熱のこもったトークを展開してくださったローブン氏。聞いているこちらもどんどん引き込まれるパワフルな語り口が印象的でした。アメコミ映画の最大の傑作のひとつとの声も聞こえる『ワンダーウーマン』から3ヶ月後にはヒーローたちが結集する『ジャスティス・リーグ』も公開されます。ますますDCEUの展開から目が離せません!
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『ワンダーウーマン』
女性だけが暮らすパラダイス島。アマゾン族のプリンセス、ダイアナ/ワンダーウーマン(ガル・ガドット)は、ある日、不時着したアメリカ人パイロット、スティーブ(クリス・パイン)を救出、初めて外の世界を知る。やがて傷の癒えたスティーブとともに、戦争の早期終結のためにロンドンへ向かうが……。
監督/パティ・ジェンキンス
出演/ガル・ガドット、クリス・パイン、ロビン・ライト、コニー・ニールセン ほか
配給/ワーナー・ブラザース映画
公開日/2017年8月25日(金) 全国ロードショー 3D/2D/IMAX
2017年、米国映画、2時間21分