【最速試写レポ】『ドクター・ストレンジ』は新鮮なブリット旋風
- CANDY
ここ数年、1年の間に1〜2作品公開されることが当たり前になりつつあるMCU映画。もちろん同じコミックブックから生まれているわけだから、作品の毛色が似ているのは当然のことだが『ドクター・ストレンジ』は久しぶりに新鮮な風が吹いていた。
主人公を演じるのは、押しも押されもせぬ超人気英国俳優のベネディクト・カンバーバッヂ。映画を観る前に知っていた情報から、スティーブン・ストレンジは類いまれに優秀な神経外科医で傲慢な性格の持ち主とされ、彼の当たり役“シャーロック・ホームズ”と重なる部分があり、シャーロックに見えてしまったらやだな、なんて正直思っていたところ。映画が始まって10分、20分、30分、シャーロックの姿が垣間見えることは一度もなかった。どちらも同じくらい自意識高い系の困ったちゃんではあるのだが、そこにいるのは全くの別人。悲劇の事故から修行半ばまでは、髭はぼうぼう、ご飯は食べているのか、風呂は入っているのかと心配になるくらいボロボロなカンバーバッッヂを目にすることに。魔術の才能が目覚めたとき、カンバーバッヂも覚醒! 髭も整え、髪もビシッと決まり(白髪交じりもたまりません)、ダンディー且つすこぶる強くなったストレンジに思わず惚れてしまいそうですっ。
ストレンジの師匠となる、エンシェント・ワンを演じたのは英国女優のティルダ・スウィントン。不老の最強の魔術師という役柄に、これ以上ぴったりのキャスティングはないのではないだろうか。髪を剃り下ろしても神々しいほどに美しく、男性と並んでも引けを取らない抜群のスタイルでアクションシーンにも説得力を持たすことができた。同じく英国俳優のキウェテル・イジョホーがストレンジの兄弟子バロン・モルドに。すっかり良い兄貴なモルドだったが、コミックブックで展開を知っている身としては落ち着かない…キウェテルもアカデミー賞にノミネートされるほどの実力派で、続くであろう次回作ではキーパーソンになるはずだ。
そして今回の敵役を演じたのはマッツ・ミケルセン、悪を演じてビビらすならば今この人以上はなかなかいない。相手はシャーロックに、『ナルニア国物語』の白い魔女、こんなキャラ立ちしているタッグに敵うのは、おそらくマッツだけ。ただ惜しむらくはもう少し極悪な、恐ろしい姿を観たかった。黒魔術のせいで、顔は不気味なことになっているが、元々悪い人ではないためそれほど残忍なことはしない。悪夢のようなマッツを期待してしまっていたので、やや物足りなさも感じた。
映画『ドクター・ストレンジ』は体験したことのない圧倒的なビジュアルはもちろん、実力派の豪華俳優陣がそこに説得力を持たすことに成功した、極上のエンターテイメント作品。初めてマーベルを体験する人(シャーロキアンの方もぜひ!)も予備知識なく楽しむことができるし、マーベルファンはあちらこちらにあるネタを見つけてジワリとくるはず。2017年の流行はクルクルと時空を開く、あのポーズかもしれない。