Column

2017.06.01 9:00

『LOGAN/ローガン』を観る前に読みたい!ウルヴァリンのすべて

  • Akira Shijo

マーベル・コミックスのキャラクターたちの中でも、他のヒーローたちとは一線を画す異色のチーム、X-MEN。人類とは相容れない存在として、差別や迫害を受けながらも生き続ける突然変異種“ミュータント”によって構成されたこのチームは、現在でもなお戦い続けています。

 

©Marvel

 

彼らを主人公とした映画シリーズ第1作『X-メン』は2000年に公開され、『スパイダーマン』『デアデビル』などに連なるアメコミ映画ブームを生み出しました。

 

©2000 TWENTIETH CENTURY FOX

 

『X-メン』〜『X-MEN:ファイナル ディシジョン』の三部作の後も、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』や『デッドプール』などを包括しつつ、一大映画シリーズとして成長します。

 

その中心となった存在が、名優ヒュー・ジャックマン演じる”ウルヴァリン”ことローガン。シリーズのほぼ全作に出演し、単独主演作も複数制作されるなど、X-MENの代名詞といっても過言ではない名キャラクターです。

 

©20TH CENTURY FOX

 

あらゆる物体を斬り裂く爪と、不死身の肉体を持ち合わせるローガン。本記事では、X-MENシリーズ最新作『LOGAN/ローガン』(6月1日日本公開)に至るまで彼が辿ってきた数奇な人生を時系列順で追っていきます。

 

『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』
(全米公開2009年5月26日、日本公開2009年9月9日)

1832年、ジェームズ・ハウレットはカナダで生まれます。彼は病弱な少年で、異母兄ビクター・クリードと共に育ちました。1845年のある夜、使用人であったトーマス・ローガンが二人の父であるジョンを射殺。その現場を目撃していたジェームズはミュータントとして覚醒し、骨の爪でトーマスを刺してしまいます。

 

死の間際、トーマスは自分こそがジェームズとビクターの本当の父親であることを明かします。既にミュータントとして覚醒していたビクターは、怯えるジェームズを連れ屋敷を逃げ出しました。

 

©2009 TWENTIETH CENTURY FOX

 

ビクターとジェームズは、その後およそ100年に渡って数々の戦争を生き抜きました。1861年の南北戦争では北軍に、1914年の第一次世界大戦では連合軍に参加。ミュータント能力である“ヒーリングファクター(超回復能力)”により、二人はどれだけ傷を負っても死ぬことはありません。

 

©2009 TWENTIETH CENTURY FOX

 

 

『ウルヴァリン:SAMURAI』
(全米公開2013年7月26日、日本公開2013年9月13日)

1945年、第二次世界大戦において日本の長崎で捕虜となっていたジェームズは、原爆投下から彼を逃がそうとした日本兵、矢志田を救います。

 

『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』
(全米公開2011年6月3日、日本公開2011年6月11日)

1962年、世界中のミュータントたちを集めていたチャールズ・エグゼビア、およびエリック・レーンシャーが、バーで酒を飲んでいたジェームズに接触。チームの一員として勧誘するも、すぐに断られました。

 

©2011 TWENTIETH CENTURY FOX

 

 

『X-MEN フューチャー&パスト』
(全米公開2014年5月23日、日本公開2013年9月13日)

1973年、ジェームズはニューヨークでマフィアのボスの娘と一夜を共にします。

 

――タイムラインの分岐点――

『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』

1973〜75年のどこかの時点にて、ジェームズとビクターはベトナム戦争に参加していました。凶暴化したビクターは占拠した村の住人を襲おうとし、制止した友軍の兵士を殺害します。このことから、彼をかばったジェームズともども銃殺刑が執行されますが、ヒーリングファクターを持つ二人はそれを生き延びました。

 

©2009 TWENTIETH CENTURY FOX

 

このことを知ったウィリアム・ストライカー少佐は、ミュータントによる秘密部隊“チームX”のメンバーとして二人を迎え入れます。しかし、ある程度の自由が認められたメンバーたちや兄ビクターの蛮行に嫌気が差したジェームズは、ひとりチームを離れます。

 

6年後、故郷カナダへと戻ったジェームズは父親の姓である“ローガン”を名乗り、教師である恋人ケイラ・シルバーフォックスと共に静かに暮らしていました。しかし、彼を追うビクターによってケイラは殺されてしまいます。怒りに燃えるローガンはストライカー少佐の提案を受け入れ、アルカリ湖にある施設での実験によって全身の骨を最強の金属・アダマンチウムと結合させます。

 

©2009 TWENTIETH CENTURY FOX

 

この時、かつてケイラが聞かせてくれた話になぞらえて“ウルヴァリン”の名が刻まれた認識票を手に入れました。しかし、すべては彼を究極の兵器“ウェポンX”に変えようとするストライカーの計略であったことを知ったローガンは、実験施設を逃亡。

 

その後、追っ手として放たれたチームXのエージェント・ゼロやウェイド・ウィルソンとの戦いの末、施設に囚われていた若いミュータントたちを解放しました。彼らはチャールズ・エグゼビアこと“プロフェッサーX”によって救出され、彼のもとで保護されることになります。

 

©2009 TWENTIETH CENTURY FOX

 

しかしこの時、頭に受けたアダマンチウムの銃弾により、ローガンは記憶を失ってしまいます。“ローガン”という名前以外なにも思い出せないまま、彼は島を去るのでした。

 

『X-メン』
(全米公開2000年7月14日、日本公開2000年10月7日)

2000年、カナダを放浪していたローガンはミュータントの少女ローグと出会います。彼女の能力を狙うエリック・レーンシャーこと“マグニートー”の部下となっていたビクターこと“セイバートゥース”に襲われた二人は、かつてローガンが救い出したミュータントであるサイクロップスとストームに救われました。

 

彼らの導きにより、ミュータントたちの養成施設“恵まれし子らの学園”にたどり着いたローガンは、プロフェッサーXが率いるX-MENに参加。自分の過去に関する情報を手に入れるため、そして人間とミュータントの共存のため、マグニートーが率いる“ブラザーフッド”と戦いを繰り広げました。

 

©2000 TWENTIETH CENTURY FOX

 

 

『X-MEN2』
(全米公開2003年5月2日、日本公開2003年5月3日)

2003年。戦いのあと、ローガンはアルカリ湖の実験施設に向かいますが、記憶を取り戻せないまま学園へと帰ってきました。しかし、ミュータントを敵視するストライカーの率いる部隊によって学園が襲撃され、ローガンは生徒たちを守るため戦います。逃亡を続けるローガンらは、ミュータントの女医であるジーン・グレイと合流します。彼女はサイクロップスの恋人でしたが、ローガンもまた徐々に彼女と距離を縮めていきました。

 

マグニートーらとも合流したローガンの一行は、プロフェッサーXの能力を利用してミュータントを全滅させようとするストライカーを追い、再びアルカリ湖のダムへとやって来ます。施設に残された爪跡を見て記憶を取り戻しはじめたローガンに対し、ストライカーは彼が行った実験について語ります。戦いは激しく続き、崩落するダムから脱出するチームを救うためジーンが犠牲となりました。

 

©2003 TWENTIETH CENTURY FOX

 

 

『X-MEN:ファイナル ディシジョン』
(全米公開2006年5月26日、日本公開2006年9月9日)

2006年、ミュータントの能力を抑制する薬品“キュア”が開発され、人間とミュータントとの戦いはさらに激化していました。

 

そんな中、ダムの崩落を生き延びていたジーンのテレパシーを受け取ったサイクロップスは、彼女の元へと向かいます。かつてプロフェッサーXが封印した“フェニックス”としての人格に目覚めてしまっていたジーンは暴走し、サイクロップスのみならずプロフェッサーXまでも手にかけます。ローガンはX-MENを率いて戦い、暴走するジーンを止めるため、やむなく彼女を刺し殺しました。

 

©2006 TWENTIETH CENTURY FOX

 

 

『ウルヴァリン:SAMURAI』

2013年、ローガンはジーンを殺す悪夢に悩まされながら、カナダの山中で暮らしていました。そんな中、かつて彼が救い出した日本人・矢志田の招待を受け、ローガンは東京へとやって来ます。

 

死期を悟った矢志田は、かつて目にしたローガンの回復能力を自らに移植することで、彼を永遠に生き続ける地獄から解放してやると提案します。ローガンがこれを拒否したことで、矢志田の孫である真理子ともども命を狙われるようになり、二人は長崎にある矢志田の親類の家へと逃げ延びました。

 

逃避行を続ける中、いつしかローガンと真理子は惹かれ合いますが、彼女は矢志田の手先であるヤクザに拉致されてしまいます。不老不死の能力を手に入れようと、巨大パワードスーツ“シルバー・サムライ”を自ら装着した矢志田との戦いの中、ローガンはアダマンチウムと能力の一部を奪われながらも勝利しました。

 

©2013 TWENTIETH CENTURY FOX

 

 

2015年、復活したプロフェッサーXとマグニートーがローガンの前に現れます。二人はミュータント全体の危機に対抗するために手を組んでおり、ローガンにも協力を求めてやって来たのでした。

 

『X-MEN:フューチャー&パスト』

2023年、対ミュータント兵器“センチネル”によって、ミュータントと彼らを助けようとした人間たちは虐殺され、絶滅の危機に瀕していました。ローガンはミュータントの少女であるキティ・プライドの能力により過去へと意識を転送し、歴史を書き換えることを決意します。

 

©2014 TWENTIETH CENTURY FOX

 

これにより、“タイムラインの分岐点”以降起きたすべての事象が改変され、新たな歴史が生まれました。

 

1973年、ローガンが目覚めると、ニューヨークでマフィアのボスの娘と一夜を共にした翌朝でした。彼は若きチャールズ・エグゼビアやエリック・レーンシャーの協力により、センチネルの発案者であるボリバー・トラスク博士が、変身能力をもつミュータント”ミスティーク”によって暗殺されるのを止めようと尽力します。

 

©2014 TWENTIETH CENTURY FOX

 

 

ミスティークが大統領を救ったことで未来は変わり、ミュータントの存在も全世界に知れ渡りました。このことから、ミュータントへの差別や迫害は残るものの、以前のタイムラインほど激しいものではなくなったようです。そしてローガンの意識は2023年へと帰っていきました。

 

『X-MEN :アポカリプス』
(全米公開2016年5月27日、日本公開2016年8月11日)

 

1983年、ミュータントを神と崇めるカルト集団によって“アポカリプス”が目覚め、「恵まれし子らの学園」のメンバーたちと戦いました。その際、混乱に乗じたストライカーはミュータントたちを拉致し、アルカリ湖の実験施設へと閉じ込めようとします。彼らはそこで拘束され、実験対象となっていたウェポンX/ローガンを発見。彼を解放したことで、施設は混乱に陥りました。

 

©2016 TWENTIETH CENTURY FOX

 

 

ローガンは雪の積もった森へと消えていきます。その後の戦いの中、ジーンは“フェニックス”として覚醒。その力をコントロールし、アポカリプスを倒しました。「恵まれし子らの学園」は再建され、プロフェッサーXとミスティークが率いる“X-MEN”が誕生したのです。

 

©2016 TWENTIETH CENTURY FOX

 

 

『X-MEN:フューチャー&パスト』

2023年、ローガンは目を覚まします。彼は平和な恵まれし子らの学園で歴史を教える教師になっており、かつてのタイムラインで死んでしまったジーンやサイクロップスらも生き返っていました。ローガンに全てを託して散っていったプロフェッサーXも復活しており、その能力で彼の旅を知ります。そして、この50年間に起きたことを旧友に語りはじめるのでした。

 

©2014 TWENTIETH CENTURY FOX

 

 

『LOGAN/ローガン』
(全米公開2017年3月3日、日本公開2017年6月1日)

2029年。ミュータントの大半は死に絶え、長きに渡る戦いで疲弊したローガン、そして老いたプロフェッサーX/チャールズの能力も衰えきっていました。
そんな中、謎の少女ローラが現れます。彼らはローガンと同じ能力をもつ彼女を保護し、ミュータント最後の希望のため、ノースダコタへと旅立ちました。

 

©2017 TWENTIETH CENTURY FOX

 

シリーズ作品とはカラーが大きく異なり、これまでの経緯を知らなくても楽しめる作品になっている『LOGAN/ローガン』ですが、やはりこれまでのX-MEN作品を知ってこそ、歴戦の勇士であるローガン、そしてこれまで彼を演じてきたヒュー・ジャックマンの“重み”が感じられると思います。

 

『X-MEN:フューチャー&パスト』で描かれた、平和なはずの世界で何が起こったのか? そしてミュータントたちの行く末は?アメコミ映画史に残るであろう、ローガン最後の“爪跡”をしっかりと見届けたいものです。

 

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『LOGAN/ローガン』

©2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

 

ミュータントの大半が死滅した2029年。長年の激闘で疲弊しきったローガン/ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)は、もはや不死身ではなかった。リムジンの運転手となり、メキシコ国境近くの廃工場で、太陽光線に弱いミュータントのキャリバン(スティーヴン・マーチャント)とともに年老いたチャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)の世話をしながら暮らしている。

 

そんなある日、看護婦のガブリエラ(エリザベス・ロドリゲス)から謎の少女ローラ(ダフネ・キーン)をカナダ国境近くのノースダコタまで送り届けて欲しいと依頼されるが、それは新たなる戦いの始まりだった……。

 

監督/ジェームズ・マンゴールド

出演/ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、ボイド・ホルブルック、ステファン・マーチャント、ダフネ・キーン、エリザベス・ロドリゲス他

上映時間/2時間18分

配給/20世紀フォックス映画

公式サイト