Review

2017.07.07 0:48

ハリウッド版スーパー戦隊が凱旋公開!『パワーレンジャー』レビュー

  • Dee

※本記事は『パワーレンジャー』の若干のネタバレが含まれているので、ご注意ください。

 

7月15日日本公開となるこの夏の話題作、『パワーレンジャー』。アメコミヒーローの映画が多く公開される中、新たなヒーローのジャンルを開拓しようという試みで、日本の戦隊モノがハリウッドで映画化されました。

 

なぜ戦隊ヒーローがハリウッド映画に?

40年以上続いている日本の特撮シリーズである“戦隊ヒーロー”。もはや国民的な認知を得ており、男性であれば多くの方が小さい頃に観ていた思い出があるのではないでしょうか。あまり知られていませんが、実は戦隊ヒーローシリーズは日本のみならず海外でも人気があります。現在、放映されている国は、世界約80カ国。その口火を切ったのはアメリカでの成功でした。

 

1993年に始まったアメリカ版戦隊ヒーロー『パワーレンジャー』は、東映の戦隊ヒーロー作品『スーパー戦隊シリーズ』をベースに制作されました。ドラマパートは現地の役者が英語で演じ、顔が出ない戦闘シーンやロボット登場シーンは日本版の映像をそのまま使うという方法で作られた『パワーレンジャー』は、アメリカでもあっという間に人気シリーズとなりました。

 

そして今回、そのアメリカ版戦隊ヒーロー、『パワーレンジャー』が映画化され、逆輸入という形で久々に日本に帰ってきたのです。通算、3作目の映画作品で20年ぶりの新作。ちなみに、元になっているのは、米国版の『パワーレンジャー』シリーズの第1作目『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』です。

 

とにかくビジュアルが素晴らしい!

小さい頃に特撮ヒーローを観ていた一ファンとして(私の世代はガオレンジャーとかハリケンジャーでした)嬉しかったのは、映像のクオリティがとても高いところ。ハリウッドのクオリティで戦隊ヒーローの活躍を観られただけで正直、大満足なのです。

 

©2017 Lions Gate TM&© Toei & SCG P.R.

 

変身後のスーツも、ゾードと呼ばれる5体の相棒メカも、カッコイイ仕上がりとなっていて、“戦隊モノ”にありがちなチープさはまったく感じさせません。私も15年ぶりくらいに変身したくなりました。…けれど、合体後のロボット(メガゾード)はもう少しゴテゴテしていてもよかったかな。戦隊ヒーローの合体ロボット感がまるでない、洗練されすぎていたデザインでした。残念。

 

ストーリーが奥深い!

戦隊ヒーローの映画ということで、ヒューマンドラマには正直期待していなかったのですが、むしろ今回のこの映画版は主人公たちのドラマにスポットライトが当てられています。それぞれ問題を抱える5人のティーン・エイジャーがどのように出会い、力を手に入れるかが、メイン・ストーリー。ジョシュ・トランク監督の『クロニクル』を彷彿とさせる展開もしばしば見られました。

 

©2017 Lions Gate TM&© Toei & SCG P.R.

 

ちなみに、予告編でほのめかされていたロマンス要素は今回バッサリとカットされていました。主人公たちの恋愛模様は、ひとまず次回作までお預けのようです。

 

音楽の使い方がカッコいい!

ティーン・エイジャーが活躍する映画らしく、ポップでキャッチーな音楽が各所で使われています。戦隊ヒーローのイメージからはかけ離れているヒップホップやパンクロックも完璧にマッチしていました。特に、修行シーンで流れたFitz & The Tantrumsの”HandClap”はめちゃくちゃカッコよかった!

 

惜しかったのは、パワーレンジャーのテーマがちょっと流れてすぐに終わってしまったこと。一瞬だけサービスで流れたといった印象で、少し不自然に感じました。他にも、たくさんの曲を流そうとしたばかりに、曲の繋がりがうまくいってないように感じるところもしばしば。もう少しセトリを絞ってみた方がいいかもしれませんね。

 

戦闘シーンを楽しみにしている人には残念な点も…

残念な点を述べるとすれば、戦闘シーンが極端に少ないところでしょう。

 

すでに述べたように、主人公たちのヒューマンドラマに焦点が当てられているため、人によってはダレていると感じてしまうかもしれません。最初のおよそ90分間は(ほぼ)変身もせずに、能力を手に入れた主人公たちがどのように団結していくかが描かれます。個人的には、続編展開を意識した作品ですし、感情移入ができるように主人公たちを丁寧に描いてもらえたのはGood。ですが、人によってはダレていると感じる人もいるかもしれません。

 

©2017 Lions Gate TM&© Toei & SCG P.R.

 

また、これはあくまでアメリカの『パワーレンジャー』なので仕方ないことかもしれませんが、変身シーンがアッサリしすぎていたのも残念ポイントです。戦隊ヒーローといえば、カッコイイ名乗り口上をあげながら時間をかけて変身するもの。ハリウッド映画でアレと同じことをやったらそれはそれでサムい気はしますが、もう少し時間をかけて変身シーンをかっこよく見せてほしかったな…というのが正直なところです。変身までに時間がかかっている分、カタルシスも大きそうですし。(TVシリーズのパワーレンジャーも名乗り口上はカットなのでしょうか?)

 

気になる点はいくつかあったものの、個人的にはかなり満足な出来栄えの映画でした。続編も検討されているということで、今後も楽しみ。次回作では濃厚な戦闘シーンが観られることを期待しています!

 

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©2017 Lions Gate TM&© Toei & SCG P.R.

『パワーレンジャー』

小さな田舎町エンジェル・グローブの高校生ジェイソンは、アメフトの花形スターだったが、事故により負傷し町中をがっかりさせてしまう。ある時、仲間たちと一緒にとある不思議な“石”を手に入れたとこから不思議な力を得る……。

 

監督/ディーン・イズラライト

脚本/ジョン・ゲイティンズ

音楽/ブライアン・タイラー

出演/デイカー・モンゴメリー、ナオミ・スコット、RJ・サイラー、ベッキー・G、ルディ・リン、エリザベス・バンクス、ブライアン・クランストン

配給/東映

2017年、米国映画 124分

公式サイト