Column

2016.10.11 13:13

ベネディクト・カンバーバッチはMCUに新展開をもたらす!

  • Kazu Oshima

映画『ドクター・ストレンジ』に対する私の期待値は 、これまでのMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の中でも特に大きい。そう思える要因として挙げられるものは、『アントマン』(15年)や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14年)といったMCUの中で異色な作品を観た時の記憶である。
私にとってMCU作品のキャラクターといえば、初代アベンジャーズのメンバーであるアイアンマンやキャプテン・アメリカなどのおなじみのメンバーだったし、それらのメンバーのインパクトがあまりに強かったために、前述の2作品には公開当時期待はあまりなかった。しかし、いざ観てみると、これまでのMCUのヒーロー達とは違った設定、完成度の高い脚本など、シリーズというよりも単体の映画作品として充分に面白いと感じた。
特に視覚的な点は凄かった。主にMCUの映像はスタイリッシュなアクションや派手な破壊や爆発といったヒーローらしいものが多かった。どれも素晴らしいクオリティだったが、さすがに、10作品近く毎年のように続くと、当初のようなインパクトや感動が薄れてきたのは事実だった。そんな中、1.5cm視点のアクションや宇宙を舞台にした映像など、今までのMCUに慣れた人達を飽きさせない映像を取り入れてきた2作はとても新鮮に思えたのだ。これらによってMCUに新しい映画やキャラクターが加わることに対する違和感は消えた。むしろ“MCUの新機軸”という言葉とともにポジティブに捉えたのだ。
このMCU新機軸としての魅力は、『ドクター・ストレンジ』にもたっぷり含まれている。
まずは、予告編でも話題になっている映像表現である。
今までのMCUだけでなく、どのハリウッド映画と比較しても新鮮に感じられるファンタスティックな映像はこれだけでも劇場に足を運ぶ価値があると感じるほどにインパクトがある。
マーベルコミックでも屈指の魔法使いという設定も見逃せない。魔法使いは私的にはハリー・ポッターの印象が強いのだが、ヒーローとしての魔法使いがどのようなものなのかは、興味津々である。今までも天才科学者、超人兵士、神といった全く異なるキャラクター達を見事に同じ世界観で存在させてきたMCUシリーズに加わるにふさわしいヒーロー像といえるだろう。さらに、そのキャラクターが今後のMCUの展開に与える影響も大きいのではないだろうか?これも、『ドクター・ストレンジ』に対する期待が否応なしに高まってしまう理由である。

キャストは、ハリウッド内外から演技派、実力派を結集

cumberbatch

映像や設定以外にもこの映画の見所に豪華なキャスト陣営が挙げられる。主演のベネディクト・カンバーバッチを始め、マッツ・ミケルセンなど、今までにないほど魅力的な俳優陣だ。すでに、カンバーバッチは、大スターであり、映画雑誌等でも多く取り上げられ、非常に高く評価されているものの、 BBCのTVシリーズ『SHERLOCK/シャーロック』のファン以外の日本人にとっては「名前は知ってる」くらいだけの人も多いかも知れない。なにをかくそう、私がそうである。
今回のキャスト陣は映画雑誌等でよく目にし、大物俳優であることは理解してはいるが、出演作を網羅しているワケではない。観たいと思えどきっかけを掴めずにいた。そんなキャスト陣を大好きなMCUシリーズで一気に観ることができるのだ。

ドクター・ストレンジというキャラクターにも同様のことがいえる。某格闘ゲームに登場していたり邦訳コミックでも活躍しているが、ドクター・ストレンジの持つキャラクター性などを深く知る機会もあまりなかった。マーベル屈指の魔法使いという設定を知っている程度である。
このようになんとなく知っていた大物キャラクターをなんとなく知っていた大物俳優達が演じる。私的にいえば、これこそが『ドクター・ストレンジ』の最大の見どころなのだ。この異色作品が『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』によって大きく変化したMCUの世界に、どのような展開をもたらすのか、非常に楽しみである。1秒でも早く劇場でこの期待が本物だと確信したい。